つのへび日記

こなやぎのブログです。手仕事、語学、短歌、読書や映画など。

2021年に観て面白かった映像コンテンツ10選(アニメ、映画、Youtubeほか)

(最終更新日:2022/8/27)

家で動画を観る習慣のはじまり

2020年の春まではあまり家で動画を観る習慣がなかったのだが、コロナ禍から映画館へ行けなくなり、動画配信サービスを使う頻度が上がった。
ただ、当初は6インチのスマホで観ていたので、あまり集中すると目が疲れる。
「ながら見」でBGMにできるような既知の映画をもう一度再生することが多くなり、新しいコンテンツへは積極的には手を出していなかった。

状況が変わったのが今年の半ばのこと。
AmazonプライムデーセールでFireを購入したのだ。

8インチと小ぶりなのだが、もともとの目的だったKindle読書もはかどるし、手持ちのスマホスタンドに立てかけてもぐらつかない。
その後ノートPCも購入したことで出番は消えるかに思われたが、やっぱり持ち運び出来るというメリットは大きくて、今もなんだかんだ毎日使っている。

ちなみに使っているスマホスタンドはこれ。ハイタイドのシンプルなもの。

「とりあえず観てみる」へのハードルの低下

私はあまり連続視聴するコンテンツを完走できなくて、ドラマでも何でもすぐ途中で放置してしまう。
もしくは振り落とされてしまう。

アニメに関して言えば、たとえ2時間で完結する映画であっても今まで観たことがあるものはかなり少ない。
2020年時点で最後に観たアニメは「響け!ユーフォニアム」かまどマギのどちらかで、それだって日本語コンテンツに飢えていた中国留学時代(2015年頃)に視聴したのだった。
kn.hatenablog.jp

だけどFireを毎日使うようになって、ちょっとそのあたりへのハードルが下がったのか、割とどんなジャンルの動画でも軽率に再生ボタンを押してみることが増えた。
「最後まで読まなくていい権利」は読者の権利10ヶ条*1の一つだが、映像コンテンツにもそれは言える。

私たちにはコンテンツへ手を出す自由もスルーする自由もあるし、いったん手を出したものを放棄する自由もある。
合わなかったからと途中で観るのをやめても、誰にも怒られないし怒られる筋合いもない。
映画を倍速でどうのこうのしたり、あらすじだけ読んで満足するのはけしからんというのにしても、じっさい好きにすればいいのだ。
人の持てる時間をどう使おうが、その人の勝手なのだから。
(告白するが、私も6~7割の作品はプロットを知れば満足してしまうので「作品名 ネタバレ」で検索することがある)

2021年に観て面白かった映像コンテンツ

新作・旧作にかかわらず列挙した。

1.PUIPUIモルカー

Fire購入後、最初に観た連続テレビアニメがこれだった。
1話あたりの時間が短いのでちょっと観てみるか、という気になったのだが、面白かわいさにすっかりハマった。
シロモが不憫かわいい2話と6話、ストーリーが楽しい5話、10話、11話が特にお気に入り。

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2.ゴールデンカムイ

原作マンガにがっつりハマった延長で手を出した(2期まで)。
kn.hatenablog.jp
絵は粗いし、原作の醍醐味である大脱線や大風呂敷がそっくりそのまま楽しめないのは確かに残念ではある。
しかし、極力流れを壊さないように(かつ色々なものに抵触しないように)12話1クールの放送枠に落とし込む技術は相当なものだとおもう。
本作を観てあらためて、週刊連載漫画からTVアニメへというのもアダプテーションの一形態なのだな、と思った。

3.かげきしょうじょ!

