つのへび日記

こなやぎのブログです。手仕事、語学、短歌、読書や映画など。

ごく小規模なハーブ栽培の記録(第7週~第8週)

今回も二週間分をまとめてみます。
出窓で種から育てているルッコラ、バジル、ミント、パクチーの成長記録です。






パクチーは最初、使っていないヘアピンと麻ひもで根元だけ応急処置的な支柱を作っていたのですが、それだと上の方の重みを支えきれなかったので、再度ちゃんとした添え木を作りました。

見ての通り、そんなにちゃんとしてないんですけどね。今のところは、これでうまくいってます。



日中は、ルッコラだけ半日蔭になるような場所へ移動させているのですが、どうしても土が乾いてしまい、夕方の水やりのころには元気がなくなっている日が時々あったので、対策として根元に少し土を足しました。



この日収穫したミントはこうなりました。

53日目に作ってみたいと言っていたレシピは、この「薄切りにして両面焼いたズッキーニに塩、オリーブオイル、刻んだミントをふって食べる」というズッキーニのグリルでした。最初知った時には、え!ミントを料理に使うの!と思いましたが、そんなに量を使わなかったからか、ミントも悪目立ちせず、おいしかったです。巷で不評のイギリス料理、ラム肉のグリルのミントソースも私は好きなので、好みもあるのかもしれませんね…。


どれも成長してかなり野菜ぽいビジュアルになってきたので、日々のコメントから食欲がだだ漏れています。お恥ずかしい。
たくさん発芽したルッコラを二株しか残さなかったこと、かなり悔やんでます。秋蒔きのは絶対でっかいプランターで!と思ってます。

秋はパクチーもまた蒔きたいし、他のハーブにも手を出してみたいな…とか考えてます。おすすめがあったら教えてください。

南イタリア お料理歳時記―マンマのレシピ12か月

南イタリア お料理歳時記―マンマのレシピ12か月

ズッキーニのグリルが載っていたのはこの本です。月ごとに南イタリア(カンブリア州)の料理が紹介されています。レシピも豊富で、エッセイとしても面白いし、ちょっとマイナーな料理が色々あって楽しいです。日本で手に入る材料で簡単に出来るのも多いです。

今までのハーブ栽培記録はこちら

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【翻訳レシピ】安い材料でもおいしい、本格的な「海南鶏飯(シンガポールチキンライス / カオマンガイ)」

きっかけ

夫はあまり食にあれこれ言う人ではなく、彼が自らを評していわく「冷蔵庫の中にあるもので作るということが出来ない人」ということなので、私が「今日何食べたい?」と聞いたところで、はかばかしい返事はほとんど返ってこないので、だいたいいつも、私が食べたいもので冷蔵庫の食材中心に作れそうなものを、私が好きなように作る、ということになります。ただ、ごくごくたまにぽつりと、あれが食べたいなあ、みたいなことを言われるので、多少冷蔵庫の中身と文脈上ずれていたりしても、たまの頼みだからなおさら作ってあげないとな、という気持ちになり、たとえば夫が「プッタネスカが食べたい」とつぶやいた日には「それでは10日ほど時間をください」と言ってパンチェッタを仕込んだり、他にこれ何に使うねん…と思いながらもケイパーや黒オリーブを買いに走ったりする羽目になるのです。

海南鶏飯(ハイナンジーファン)、和名?として昔からあるのはシンガポールチキンライス、最近はタイ語由来のカオマンガイという呼び方も定着していますがーーもまた、そのような食べ物の一つです。

別に中国にいる間よく食べていた思い出の味とかそういうことは全然ないのに急に夫が「海南鶏飯が食べたい」と言い出したので、じゃあ近いうちに作りましょうと応えつつも「茹で鶏をエキゾチックな感じに仕立てたらいいのかなあ」とぼんやりイメージしていました。

いざレシピ検索をすると、なんだか人によってレシピのディテールが微妙に異なり、検索結果の総合的なイメージはやっぱり「茹で鶏とその茹で汁で炊いた米をエキゾチックに食う」料理で、いまいち依りかかるべき権威的なレシピというものが見当たらず…。それならばと、本場中国の作り方を見てみることにしました。

