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つのへび日記

こなやぎのブログです。2015年4月から1年間滞在した中国江蘇省・南通市のこと、手仕事、語学、短歌など。

書店へは、暮らしの新しさを見つけるために行きます。(7/16後日談追加)

日記 長文 雑感

というzuccaの創業者、小野塚秋良氏の言葉が好きで、私もいつしかそう考えるようになった。
(厳密には少し違っていて、インタビュー記事の質問のひとつ、「暮らしの新しさを手に入れるために何をしますか?」への回答が「本屋さんへ行きます」だったと思う)

今日はもっとはっきりして、かつ普通の目的、欲しい本があったので本屋さんへ行った。

目当ては、平凡社ライブラリの今月の新刊、『百鬼園百物語』。

一軒目、個人新刊書店のD書店。個人でやってるから尊敬している。だから今度からなるべくここで買おうと決めていたので、週末まで本を探すのを我慢してた。でも無かった。前回来たときと、本棚の中身があんまり変わってなかった。以前話し掛けたときにものすごくそっけなくされたのがトラウマで、取り寄せをお願いしても迷惑そうな顔をされるのが怖くて、諦めた。

二軒目。百貨店に入ってる全国チェーンL。文庫棚、新書棚、ぐるっと見渡して、平凡社ライブラリどこですか?と店員さんに聞く。店員さん、私が見たとこ同じようにぐるっと回って、他の店員さんに聞く。新書ですか?と訊ねられる。あのーここLブロですよねー、と思いながら、文庫より一回り大きくて、とか説明する。タイトル訊かれる、タイトル言う、聞き返される、言う、今月の新刊ですと付け加える、その時点で店員さんたち諦めモード全開で、それなら入ってないかもねー、みたいな感じになる。結局在庫なし。
最後に、結局平凡社ライブラリは置いてないんですよね?と聞くと、(探してる本は)平凡社ライブラリの他の本でもいいんですか?とか意味不明な逆質問を受けて、思わず笑った。そのあとちょっと落ち込んだ。夫が(慰めようとしたのかなんなのか)、書店はその町をあらわす顔だと言いますから…、と言うのを聞き、さらに落ち込んだ。

それから最後にもう一軒だけ、近所の大型スーパーの書店にダメもとで寄る。結論としてはまあダメだったけど、口頭で書名を伝えたら、ああ案内で見たという反応だったし、取り寄せできるか調べましょうか?が聞けて、印象は一番よかった。だけど、むしょうに悲しかった。泣きそうにさえなった。(いま考えると、取り寄せ云々、と訊かれて、ちょっとほっとしたというか嬉しかったから泣けたのかなとちょっと思った。ここまで言うのが最低ラインでしょうね)

結局、もったいつけずに職場の一番近くの、毎月平凡社ライブラリの配本はあるしコーナーもある書店で買えばよかったのだった。今週で今の仕事を辞めたら、あまりあの辺りには行かなくなるだろうから、さっさと買っておこう。

D書店は返本ができないだろうからそれゆえ売れないと棚が固着してぐずぐずになるという難しさはよくわかる。だけど長考されるのか、新刊配本とのタイムラグが長すぎてはんぱな古本屋みたい。暮らしの新しさのために本屋さんへ行きたい私には応援したくてもできないとわかった。ごめんなさい。私に応援されなくとも別に困らないだろうけど。
Lブロは論外。接客ノーコメント。売れる/売れないと入れる/入れないが必ずしも相似にならないのが書店じゃないのかな。というのは理想論でしょうけどね。

もしかしたら、私はやっぱり新刊書店で働くしかないのかもしれない。不遜?いえ、どちらかといえば自虐です。


***後日談(7/16追加)***

この日記の次の日、ふたたび百鬼園を探す旅へ。
上に書いたようにあてにしていた書店(ここで同ライブラリの澁澤龍彦『ホラー・ドラコニア少女小説集成』を買いそろえた)があったのだけど、なんたることか、少し目を離した隙に、平凡社ライブラリの棚が大幅に縮小されていた。
そして「今月の新刊」の棚には、先月の配本がぽつんと一冊挿してあった。
(わたしはこの状態の棚が、一番嫌い。配本が無いとしても、公式発売日から一週間以上経ってるのに…)

その後、念のために、というか大穴狙いに、下通りのデパート内にあるK屋書店へ。大穴を狙うだけの嬉しい経験を以前していたから行ってみた。平凡社ライブラリは今まで回った書店で一番品揃えがよかったけど(Lブロの店員さんにここ読んでほしいくらい)、残念ながら入荷せず。「今月の新刊」の棚も、残念ながら上に同じ。

というわけで、私が買ったのは、TSUTAYA書店三年坂店。
実はもうここにはあるだろうとほぼ確信していたんだよね。でも「町の本屋さん☆ミ」を大切にしたくて、礼儀上巡回してた。見つけたらもちろん、そこで買うつもりで。
でも無かった。TSUTAYAは予想通り、あった。でもまさかいい場所で面出しされてるとは思わなかった。嬉しい裏切りだ。
(しかもその二、三週間後に行ってみたら、怪談のミニフェアをやっていた。姉妹本の泉鏡花『おばけずき』はもちろん、フリオ・コルタサルとかブラックウッドとか、おお!という感じの)

実際今まで、これも、これさえも、店頭で見つけて買ってきたし、いかにも目利きがいるような作り込みようの棚が気になっていた。そして今回、確認した。単なる母体の大きさ云々という問題じゃなく、ここは利用すべき書店だと。

町の小さな個人書店と大型書店を対立させたがる声をしばしば見る。そういう論調でTSUTAYAを名指しで批判するのも見かけたことがある。
武雄市の図書館は思想上ちょっと受け入れがたいけれど、私は少なくとも、熊本にいる間はTSUTAYA書店をひいきにすると思う。そんなの本物の本好き、本物の読書人じゃない、というなら別に本物の読書人になんてなりたくないし。
努力しない、ノスタルジイだけ食べて生きてるような本屋さんは嫌、もし自分が始めてもそんな風になんてなりたくない。
暮らしに新しさを、持ち続けていられますように……。