アマプラのホーム画面によく出てくるので軽率に観はじめ、一週間ほどで第一期完走。
最初さらさちゃんのことをルフィ型の破天荒天然タイプの主人公なんだと思って、あまり好きになれなかった。
しかし、回を重ねるにつけ明らかになったのは「登場人物たちはみなこの物語の舞台に上がった時点で『選ばれし乙女*2』だということ」だ。
つまり何らかの才能があることは大前提で、なおかつ才能だけあってもだめなのであった。
その厳しさ、熱さに、思わず全員を応援したくなる。

ただし視聴の際は下記の点に留意されたし。


補足すると、ツイート中に「キモオタさん」と書いているのは、作中でステレオタイプなオタク容姿の男性をキラキラ女子(主人公)が直接そのように呼ぶシーンが(ギャグ文脈で)あるからです。

歌劇団がテーマのアニメなのだから、そりゃ全体的な世界観もある程度ルッキズムを肯定してしかるべきなのだろう。
でも、愛ちゃんの幼少期のつらいエピソード(性被害)は悲しいつらい!それと同時に、もさい男性をキモオタと呼んで笑いを取るのはOK!というのはさすがに何なの?と眉をひそめた。もやもや。

原作マンガは結構ストーリーが進んでいそうで、気になってます。二期まだかな!

4.映像研には手を出すな!

これも軽率に観はじめた。そして実は第3話まで観て止まっている。
それは単純に私の経験値が低いからであって、アニメにあまり親しんでこなかった身には情報量があまりに多いので、咀嚼しながら少しずつと思っているのだった。
げんに3話を観たあとで他のアニメを観ると、「ははあ、こうやって作画の省エネをおこなっているのね」と勉強になる。
脳のキャパに余裕があるときに、徐々に続きを観たい。

5.ダンベル何キロ持てる?

元々原作を数巻読んで好きだったので、アマプラのホーム画面で見つけてこれも軽率に。
まず、声がみんなすごく合ってる!本当にイメージ通り。
ひびきちゃんがめちゃ可愛いし、ギャグも原作同等かそれ以上に面白い!
女の子キャラそれぞれの違う魅力が存分に発揮されている。

音楽も全体的に(SE含め)好き。オープニングの曲が特に好き。
こういう「主題歌!!」って感じのテーマソングがあるとアガる。

金カムと並行してくらいのタイミングで観ていたので(比較的)絵がきれいだなーと思っていたけど、「映像研」で説明されていた省略の技法がたくさん使われていて合点がいった。

www.youtube.com
原作も面白いし筋トレの知識も増える。けっこう男性向け描写(女性の身体のパーツを性的に強調したり)が多いので、苦手な方は注意。
私はこういう健康的なカラッとしたお色気描写は好きなので、楽しめました。

6.スーパーカブ

これもアマプラで。
普通自動車運転免許すら持ってないしバイクにもカブにも乗る予定は今のところないけど、今まで一度も行ったことのない北関東(舞台は山梨県北杜市)の地理や生活を垣間見れて面白かった。

風景描写がとてもきれいだし、ちょっと非現実的な設定なのもいい。
福岡市内が舞台だとまず成立しないタイプの物語(すぐ地下鉄か西鉄バスに乗っちゃうから)。

北杜市ふるさと納税をちょっと真面目に検討しかけた。
だって金精軒もシャトレーゼも選べるんだもの。

原作はライトノベルのようで、大学生編に続くみたい。二期あるかな~?

7.ひつじが好き

アマプラはわりと動物ドキュメンタリーが充実している。たとえば密着! ネコの一週間 (吹替版)なども、大人が真面目な研究を頑張る系で大好きだが*3、これは日本各地の牧場にいるひつじの生活を追っていて面白かった。

なんとなくひつじ=北海道と思っていたけど、意外と他の地域にもいた。毛刈りのシーンは気持ちよくてずっと見ていられる。
ニッターは高確率でひつじ好きだと思うので、ニッターにもおすすめです。

8.みんなで筋肉体操

アマプラのNHKオンデマンドは全部有料かと思いきやそうでもなくて、これは無料で1シーズン分を視聴できた。
テレビがないので、ようやくTwitterで騒がれていた筋肉体操を把握。

テレビ体操のようなゆるいものかと思っていたら、内容はずっとハードで、しっかり汗をかくかんじ。
好きなフレーズは「浅いスクワットは浅はかなスクワット」「頑張れなくなったら、超頑張ればいいじゃない!」です。

