用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。
いつもお世話になっている九州新幹線。
全線開業二周年記念として、記念日であるきょう3月16日の一日限り、片道ワンコイン(500円)で隣の新幹線駅まで行けるという素敵なキャンペーンを行っていたので、なんにも用事がないけれど、汽車に乗って新八代へ行ってきました!
冒頭引用はもちろん、私の大好きな作家であり乗り鉄の祖、内田百鬼園先生の『第一阿房列車』。
今よりずっと鉄路が長く、太く、重く、しかも高かった時代に、借金してまで汽車に乗るために乗った百鬼園先生の贅沢を、平成の世で味わえるなんて!
ちなみに熊本ー八代間は普通運賃が630円、新幹線の通常運賃が2,000円超。かなり太っ腹な企画です。
新幹線口フレスタで呼子産のいかせんべいがあったので旅のお供に購入。ビールは…自粛。
12時43分熊本発さくら549号に乗ってわずか11分、12時55分に新八代着。
駅舎のそば、熊本アートポリスでの乾久美子の作品を眺めながら昼食。
最初は駅弁を買おうと思ったのですが、あえて無目的に徹するべく手弁当で。
しかし用事がないという、そのいい境涯は片道しか味わえない。なぜと云うに、行く時は用事はないけれど、
向こうへ着いたら、着きっ放しと云うわけには行かないので、必ず帰って来なければならないから、帰りの片道は冗談の旅行ではない。
13時49分発のさくら406号で帰熊。
本当に行って帰ってくるだけの、贅沢な旅でした。
今度行くときは好きな日奈久温泉にまで足を伸ばそうかな。

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『阿房列車』シリーズは「第三」までありますが、別段鉄道が好きでなくても楽しめること請合いのひねくれ面白エッセイ。
「第一〜」はじめ、八代は何度か登場します。なじみの旅館があったのです。

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読め、そして平伏せよ!と叫びたくなる力強い言葉の数々。

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付録のシールなど、細部までときめき全開!

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