もちろん中国でも人によって微妙に作り方が異なるものなのですが、以下、今回自分が作る際に参考にしたレシピの翻訳を、作りやすい分量(実際に作った分量)に直して載せておきます。

参考元のサイトはこちらですが、元のレシピではニワトリを丸のまま一羽で作っているので、リンクをご覧になる際は…ちょっとカワイソウな写真もありますので、ご注意ください。

海南鸡饭的做法_菜谱_香哈网

海南鶏飯レシピ

材料(2人分)

鶏むね肉 1枚
米 2合
八角 1つ
花椒 2つまみ
酒 大匙3
塩 小さじ1
しょうが(すりおろす) 各1片
にんにく(みじん切り) 各2片

<タレの材料>
砂糖 大匙1
醤油 大匙2
かぼす 1個

今回はむね肉で作りました。おいしくできましたが、次はもも肉で作ってみたいな…。
あと米2合ですが、スープがたくさんできるので(2合炊いても余るくらいです)たくさん炊いて残りはおにぎりや雑炊などにするといいです。
これも、予算に余裕があれば原典通りのジャスミンライスで作りたいものです…。
かぼすは、元のレシピだとすだち大の柑橘のようです。すだちを使うときは2個用意してください。

作り方

1.鶏肉の下ごしらえ

鶏肉の、皮と肉の間などについている黄色い脂肪を取り除いておく(あとで使うので捨てない)。
火が通りやすいように、観音開きにするなど厚みを均等にする。
酒、塩、おろししょうがを鶏肉の裏表にもみ込んで、10~20分ほど置く。

この間に米を研いで、少し吸水させたあとざるにあげておきます。

2.ゆで鶏を作る

深い鍋にたっぷりの水(分量外)を張って火にかける。
湯が沸いたら、八角花椒を入れて、表面がゆらゆらする程度の火加減に弱めて5分煮る。
火を強めて、鶏肉を入れる。吹きこぼれない火加減で、20~30分茹でる。

八角花椒を水で煮る! びっくりしましたが、スープがめちゃくちゃおいしくなるのでぜひ入れてもらいたいです。
ゆで時間ですが、私は20分だとちょっと足りないくらいだったので、厚めの肉は30分くらい茹でてみてください。
茹で上がる直前に、ボウルか他の鍋に氷水を用意しておきます。

3.スープでライスを炊く

鶏を茹でているあいだに、ライスの準備をする。
1.で取り分けておいた鶏の脂身をフライパンに入れて熱する。
脂身は油が出切ったら取り除き、みじん切りのにんにく(半量)と米を入れて炒める。
油が回って米が透き通ったら火からおろし、炊飯器にうつす。

茹で上がった鶏肉を引き上げ、すぐに皮の方から氷水に放って15分ほど浸す。
スープを一度漉し、炊飯器の目盛り通りに注いで米を炊く。
茹で鶏の粗熱が取れたら、適当な大きさに切り分ける。

米を炒める時、油脂が少ないと米がフライパンに張り付いてしまいますので気を付けてください。
鶏肉は氷水に放つことで表面の皮が収縮してパサパサしにくくなります。
(丸一羽だけじゃなく、切り身でも効果があった…気がします)
余ったスープの残りは冷蔵保存し、早めに使ってください。これだけ飲んでもかなり多幸感が得られますが、中華粥にしてもよさげです。

4.タレを作る

米を炒めたあとのフライパンへ油を適量足し(分量外)、残りのにんにくを炒め、色づいたら取り出して器に入れておく。
続けてフライパンへ砂糖と醤油を合わせて入れ、ひと煮立ちさせる。
にんにくを入れた器へ注ぎ入れ、かぼすを絞り入れる。

砂糖と醤油を入れる時は火を弱めるか、いったん止めたほうがいいかもしれません。はねるので強火注意です。

あとは、ごはんと茹で鶏を皿に盛りつけて、タレをかけたら完成です!