9.ほえる犬は噛まない

これはGYAO!の無料期間中に観たが、今はAmazonでもプライム特典入りしてる。

映画の感想はfilmarksに書いたが、GYAO!はとかく頻繁に広告が入る。
でも実際ぶつ切りにされても面白い映画は面白く楽しめるなってことが、本作の視聴でわかった。
なので時間がないときは小分けに観てもいいやって思えるようになって、映画へのハードルがまたひとつ下がった。
言うほどそれから観てないけど。

10.のがちゃんねる

私がこの一年でもっとも多く視聴した動画コンテンツ。
夜ごはんのあと「今日はどれにしようかな」と選んでその日のコンディションとか忙しさに合わせて決めてやって、プロテイン飲んで、というのがルーティン化しつつある。
未体験の方はとりあえずこの5分のをやってみて、できなかったら2分からやり直し、出来たら他の動画もってやってみるといいと思います。

www.youtube.com

長くなりましたが以上です。

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選

*1:readingmonkey.blog.fc2.com

*2:これをタイトルに冠した第5話は2回観て2回泣いた。と同時に「パッと見平凡キャラ」もしっかり才能があるからここにいるんだよな…「普通の子」が到達できない場所なんだもんな…一体誰に感情移入したらいいんや…と打ちひしがれる思いだった。感情移入、別にする必要はないんだけど。

*3:この本を彷彿とさせるコンセプトだが、もっと大掛かりで科学的捜査なのが笑えて興味深い。

Evernoteを7年ぶりに使うので色々再構築してみた

筋トレのことをまだ途中までしか書いてないけど、何事も順番を守ることにこだわっていると先に進まないので、手短に書けそうな事柄から。

ノートパソコンを買った。数年前にASUSの2in1が壊れてから持っていなかったから、こういう形の機器を持つのはかなり久しぶり。
今回はスペック等ちょっとしっかりしたものを選んでみた。

それでEvernoteの存在を思い出した。

Evernoteは2013年から2014年頃までよく使っていて、中国留学中にOneNoteへ移行してそのまま存在ごと忘れており、去年ごろからはScrapboxを使って、スマホからブックマークとか色々なクリップをするようになっていた。

EvernoteScrapboxは用途がかなり近い。使い分けをどうするかというのはこの方の記事を参考にしたりして考え中。
note.com

何でも大小にかかわらずメモやリンク等をぽいぽい放り込んでいい、というのがこの手のツールの良さではあるのだけど、それをそのまま一切手入れしてやらないと、荒れ放題の庭というか、物を捨てられない人の部屋みたいになってしまう。しかも実体を伴わない分、その無秩序さや量の増大には際限がない。

ScrapboxEvernoteの大きな違いは、前者は情報カード一つ一つがフラットに存在していて、繋がり方も流動的であること。
かたや後者は、スタック>ノートブック>ノートという風にざっくりした階層(秩序)はあって、タグ付けなどで横断も可能ということ。

とりあえず、Evernoteに入っているデータのうち、リンクが切れたりして使い物にならないページを削除するところからはじめた。
何しろ7~8年前のブックマークである。


作業ではNAVERまとめの名前を久しぶりに見た。
ハフポとかライフハッカーなどは案外リンクの寿命が長くて感心した。

作業していて気になったのは、私はカテゴリ分けが非常に不得手(だった)ということ。*1


例えばこういう、気になった書名の備忘録だけなら、読書メーターの「読みたい本」に入れたら削除。
リンクは生きてるけど直近の使用可能性がきわめて低い(興味を失った、用が済んだなど)ノートブックは、別にスタックする場所を作ってアーカイブ化。

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最終的にこうなった

色々考えて、毎月の目標設定に使っているテーマカテゴリ(画像の1~5)のノート+目標/タスク管理のカテゴリ0、それから雑メモ用のカテゴリ9に集約してみた。
言わずもがな、カテゴリ6〜8は当座欠番にしておいて、必要が生じたら新設しようと思っている。

