つのへび日記

こなやぎのブログです。手仕事、語学、短歌、読書や映画など。

『風立ちぬ』2013年/日本/126分

もう10日以上前の話になるのですが。
友人から試写会のお誘いがあったので、ありがたくご一緒させていただきました。
ジブリ映画は『千と千尋の神隠し』以来だと思います。たぶんジブリ映画を見ていない日本人のワースト一割には入ると思う、そんな人間です。ナウシカもハウルも魔女宅もオチを知りません。下手したらストーリー知らないかも。

気付いたことなんかをちょこちょこ書いておこうかなと思い、別にツイッターでも良かったんですが、あくまで「清貧の書」アカウントであり、最近なんか私物化してる感がなきにしもあらずなので、こなやぎの個人的なことがらについてはもう少しこのブログを活用しようと思います(という何度目かの決意)。140字以内に収めようと苦しまなくてもいいし。

映画(および元になった宮崎駿の漫画)のあらすじやらキャストやらについてはこちら宮崎駿版『風立ちぬ』の主人公のモデルとなった堀越次郎についてはこちら(どちらもウィキペディア)に詳しいので、割愛。

上のウィキペディアによると、今回駿は初めて大人向けのアニメということで作ったそうです。
大人のためのアニメなんて無い、というスタンスで今まで一貫していたところが、<<武器や兵器にわくわくする少年駿VS反戦の大人駿>>の折り合いを付けろと言われたとかなんとかで。

とにかくみんな煙草をよく吸うなー、というのが、一番印象に残りました。主人公も、主人公の友達も、もくもく吸う。そこはむしろプラスでした。私には。
「大人の映画って触れこみだから、教育的配慮なんてしないよ」っていう開き直りが見えて、痛快。
実際、社交サロンとしての喫煙所の役割、という当時の文化をきちんと作品に表わしているのだから、ここは評価してもらいたいなー。
作品では軽井沢のホテルでしたが、昔の豪華客船の喫煙室とか、贅沢で素敵です。

ただ、細かいところかもしれませんが、主人公の男性とヒロインに、それぞれ手紙を書くシーンがあり、その字がどちらとも雑(むしろ同じ筆跡?くらい適当)だったのがどうにもいけませんでした。
主人公もヒロインも身分賤しからぬ子息子女で、こんなザ・教養!って人たちがこんな小学生みたいな字書くわけないだろ…と思ってしまったら、なんかそれ以降、醒めちゃいました。残念。
同じ映画とはいえ実写だしジャンルも全然違うので頓珍漢は承知なのですが、内田けんじ監督の『鍵泥棒のメソッド』が車から小物からそれぞれのキャラクターに合わせて三者三様に設定し、筆跡もそれぞれ筆耕業の方を用意していた(堺雅人だけは自筆だったかな、確か)というようなこだわりを思い出すと、ちょっと惜しいなあと思いました。

酷評らしい声優は、私は特に気になりませんでした。
なんか、ジブリ映画=棒読みみたいな先入観があるようで、まーこんなもんだろ!と思ってました。
西島秀俊だけは、顔がもうモロに「中に西島秀俊がいるよ!」って風貌だったのですぐにわかりました。
エンドロールで、野村萬斎がイタリア人役で出てたのを知って驚いたけど、大仰なセリフ回しの感じとか、納得。イタリア語もちょっとしゃべってましたね。巻き舌も上手いとは。
ストーリーは綺麗でした。
ただ、宮崎駿は「初めて自分の映画を見て泣いた」とか言ってるらしいですが……それはちょっと、大丈夫かなーと心配に…。

長いしまずい感想ですみません。でも、自分では選んで観にいく映画じゃなかったので、こうして機会があってよかったです!
ジブリファンの方がこれを読んで不快になられたらすみませんが、こういう視点もあるということで、面白がっていただければ幸いです。私にはいい体験でした。誘ってくれたKさん、ありがとう!

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