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この日はノリで買ってしまった中国産のライチと、前日に作って冷やしていた茄子南蛮との献立。
次はたっぷりの刻み香菜を一緒に食べたいので、香菜の収穫後に作りたいです。

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ケンタロウのレシピだと、ご飯を炊くときに醤油などを少量入れて、タレももっと複雑そうでした。こっちも試してみたいな。

※追記:タイトルを一部変更しました。(7/27)

その他の翻訳レシピ

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ごく小規模なハーブ栽培の記録(第5週~第6週)

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ルッコラ、バジル、ミント、パクチーを育てている記録のまとめです。
写真はいつも朝の水やり前後くらいに撮っています。

Twitterまとめ













これでルッコラ以外の3つを、種まきの時の鉢から一回り大きいものに植え替えたことになります。
バジルとパクチーは元の鉢からそのまますぽっと土ごと抜いて周りに土を追加、ミントは1本ずつ根をほぐして2~3本ずつに固めて均等に植え付け(株分け作業)をしました。

新メンバーのこと

パクチー植え替えのための培養土などを買いに東急ハンズへ行った際、食虫植物コーナーが出来ているのを見つけて、つい買ってしまいました。
ハエトリソウです。
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こちらは買った翌朝のようす。

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それから約一週間後のようす。内側から赤くなった葉は、そのあと全体的に赤黒くなって枯れるみたいです。
真ん中からは、どんどん新芽が伸びてます。

正直、部屋にたまにいるコバエを取ってくれたらいいなーと思いつつ、そこまで期待はしていなかったんですが、このあいだ見たら真ん中の小さい葉が2枚、それぞれ一匹ずつコバエをがっちり咥えていてびっくりしました。
こうやって実際に仕事をされると、無理に働かないで休んでたらいいのに…とか思ってしまいます。
肥料不要、適度な日当たりと腰水だけでいいとのことで、手入れは今のところらくちんです。

円高を利用して買ったもの

少し前のことになりますが、イギリスのEU離脱に際して、急激に円高が進みましたよね。

ツイッターを見ていると、早速海外からの輸入品を買う人が多く(フォローしている人は読書家が多いので、洋書を買っている人が多い印象でした)、私も何かないかなと思って少し考えていたんですが、特に今だから欲しいというものもなく。

引っ越し後、エクセル家計簿の書式を一新しようと思って色々ヒントを探していた時に、羽仁もと子の家計簿で有名な出版社・婦人之友社のwebサイトで「婦人之友社 5つの提案」というのを見つけました。

  1. 手持ちのものを最後まで使い切る
  2. 使用量・消費量のムダを点検する
  3. 使用中のものがあるうちは、次を買わない
  4. 手づくりできそうなものを見つける
  5. 予定・予算をていねいに立て、守る

この時作ったエクセル家計簿の書式は今のところ満足していて、機会があればまたブログに書こうと思いますが、とにかくこの「5つの提案」はどれもなるほどなと感じるものだったので、これらを(できるだけ)実践して生活しています。

なので、物欲の出し方みたいなものを軽く忘れていて、すわ円高!と突然欲しいものができることもなく、しばらく静観していたのですが。

『ベルンド・ケストラーのスパイラルソックス』は、何の変哲もない一般的なソックヤーン(靴下用毛糸)を使いながら、かかとを編まずにまっすぐ編むだけでタイツのように足にフィットする、不思議で面白い靴下の編み方が紹介された本です。
その楽しい編み方もさりながら、登場する糸がどれも鮮やかで美しくて! ショートピッチで次々色が変わる毛糸は、使い道に悩むこともしばしばなのですが、靴下を編むと細かい模様になって面白いんですね。この表紙だけでも、色とりどりの毛糸の楽しさは十分伝わると思います。

この本の中で使われている毛糸はほとんどがドイツのメーカーのもので、巻末にはそれらが購入可能なオンラインショップのアドレスが付記されていました。

そういえばこれらの毛糸が欲しかったんだ! と思い出したのは、たまたま別のものを探しに入ったユザワヤで、同じメーカーの毛糸を見つけた時でした。ユザワヤの価格を見て、今オンラインで買えばもう少し安いのでは? と思いまして。

さっそく帰宅してすぐに、本に書いてあったオンラインショップ「けいとや」さんのページを見てみたところ、本で見て欲しい色も、それ以外の可愛いカラーバリエーションも多数あり、在ドイツのショップなのに日本への送料無料! というので、すぐに3種類の毛糸を購入しました。
keitoya.ocnk.net

7000円以上の購入で追跡機能付き、7000円未満でも保険などが有料で付けられるようでしたが、まあドイツなら大丈夫かなーと、追加料金なしの保険や追跡なしでお願いしました。

申し込んだ次の日には発送の連絡があり、到着までは4日から2週間とのことだったので、わくわくしながら待っていると、申し込んでから9日後、発送から8日後の午前中に、郵便受けに入っていました!