カテゴリ0群の目標/タスク管理については、今までも紙のノートでちまちま書いていたけど、これもPCを買ってからは調子に乗ってGoogleスプレッドシートガントチャートを作成したりして、面白おかしく工夫を重ねているところだ。*2

日誌についてはこちらの記事を参考に、Evernoteに平日用/週末用/月末用テンプレートを作って運用中。1ヶ月くらい続いてるので今のところ無理はなさそう。
honeshabri.hatenablog.com

Scrapboxについてはまた書く。

*1:思えばこのブログのカテゴリも全然なってなくて、これもどうにかしたいとずっと思っているのだった。

*2:Googleスプレッドシートはこれまでも使っていて、ボディサイズ表や家計ログなど単純な計算表をスマホから作成、更新していたが、やはりPCからだと格段に作業がしやすいと実感している。

コロナ禍における宅トレの記録(1)ステイホームとアクション映画

体を動かすことが好きだ。
もっと言えば、一人で黙々と体を動かすことが好きだ。
何かを定点観測してその結果を確認することも好きだし、機能性のある物も、それを使いこなすさまを見ることも好きだ。
例えばマーシャルアーツ。殺陣。いわゆるアクション映画の、特にアクション成分濃厚なもの。

2020年の初め頃から映画館へ足を運ぶ代わりにAmazonプライムビデオで映画を見ることが多くなり、まずプライム特典の「イップ・マン」シリーズからドニー・イェンにハマった。

ドニー・イェンの「イップ・マン」シリーズは4部作で、どれもそれぞれ良さもツッコミどころもあるけど、私はこの2作目が一番すき。
しかしスローモーションの多用さえなければ3作目の「イップマン 継承」が一番だと思う。
「継承」はストーリー性も(比較的)高くて、アクション好き以外からも割合人気が高いように見える。

その流れで、「継承」のライバル役・マックス・チャン演じる張天志(チョン・ティンチ)が主人公のスピンオフ、「イップ・マン外伝 マスターZ」にハマった。

個人的にはさほど「イップ・マン」本編に思い入れがあるわけでもないというのもあり、どうかすると本編より好きかもしれない。
主人公のチョン・ティンチだけじゃなく、ヒロイン、その兄、界隈を仕切る女親分など主要人物がだいたいカンフー使いという異様なアクション濃度の高さが良くて、香港のネオン看板の上での戦いや、華奢なマックス・チャンがどう見ても力負けせざるを得ないパワー系ボスとの一騎打ちなど、いちいちシチュエーションが凝っている。
女親分演じるミシェル・ヨーも、気風のいい姉御の役がすごくハマっててかっこいい。
これを書いているうちに無性に観たくなったので、書きながらまたAmazonプライムビデオで流し始めた。プライム特典最高。

そしてごく自然な流れから「殺破狼2」も観る。そしてハマる。
マックス・チャンが悪役のめちゃくちゃ強い獄長(刑務所長)を演じていて、端正な見た目とスーツ姿から繰り出されるアクションが華麗。このまま香港版キングスマンを撮ってほしい。
そして「継承」でいかにも無理やり出番を作ったような「謎の殺し屋」役だったトニー・ジャーが本作のダブル主演の一人で、娘思いの心優しき看守(なぜかムエタイが超強い)を演じている。ダサい邦題の「マッハ」の部分はこの人のせいです(「マッハ!」という主演の先行作品(ムエタイ映画)があるため)。
もう一人の主演、ウー・ジンを交えた終盤の3人でのバトルシーンは、本当に美しくてスピード感があって最高だ。

そんなわけで思った。
私も体を動かしたい!あわよくばマッチョになりたい!!と。

play.google.com

とりあえず「workout」かなんかで検索候補の上位に出てきた無料アプリをダウンロードしてみた。
部位別・難易度別に鍛えられるプログラムで、インターバルが長めに取ってある(調節可能)。そして1回あたりのセットも長め。
シンプルかつそこそこ親切な作りだし、プログラムも充実している。やる気が起きないときはストレッチのプログラムのみでお茶を濁すことだってできる。
しかし難易度が高まるにつれてトレーニング内容や量も増えるため、最高難度のセットは1セット30分近くかかる(これが後々のネックになる)。

とりあえず手始めに28日間連続のワークアウトセットを完了し、その後は徐々に低難易度のものから部位を変えながら日課として筋トレをするようにした。
ちなみにこの頃の目標は「トリプルX:再起動」出演時のドニー・イェン


www.youtube.com

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こんな50代いる?

