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つのへび日記

こなやぎのブログです。2015年4月から1年間滞在した中国江蘇省・南通市のこと、手仕事、語学、短歌など。

ビジネスで使える素敵なボールペンを考える(の前書きとして、万年筆の欠点を考える)

文房具 長文

 

「社会人だったらもう少しいいペン使った方いいんじゃないか」   先輩から..

モンブランは本体だけじゃなくメーカー修理の費用が高すぎるから、二択ならパーカーかな。若い人ならクロスお勧め!でも個人的にはウォーターマン推し。

2015/11/18 00:18

 

ゆうべ、この「はてな匿名ダイアリー」のエントリを読んでいて、ブコメだけでは語り足りなかったので、今日は好きなボールペンのことを書きたいと思います。思ったのですが、書いていると前書きがあまりにも長くなってしまったので、今回はその前書きである「なぜここではボールペンなのか?万年筆じゃだめなのか?」という部分だけにとどめておきます。

 

愛してやまない万年筆にも、欠点はある

私は基本的に万年筆ユーザーです。上のエントリのブコメにも万年筆派が多数いらっしゃいましたが、万年筆ユーザーとて、会社勤めをしていればボールペンを使う必要に迫られます。なぜ万年筆ではボールペンの代わりができないか? というと、理由はいくつかあります。

欠点1:インクが消える可能性がある

万年筆で使用するインクの多くは水溶性です。そのため書類への書き込みには向きません。昔の海外の映画などでは万年筆で署名していますが、書き手にペン先がなじんでゆく万年筆だと他人に真似されにくいために誰もがそれぞれ万年筆で署名していたという背景があり、当時のインクも現在の多くのメーカーが使う染料インクとは異なる成分なので、現在重要書類に使ってもいいという理由にはなりません。とはいえ、「ボールペンで」という指定がとくになければ、自己責任で使ってもいいのかなと私は思います。向きか、不向きかでいえば、不向きですけど。

欠点2:ビジネスのスピード感に合わないキャップ式

万年筆は原則としてキャップ式なので、使うたびにキャップを開け閉めしなければなりません。そして、キャップを外しっぱなしにすると、ペン先が乾いてよろしくないのです。自分の時間に悠々と使うならともかく、やはり仕事中となるとキャップ式の筆記具はいささか非効率です。キャップを落としたり、机の上で行方不明になったりしたら、それを拾ったり探したりするのも煩わしいです。

それでも万年筆を使いたいなら

これらの欠点については解決案が一応あります。

 

インクが消える→消えにくいインクを使う

第一の欠点は、乾くと水に溶けなくなるカーボンインクや顔料インクを使用することで回避できます。国産だとセーラーやプラチナから出ています。

 

 

 

 

これらは一般的な万年筆のインクよりも黒々はっきりした色が出ます。それが好きでこれらのインクを使う人も多いようです。このあたり、ゲルインクを好むボールペンユーザーにも通じると思います。(カーボンインク、顔料インク、ナノカーボンインクはそれぞれ異なるものですが、これらの「非水溶性インク」を以下まとめて便宜的に「カーボンインク」と書きます。)

注)非水溶性インクは自己責任で 

ただし!乾くと水に溶けないというカーボンインクの特徴は、そのまま欠点にもなります。カーボンインクを入れた万年筆を、毎日使い続ければ、即ちインクを流動させ続ければ問題はないのですが、何かの都合でしばらく放置してしまうと、ペン先はがちがちに固まります。普通の万年筆インクならば、しばらく水につけておくとまた使えるようになりますが、なにしろカーボンインクなので、文房具屋さんに行って洗浄してもらわないといけません。下手を打つと、メーカー修理が必要になるかもしれません。そしてメーカーは基本的に、純正インクの使用を推奨しています。他社インクを入れて生じた問題はユーザー責任ですよ、という感じです。直してはもらえますが、ユーザー保証期間内でも、実費になる可能性が高いです。

 

キャップ式が仕事向きじゃない→ノック式万年筆を使う

第二の欠点については、パイロットからノック式万年筆「キャップレス」が出ていますので、それを使えば問題なし。私も一本欲しいとずっと思い続けてます。スタイリッシュ!意外と歴史があって、何代もマイナーチェンジを繰り返しているロングセラーなんですよ。 

  

 

仕事用に、カーボンインクとキャップレスの合わせ技という万年筆ユーザーもいます。ただ、パイロットからはカーボンインクは出ていないため、これをやっちゃうと自動的に前述のユーザー責任コース一直線なので、気を付けてください。

それでも万年筆が不向きな理由

と、このように上記の欠点をカバーしてもなお、万年筆がビジネスに不向きな理由があります。

それは一つに、万年筆最大の利点「インクをペン先に流すことによって、筆圧をかけずに筆記できる」という機構そのものにあります。

 

つまり、万年筆のペン先自体、筆圧をかけられないようになっているのです。もし強い筆圧をかけるとペン先が歪んでしまい、紙との接地面に違和感が生じたり、インクの出が悪くなったりと、メンテナンスが必要な状態になってしまいます。

筆圧をかけられないとなると、複写式の書類に記入ができません。「複写式の書類なんてそうそうないから、その時はボールペンを使うよ」というのも、あまり効率のいいことではありません。

 

それから、上記の匿名ダイアリーのエントリのような方なら、胸に差しておいて顧客にお貸しするというシチュエーションをも想定して「良いのを使え」と言われているのかもしれません。それならペン先がユーザー個人になじんでゆく万年筆は、やはり不向きということになります。万年筆がそのような特性を備えた筆記具であり、使い慣れていない方にはコツが必要なのに対して、「誰がどう握っても、ペン自体に問題がなければだいたいちゃんとインクが出る」ボールペンの気安さは、かかる場面においては大変優れているものだと思います。

そして、契約の場面などでやや重量感のある、金属の感触がひやっとしたペンを「どうぞ」などと恭しく渡されると、雰囲気にメリハリが生まれ、契約書へのサイン一つでも相手には「何か特別なことをしている!」という印象を持たせることができていいんじゃないのかなあ、と思います。

 

次回のエントリでは、好きなボールペンをいくつか挙げたいと思います。左利きの万年筆ユーザーたる私が勝手に選ぶので、そのようなバイアスがかかっているものとして読んでもらえればうれしいです。

⇒書きました!