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デュッセルドルフから荷物が届くのは初めての体験です。
気球の写真が付いたドイチュポストのラベル、可愛いのではがして手帳に貼りました。

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明細書。首尾よく、1ユーロ112円で買えました。今買わなくても、いずれ秋には頼んでいたであろう品々なので、いい買い物をしたと思います。

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頼んだ毛糸3種。オパールフンデルトヴァッサーシリーズから1種類と、ショッペルのアドミラールドルックから2種。オパールのは、その名の通り芸術家・思想家のフンデルトヴァッサーの作品から着想されたカラーリングから成るシリーズより、紫色が印象的なものを。ショッペルの二つは、オパールのよりも色のピッチは長めかな。ビビッドでポップな色づかいがかわいいです。

そして、送料無料、ユーロ安に乗っかれたというだけでもかなりお得感があり大満足なのに、さらに3カ月有効のクーポン、数種のハーブティバッグの詰め合わせ、そしてミニサイズのHARIBOのおまけが入っていました。
ハーブティと一緒に手書きのお手紙も入っていました。
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(一応先方の個人名も伏せました)

もう…これらの心づくしのサービス乱れ打ち。円高ウェーイwwwと狙って買ったことがちょっと申し訳なくなるほどです。
これはもう、9月までにクーポン使うしかないではないですか。

とは言っても、自分だけでは貢献できる力に限りもあるので、こちらのネットショップを知って使おうかどうしようか迷っている人が「利用しよう!」と思えれば、と考えまして、本エントリを書いた次第です。
円高ユーロ安もしばらく続くみたいですし!ぜひぜひ!!

ミニマルに生きるのも悪くはないですが、手持ちのお金が増えたらそれを好きなものや応援したい人のために使えるわけで、そっちの方がより多くの人が幸せになるからやっぱりお金はあったほうがいいなーと思いました。お金稼ごう!

ごく小規模なハーブ栽培の記録(第3週~第4週)

kn.hatenablog.jp
このエントリの続きです。
食欲本位でルッコラ、バジル、パクチー、ミントを育てています。
今回も二週間分の成長をまとめて見る自分用エントリでございます。

第三週。



ネットで発芽率3割とも5割とも書いてあるのを見たので、ちょっと浮かれてのコメントです。やっぱり種を二分割しておいたのと、さらに一晩水に漬けていたのが勝因かと。


私が、パクチーが!ルッコラが!と大騒ぎしているあいだにイギリスがEUから離脱していた、そんな週でした。
三週間経過した時点でのそれぞれのソロ写真。スマホのカメラ機能を色々試しているのでこういうおもちゃっぽい写り方になってますが。
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パクチー
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ミント。種がめちゃくちゃ小さい分、芽もとても小さい。
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バジル。圧倒的成長。
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ルッコラ。双葉がハート形なのがかわいい。

続いて第四週。







湿度のせいか、温度のせいか、その両方なのか。よく育っています。
これまでは種のパワーに任せて水やりのみでしたが、第三週からは100倍希釈の液体肥料も週一回あげはじめました。

次回へつづく!

6月の読書:カレル・チャペック『園芸家の一年』

私はイタリアの物語だとジャンニ・ロダーリを読むし、はてなのアカウントの元ネタはトーマス・M・ディッシュの『いさましいちびのトースター』なんですけど、別に児童文学やファンタジーを好んで率先して読むというわけではないのです。あくまで『猫と共に去りぬ』や『青矢号』や『いさましいちびのトースター』を読んでみたら面白かったという話で、この、本との出会い方というか、あるカテゴリへの分け入り方というのは、結構私にとっては重要なのです。で、私はずっとカレル・チャペックへ分け入ってみたいと思いつつ、そのやりかたに悩んでいました。