ちなみに、「トリプルX:再起動」のようなドニー・イェンMMA(Mixed Martial Arts)を堪能したい向きには、「導火線 FLASH POINT」がおすすめ。
ルイス・クーとファン・ビンビンが画面に華を添えるものの、そこら辺含めた潜入捜査物のストーリーがスーッと薄くなる代わりに徐々にアクション一色になって、最後はコリン・チョウとの圧倒的な一騎打ちが延々続く、アクションオタクというかMMAオタクによるMMAオタクのための映画になる。そこがよい。

最近プライム特典に追加されているのですよ。このストーリーが二の次のアクションバカ映画が…。すごいことです。

ともあれ、上記のアプリで毎日トレーニングセットをこなすうちに、数か月後には最難度の腹筋プログラムをこなせるようになった。
私は体が固いので最初はインチワームがとても苦手だったのだが、続けるうちにだんだん出来るようになって、それがとても嬉しかった。
インターバルも、最初はデフォルト設定の30秒をまるまる使わないとへとへとで動けなかったのが、自分で設定を変えて短縮するようになった。

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7月頃から取り始めたボディサイズの記録。下腹と太もものサイズが落ちているのがわかる。
特に太ももは、鍛えるうちになんだか丸くてぽよんとしていたフォルムが、ひし形というか流線形のようになってかっこよくなった。
ボディメイクは自分の意志力と行動力の結果が比較的早く反映されるので、良い結果が伴うとますますやる気が出る。

話は反れるが、同じ理由から、私はすんなりと結果が出にくい遅効性の勉強(語学など)と筋トレは並行しておこなうべきだと思っている。
遅効性の勉強へのモチベーションが下がっても、同じ日数だけ筋トレを続けていれば可視化できる成果は何であれ手元に残っているし、それを確かめることで日々の勉強の積み重ねを実感できるので。

しかしながら、10月頃から忙しかった仕事がますます多忙になり、筋トレへ割くエネルギーとモチベーションが生み出せなくなってくる。
前述のとおり、高難度のトレーニングメニューは量が多くて時間も長い。
次第に低難度で短時間のトレーニングやストレッチでお茶を濁す日数が多くなり、とうとう連続日数も途切れ、筋トレをやらない日が増えてきた。
そして11月末ごろ、心身の調子を崩してしまった。

kn.hatenablog.jp

続く!

(今さら)パーソナルカラーとか骨格とか

Prime readingに入ってたので読んでみました。

骨格タイプやパーソナルカラーについてはご存じの方もおおぜいいらっしゃるかとは思いますが、ひとことで言うと骨格を3タイプ、肌色を4タイプに分類してそれぞれ似合う服のスタイルや色を提案する、という概念でして(身長が考慮されていないのが新鮮で画期的)、昨今ではかなり市民権を得ている印象(コスメのコピーなんかで「ブルベ/イエベさんにおすすめ!」みたいなコピーもよく見かける)。
これによると、私は骨格ナチュラル、イエベ秋でした。

正直最初は全然好きじゃないスタイルを提案されたのもあって「着たい服くらい好きに着させろや」とか、「基本的に私最高〜かわいい〜!ってアガりやすい自分には不要だったのでは」とか思っていたけど、読み進むうちにそうではなくて、私最高~!ってアガるいつもの自分の服選びにも一定の法則性があって、それが骨格タイプやカラーのアドバイスと矛盾していないことに気づきました。

具体的には、なぜえりぐりの大きく開いたトップスよりかっちり詰まった襟つきやタートルネックを好むのか、なぜ黒よりネイビーを選びがちなのか、なぜ青みピンクのリップが似合わなくてオレンジ系赤リップだとしっくりくるのか、どうして膝上スカートだと濃色タイツをはきたくなるのか、身長を言うと「以外と背低いね!もっと高く見える」と言われがちな理由、などなど、どれもこれも「骨格ナチュラル/イエベ秋だから」で合点が行くように思えたのです。

それと同時に思ったのは、これは着たい服をあきらめさせて型にはめるためのものではなくて、着たい服を着るためにはこういうポイントを押さえると自分に合ったスタイルになるよ!というヒントを与えてくれるものであり、むしろ選択肢を広げてくれるものなんだろうな、ということ。

例えば骨格ナチュラルの私なら、本来であれば身体のラインが出ないゆったりしたリラックススタイルが良いそうなのですが、残念ながらそれは私の好みではなく、好きなのは比較的身体にぴったりしたトラッドな服。
なのでおすすめスタイルそのままは踏襲せず、これは似合わないよ、やるならこうしたらいいよ、というポイントを押さえていきます。七分袖より半袖か長袖、ひざ丈スカートよりミモレ丈、同じベージュでも濃いめ、ピンクならサーモンピンク、など。
あるいは自分がしたいスタイルに合わせて身体を作っていくのもありかもしれません。(骨格ウェーブが似合うボトムスをはくためにはボディラインにメリハリが必要→ウエストを絞ってお尻を鍛えるなど)
また、骨格的に合わないデザインでも合う色を選んで傷を浅くする(全く似合わないとはならない)ということも可能そうです。

いつも同じ色味、同系統のデザインを選びがちな自分にはこういうのも合うんだな!という発見もあって良かったです。高まる冒険心。
夏も終わって秋冬物の準備にとりかかるこの時期、なにも指標がないなかで無数にある選択肢から服を選ぶのもなかなか大変な作業ですが、今年は(いまさらながら)これをヒントにお気に入りを見つけていけたらいいなと思います。

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』感想

早川書房が時々開催してくれる電子書籍半額セールでは、それまで気になっていたものをつい色々と買ってしまう。
レイ・ブラッドベリのことは、何となく「タイトルがどれもおしゃれなSF作家」みたいな漠然としたイメージしかなかったが、読書猿氏の『独学大全』で紹介されていた2冊が気になっていて、いずれもセール対象だったため購入した。

…というのが3ヶ月前で、今週ようやく読みはじめることができた。いざ取りかかると、予想よりも長くなかったというのもあり(古典的名作と名高い作品は長篇に違いないという先入観)、2日で「訳者あとがき」までたどり着いてしまった。

短い感想はこちらに書いた。
bookmeter.com

訳者あとがきにもあるが、旧訳でのガイやベイティーの職業は「焚書官」なのだそうだ。新訳では「今や家々は完全に防火仕様となり、そのFiremanという職業は火を付ける人たちをこそ指す」という設定を踏まえて「昇火士」としてある。これなら日本語の消防士と音も似ているので、原文のニュアンスを損なわない。

昇火士ガイの日常は隣家に越してきた少女クラリスによってさざなみ立ち、老学者フェーバーとの友情、上司ベイティーとの対立そして逃亡、グレンジャー率いる「生き残った書物たち」との邂逅、そして終幕まで一気に物語は進む。クラリスもフェーバーも、そしておそらくグレンジャー達さえも、ガイと出会い、役目を果たすとやがて舞台を退場する(だろう)。でも消えてなくなるわけではない。本文より、ガイのことば。

見たものがおれのなかにはいるときには、そいつはまるでおれじゃないが、しばらくたって、はいったものがおれのなかでひとつにまとまると、それはおれになる。

私は、ガイが通過し、またガイを通過する彼らは、みな書物の象徴なのだと解釈した(クラリス=破天荒な新鮮さをもたらす文学。フェーバー=教え諭し、導くバイブル。グレンジャー達=世界を収集し俯瞰する、事典や目録。平凡な読みだとは思うが、一応書いておく)。だが、ベイティーはどうだろうか。