今のところ、日本で一番有名なチェコの作家はチャペックだということになっている…とおもいます。千野栄一先生のエッセイ集『ビールと古本のプラハ』を読んで以降チェコに興味がある私は、チャペック、いつか読まんとなあ…と思いつつ、タイミングや出会い方を図りあぐねていたのです。ちなみに、この本に登場する作家・フラバルは読んで、好きになりました。フラバル先生の最期にまつわる「窓辺に来た鳥にえさを与えようと身を乗り出して墜落死」という俗説、理想の死に方ベスト5くらいに入ります。

きっかけは、引っ越してから始めた室内でのハーブの栽培でした。毎日せっせと水を上げたり土を観察したりしているときに、ふとチャペックに園芸エッセイの本があったなと思い出しました。そう、やっと私にも、チャペックを読む時機が到来したのです!

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私が読んだのは、恒文社版の飯島周氏訳のものです。平凡社ライブラリ版、中公文庫版(『園芸家12カ月』)などあるようですが、図書館で唯一利用可能な図書がこの版だったので。元来、本は買ってから読む派でしたが、当面倹約路線なので、積極的に図書館を使えるようになっていきたいという次第です。図書館から借りた本を読み終われない、いや正確には中々読み始められないという悪い癖があって、気が付いた時から学生時代までは延滞の常連だったので、以後は自分が書店に就職したというのもあって気になる本はどんどん買う派だったのですが、しばらくはローコストで生活したいがために、公共サービスをありがたく享受しようかと。
本を買う時の喜びって、なんか脳から変な薬が出ているんじゃないかというくらいに他で得難いものがあると個人的には思うんですが、貸出期限を守れないという悪癖を放置する代償に、いずれ手放すかもしれないものにお金を払い続けるのはよくないんじゃないかとも思いはじめまして。ひとつ、図書館利用という習慣を養ってみようと相成りました。

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前置きが長くなりました。本書は、趣味人であったチャペックの多彩な趣味の一つである園芸、庭いじりについて書かれたエッセイです。タイトル通りに、「園芸家の○月」という章が一月から十二月まで丸一年分、そしてその合間合間にも短いエッセイが挿まれています。

「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」というやまと歌がありますが、植物を愛でる人の心というのは洋の東西、時の今昔を問わず共通するものなのだなあと微笑ましくなります。日照りが続けば雨が降ってほしいとやきもきし、雨がざあざあ降れば歓喜し、しかし降り続けばちょっと降りすぎやしないかと心配し、寒ければ自分の服を庭の木々に着せてやりたいと思い、バカンスに家を空ければ留守を任せた知人に毎日あれこれと用を言いつけ庭仕事をさせ…、という具合に、四季折々の「園芸家あるある」がユーモラスにつづられています。チャペック兄による挿絵がとぼけたタッチでまた可愛い!

もちろん相違点もあります。たとえばチェコの六月は乾燥していて、時々雷とともに雹が降ること。あちらの庭は広いから、一部をロックガーデンにして高山植物やサボテンのスペースにできるということ(いや、これは単にチャペックが凝り性なのか?)。冬季には庭のあずまやや、バラのアーチや、パーゴラを手入れするように、などと園芸書には書いてあるそうです。パーゴラとは何ぞや?と調べたら、ぶどう棚のことらしい。

「手のひらほどの大きさでも、庭を持つべきだ」とチャペックは言います。私の、出窓に小さい鉢をいくつか並べただけのスペースも、庭と呼んでいいのかなとなんだか嬉しくなる一節です。

この他にも示唆に富む文章がたくさんあり、単なるモノマニアの「あるある」で笑わせるだけのエッセイではなく、時折しみじみ、じんとしてしまいます。例えば、私の好きなところ。

労働をするなら、楽しいからか、能力があるからか、さもなければ、結局は生きるためにか、どれかの理由でするべきだ。ところが、主義のために靴を縫うこと、主義や美徳を意識して労働するのは、それほど価値のない労働をすることを意味する。

たとえひたいに十字を切らなくても、わたしたちは誰でも、ゆっくりと人間の生まれたままの状態に帰るのだ。どの家のかまどの火も、かまどの神様たちに敬意を表して、燃えている。わが家への愛は、星の神々のどれかをあがめるのと同じ、一種の儀式なのである。