半端に本を読んできた自覚のある人は皆そうなのかもしれないが、『華氏451度』ではベイティーの哀れさがひたすら身につまされる。彼は似非インテリであり、本を引用することで本を征服した気分になる傲慢屋で、フェーバーやグレンジャーになれなかった弱い人間でもある。それゆえ執拗に「持たざるもの」ガイに対して、自らのなけなしの所有物(シェイクスピアをはじめとする古典からの夥しい引用)を武器に攻撃し、ついに反逆にあう。そういう生半可な俗物が権力を握っているというリアルな醜悪さが、この物語の凄味をますます増している。

そしてそうした態度への1つのアンチテーゼもまた、物語のなかで親切にも明確に示されている。書物の守護人のひとりであるグレンジャーのことば。

われわれがただひとつ頭に叩きこんでおかねばならないのは、われわれは決して重要人物などではないということだ。知識をひけらかしてはならない。他人よりすぐれているなどと思ってはならない。われわれは本のほこりよけのカバーにすぎない、それ以上の意味はないのだからな。

思った以上に心の深いところへ迫る物語であり、ジャンル小説という位置付けにくわえ比較的最近の書物にもかかわらず、ここまでmasterpieceのような扱いを受けることの理由がわかった気がする。またこんど、最初から読み返したい。とりあえずは、同時に買ったもう1つのブラッドベリ作品『歌おう、感電するほどの喜びを!』を続けて読もうとおもう。

『ゴールデンカムイ』を読んでる

皆このタイミングで『ゴールデンカムイ』を読んでる。
「このタイミング」というのは、連載がいよいよ佳境に入ったので最初から最新話までヤンジャン!アプリから無料で読めるよ、という太っ腹過ぎるキャンペーン期間のことだ(9/17まで⇒9/20まで延長)。

ynjn.jp

私も例に漏れず、卯野さん(id:macchauno)のエントリでそれを知って読み始めた。

nerumae.hateblo.jp

山の日代休~お盆もずっと読んでた。その間ワクチンの2回目接種があったりして、熱が38度出た。読むのをやめて寝て、熱が下がったらまた読むことを再開した。

連休が終わってからも読みつづけて連載に追いついた。木曜日は会社でお昼休みにアプリを開きたいのをぐっとこらえて、帰宅してすぐに読んだ。先週は休載で、明日はまた新しい話が読める。終わりに向かう寂しい気持ちもあるが、こんなに毎週心待ちに読む物語が、相当感性の鈍ったこの年になってもあるということがうれしい。

ゴールデンカムイ』のことは前々から面白そうと思っていて、電子マンガサイトの無料キャンペーンで最初の2巻+3巻の初めまで読んだとき「うおーおもしろ! 完結したら一気に読もう」と読みたい気持ちを温存させていた。これはマンガ愛好家からすると許しがたい、だめなマンガ読者の典型的な有りようで、連載中に何かしらの形で(出来れば経済に寄与する形で)賛辞を送らないと意味がないという。ある意味それは正しいが、私はたいていの場合「ぜんぶで大体何巻ですよ、いまは全体の何パーセントくらい読みましたよ」と適宜示してもらわないと愛せないというか、愛そうと決めることができないというか、とにかくそうさせてほしいのだ。

そういう向きにもこの「完結間近!一気読み!」というキャンペーンは刺さったのだろうし、だからこそ皆が読んでいるに違いなく、今まで興味を持ちつつ様子をうかがってきた多くの読者をここで獲得して最終回までの気分を盛り上げる、というのはなかなかどうしてものすごい戦略だなー、と感心した。

狩猟、サバイバルグルメ、軍事、新撰組、近代史、強いヒロイン、大自然の脅威などなどいろんなオタクの食指を動かす要素が『ゴールデンカムイ』にはちりばめられているが、和人とアイヌ、北海道アイヌ樺太アイヌアイヌの宗教観と東北マタギのそれ、樺太の中のポーランド人、極東ロシアの中の少数民族など、作中の言葉を借りるなら「ちょっと違ってちょっと似ている」ことの豊穣さを丹念に描いているところに私は惹かれる。