この本を読んでいて、「文化(culture)」と「耕す(cultivate)」は同語源だよな、とハッとさせられました。やわらかいふかふかの土を、きちんと自分の中にメンテナンスして、栄養を与えて、養っていかないと。
他の版も読んでみたいし、いずれ手元に置きたい一冊です。

園芸家の一年

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猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

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青矢号―おもちゃの夜行列車 (岩波少年文庫)

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いさましいちびのトースター (ハヤカワ文庫SF)

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ビールと古本のプラハ (白水Uブックス―エッセイの小径)

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わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

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4種のスパイスで作るインドカレーを3回作ってみた感想、ゆで卵のピクルス、そしてビリヤニなど。

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こちらの記事の続きです。

あれからリベンジもかねて、この「はてな匿名ダイアリー」で投稿されていたレシピでカレーを作っては食べ、作っては食べてみて、うまく作るコツのようなものが分かってきつつ、また自分なりのやり方に行き着きましたので、他のカレー好き、ひいては料理好きの方々とも共有出来たらと思い、覚え書きもかねてエントリする次第です。

前回のエントリが書かれた日付(6/22)をご覧になって、なんか頻度高すぎるんじゃない?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。文字通り3日と空けずカレーを作っているありさまなのですが、これはもう仕方がないですね。スパイスに呼ばれている、というか。初めて作った時に、食べ終えながらすでに「次はどんなカレーにしようかな」と考え始めている自分がいました。それから買ったスパイスはいつも冷蔵庫のドアポケットに保存しているのですが、冷蔵庫を開閉するたびに目に入るそれらに「あー、またカレー作りたいな…」とカレー欲が刺激され、結局最初に作ってからきっちり3日目に2回目の挑戦をしました。これがその時のカレーです。

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えび&キーマカレー
オリジナルからの変更点としては、辛みが少々物足りなかったので、スタータースパイスにホールの唐辛子を2本加えてみました。それから、しょうがとニンニクをすりおろさずに、どちらも細かいみじん切りにしました。前回焦げ付いてしまったのもあり、私の好み(単にすりおろしよりみじん切りのほうが面倒くさくない)もあり。やはりそうしたら、焦げずに苦くないカレーになりました。おおむねおいしかったけれど、エビはがっつり煮こんでしまったので、ちょっと硬くなってしまい反省。次は仕上げる直前に加えようと思います。

それからさらに3日目の今日、3回目のカレーを作りました。この3日という間隔は別に図ったわけではなく、どうやらこのカレー、食べた翌々日には、あー明日カレー作ろ!と思っちゃう身体にしてしまうみたいです。おそろしや…。

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3回目の挑戦はかぼちゃとオクラのカレー。写真だと全然見えないオクラは、ヘタを落としたあと軽く素揚げにして、皿に待機させて上からカレーをのせました。写真的には上にのっければよかった…。カレーを煮ているときに、火を止める直前に投入して合わせようかなとも思ったのですが、カレーにねばねばが移って、残りを使ってビリヤニを作るときに支障がでるといけないので、やめました。この時はビリヤニをお弁当にして、夫に持たせようと思ったので、ニンニクを抜いて、代わりにショウガを多めに。ショウガは今回はすりおろしました。辛味もまた変えてみました。今回はホールの唐辛子に加え、チリパウダーも+小さじ1杯。代わりにコリアンダーを大さじ1から小さじ2に減らしました。
ちなみにこのカレーにはタンパク質が入っていないので、付け合わせにピータン豆腐を食べました。豆腐に刻んだピータンをのせて、ごま油と醤油を合わせたたれをかけただけの中式冷奴。うま!

というわけで、以上から私なりにこうしよう!と思ったことを書いておきます。

常に前倒しで作業する!

前回記事で「次の工程に進むサインを見逃さない」ということを書きましたが、「これ、もういいのかな?いや、まだかも…。もうちょっと待ってみよう」と、律儀にサインが出るのを待っていたら時機を失するということがわかりました。火は常に強火なので、ぼやぼやしていたらどんどん加熱が進んでしまいます。なので、「玉ねぎの一番小さいのが焦げてきた!はい次!」「トマトがちょっと崩れてる!はいスパイス!」と、どんどん、気持ちちょっと早めかな?というくらいで工程を進めていくと失敗しないと思います。「これはもういいのかな?」と思った時点でもういい!と押し切るスタイルでやっていくとスピードに乗れます。

焦げやすい器具ではおろさずにみじん切り!

私は鉄フライパンを使っているのですが、2回すりおろししょうがでやってみて、おそろしく焦げ付くということが分かりました。玉ねぎに水分が残っていようがいまいが、炒めるそばからどんどん乾燥して、そしてハネる!超痛い!ハネたクミンが刺さるよりも心なしか痛い!調理器具の加工によっては全然こういうことがないものもあるかと思いますが、私はやはりショウガとニンニクはみじん切りにしようと思います。

ゆで卵のピクルスとカレーは最強に合う!

2回目のカレーも1回目と同様にゆで卵のピクルスを添えています。これは1回目のと同時に漬けこんだものだったのですが、黄身にまでお酢の味がしっかりついていて、もう本当においしかったです!
普通にゆでた卵の殻をむいて、水とお酢を1カップずつ、砂糖4分の1カップ、塩大さじ1、唐辛子、ニンニク適量を鍋でひと煮立ちさせて作ったたピクルス液に漬けるだけです。
漬けて3~4日目がおいしいんじゃないかな。私は固ゆでにしましたが、半熟でもおいしいかも。インドカレーだけじゃなく、どのカレーにもたぶん合うと思います。試したことない方は、ぜひぜひだまされたと思って一度作ってみてください。

トマトの大きさはあまり影響しない!

1回目から3回目まで、だんだんとトマトを切る大きさを大きくしていってみましたが、最終的に10分煮るので全部跡形もなくなります。特に、今日(3回目)は野菜カレーだったのでトマトも存在感が出るといいなと思いかなり大きめ、といっても8~12等分くらいにしたのですが、ものの見事に溶け込みました。「トマト&カボチャ&オクラカレー」にしたかったなら、煮る工程の中間地点くらいに追いトマトをしたら、トマトの食感も楽しめるカレーになったかもしれません。
ともあれ、材料を切る作業というのは地味に時間がかかるし面倒くさいので、大きく切ってもいいものはどんどん大きく切って手抜きをしちゃうことにします。点火から煮込みまでは本当にジェットコースターみたいに一気に出来るので、楽しいです。

おまけ・ビリヤニの作り方

ビリヤニはインド風炊きこみご飯で、下茹でした米とカレーを鍋の中で重ねて炊き上げたものです。最新号のdancyuカレー特集でもビリヤニのページがありましたね。
このインドカレーのレシピだと、2人で食べるとちょっと余りが出るので、私は毎回ビリヤニにしています。

以下に、私のカレーバイブル『カレーのすべて』(柴田書店)のレシピ+dancyuに載っていたレシピのうろ覚え(買ってないんです…すみません)+試行錯誤しながら3回作って自分なりになんとか定まったレシピを記しておきます。

米1合を軽くといで、吸水させたあとざるに上げる。
ターメリック少し、バター少しを入れた多めの水を鍋に沸騰させて、そこに米を全部入れる。3~5分くらい茹で、ざるに上げて湯を切る。
鍋に米と、残りのカレーを交互に重ねながら入れる。鍋底から米、カレーの順番で。
酒少量をふって、フタをして、点火。5分くらい弱火にかけた後、ちょっと中をのぞいて水分が飛んでいたら火を消して20分蒸らす。ざっくり混ぜて器に盛る。

これを食べながら、あ~またカレー作ろう、次は何入れようかな、と思うのでした。

おわりに

インドカレーは元々好きで、自炊も元々好きなのですが、今までは作れるものじゃないと思っていたので、もっぱらお店で食べていました。
その反動なのかなんなのか、もうすっかりこのインドカレーのレシピがやみつきになって、いつでもこのカレーが食べられるように、今やトマトと玉ねぎは常備品です。
スパイスや食材方面にも興味が開かれて、次はどれを注文しようかなとわくわくしてます。
おすすめの食べ方などあったら、ぜひ教えてください!

カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック

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