言語ひとつを取っても、読み始めた頃はアイヌ語の面白さにのみ目を奪われていたけど、物語が進むにつれ、それと同等に日本の他の地域の方言の多様さ面白さにも気づかされる。九州生まれ九州育ちで大学時代も関西だったので、これを読むまで新潟の方言にも佐渡と本土で微妙な差異があることなど(言われてみれば勿論あってしかるべきなのだが)思い及びもしなかった。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%82%A4/dp/B07FCY7RWPwww.amazon.co.jp


ちなみにアマゾンプライムビデオでは、アニメ1・2期がプライム特典で無料なので、未見の方は2期で鯉登少尉が話す早口の薩摩弁シーンだけでも見てほしい。3期では樺太編に入り、ロシア語を話す月島らが見られるようなのでそれも楽しみ(有料で見られるがいまのところ未見)。

以前岩波文庫で読んだパナンペ・ペナンペ物語も出てきて面白かった。
この本は片方のページに日本語訳、もう片方にアイヌ語(ローマ字表記)のパラレルテキストなのがいい。文法は対して分からなくてもosomaを見つけてニヤニヤしたりできる。

最終回まで楽しんで見届けたいとおもう。

2021年8月に読んだ本

8月の読書メーター
読んだ本の数:2
読んだページ数:632
ナイス数:9

デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方 (ハヤカワ文庫NF)デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方 (ハヤカワ文庫NF)感想
モバイル機器からのPVを前提としたWeb広告やサービスによって、今や興隆を極めている「注意経済(アテンション・エコノミー)」。術中にはまった我々は1日何時間も自らの関心をスマホに向けてしまうことに…。ガジェットによって人は良くなるべきなのに逆に道具に使われている現状に警鐘を鳴らし、自分の時間を取り戻そう、というのが本書の趣旨で、社交にリソースを割かずにいられないのは旧石器時代からの生存戦略が働くためという説は面白かった。ちょうど月末月初にかけて読んだので、8月は書かれていることをいくつか実践してみる。
読了日:08月01日 著者:カル ニューポート


いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学感想
一見タイムマネジメント系のビジネス書を思わせるメインタイトルだが、実際のところはサブタイトルが示すscarcity(希少性/欠乏)にまつわる研究をまとめた書で、欠乏の対象は時間にとどまらずお金(貧困問題)や人間の処理能力にも及ぶ。欠乏は人に「トンネリング」を起こさせ、その集中がプラスに作用することもあるが大概は視野狭窄を引き起こす。「スラック」という予備(遊び)の部分を残すことで、その緩和や解決を試みることができるという話。ダン・アリエリーや名著『最底辺のポートフォリオ』への言及もあり、面白かった。
読了日:08月12日 著者:センディル・ ムッライナタン,エルダー・ シャフィール

読書メーター

Amazonのセールでfireを買ってみたらだいぶ読書が、というかインターネットでのメディア視聴全般が(google playが入ってないという致命的悪条件はあるにせよ)快適になったので、電書の積ん読消化がはかどる。
2冊とも今年の早川書房のセールで買ったもの。去年以前の購入分はまだ読めてないのだが、まあ…そのうち。本の読みたさはその時の諸条件で決まるので、なかなかfirst-in, first-out とはいかない。

上記の『デジタル・ミニマリスト~』を読み終わったのがたまたま月初だったので、ちょうどいいから8月いっぱいはTwitterはじめほとんどのSNSを開かないようにしてみた。スマホの通知もごりごり切った。切りすぎて実家の親からのLINEを4日ほど気づかず放置したりもした(反省してます)。
9月になってTwitterアプリを開いてTLに目を通して、いい感じに自分とTwitterが疎遠になった感じを確認できたので、しばらくこれをキープできたらいいなと思う。


マンガは読書メーターに登録していないので、別で感想を書きました。
kn.hatenablog.jp