つのへび日記

こなやぎのブログです。手仕事、語学、短歌、読書や映画など。

サン・ジョルディの日

数年前から利用している読書メーター(リンク先こなやぎのマイページです)。
その名の通り、読書記録ツールなのですが、最近の読書量グラフは横ばいです…。
雑誌や料理本、コミック、資格、勉強関係の本はあえて記録してないということもあるのですが。

ともあれ、その読書メーターで面白そうなイベントがあったので参加しました。
以下引用。

サン・ジョルディの日に本を贈る会

4月23日(火)はサン・ジョルディの日です。

キリスト教の聖人ゲオルギウス(サン・ジョルディは カタルーニャ 語名)の聖人祝日ですが、スペインのカタルーニャ地方では、この日を「本の日」として、男性は女性にバラを贈り、女性が男性に本を贈る日として大きな市がでています。

国際連合教育科学文化機関が『世界図書・著作権デー』に認定しており、
スペインと日本では『本を贈る記念日』とされています。

そこで、この日に大切な誰かに本をプレゼントをしませんか?
といっても郵送は大変なので(笑)、実際に本を贈るのではなく、読書メーター上の本つぶやきで本を紹介するというものです。

大切な恋人に、友人に、読友に。または何処の誰かはわからないけれど、同じ様に頑張っている貴方に。
貴方の好きな本、読んでもらいたい大切な本をそっと贈りたい。

そんな大切な人に本を紹介できる一日になったら嬉しいな、と思いイベントを立ち上げました。

参加方法:4月23日(火)にお勧めしたい本を本つぶでつぶやく。
記入条件:?誰に贈るのか
を最低限記入してください。
※もしもよろしければ『サン・ジョルディの日』『サン・ジョルディの日に本を贈る会』など、企画名を入れていただけたら幸いです。
・一人につき一冊につぶやくのは一回のみ。
(他の本であればつぶやきOKです)

(中略)

この機会に新たな人と本の出会いがありましたら、何よりも幸いです♪

よいサン・ジョルディの日になりますように!

そう、記念日マーケティングワースト大賞であるサン・ジョルディの日
書店員時代もスルーしていましたが、今年はこのイベントに参加し、人生二十八年目にして初めてそれらしく過ごしました。
といっても、仕事から帰ってぽちぽち書きこんだので、だいぶ乗り遅れた感がありますが。

私が贈りたいのは(贈ったのは)、以下の三冊。

福田恆存『私の幸福論』ちくま文庫

私の幸福論 (ちくま文庫)

私の幸福論 (ちくま文庫)


実際、送別会の主賓へ酔った拍子にあげたことがあります(売る以外の手段で最も多い本を手放す理由がこれ)。
環境が変わってこれから一人でがんばる人におすすめですが、欲を言えば未読の方すべてに読んでほしいです。
元々は女性誌の連載だったので、語り口はかなり平易。同著者の他の本を読んだ方は拍子抜けするかも。
そんな連載第一回のテーマはいきなり「美醜について」。「人は見た目です。人は生まれつき不平等なのです」と説き、読者から反論のお便りを貰ってしまった福田先生、「ふたたび美醜について」でなおも乙女たちを説得にかかります。痛快無比。
「教養について」だけでもご一読あれ。名文です。

黒田龍之介『外国語をはじめる前に』ちくまプリマー新書

外国語をはじめる前に (ちくまプリマー新書)

外国語をはじめる前に (ちくまプリマー新書)


タイトルに反して、語学学習中でも、多分かつての学習者が読んでも、面白い内容。嬉しい裏切りです。
とーいっく何点とか、グロービッシュ(もう死語かな?)なんかは他の本に任せておいて、外国語学部生たちの日常をゆるく伝える「チャラい」雰囲気の中、「語学に必要なのは時間かお金か?(これは千野栄一『外国語上達法』を踏まえて)」「検定と留学、語学学習にとって重要なのはどちらか?」などなど、色々な切り口から「あえて母国語以外を学ぶとはどういうことか」を考えています。
人によっては、これを一冊読み終える頃には勉強したい言語が増えて増えて仕方がないかも。無論、私のことです…。

水町勇一郎『労働法入門』岩波新書

労働法入門 (岩波新書)

労働法入門 (岩波新書)


これは、新社会人へ。特に、どこだとは申しませんが雇用機会に乏しい地方でようよう職にありつきそれを有り難がるあまりにいいように使われる労働が常態化した共同体に放りこまれちゃった新社会人の皆さまへ。
あなたが身につけるべきなのは、ヘンテコな精神論でも酒の注ぎ方でもありません。法律知識です。
これを読んでいきなり職場の労働者を扇動して団体交渉に持ちこめなどとは、勿論申しませんが、
何にせよ、知識を身につけるって、すごくすごく自分が強くなれることだと思うのです。
それを求めようとしない人には、何も出来ませんが。そしてその求めない人ってすごく多いので。(上記のような共同体には特に)
本書は社会人にとって一番身近な法律「労働法」を、歴史等に触れながら大変分かりやすく解説したもの。
決して声高ではないものの、随所に見える著者の真摯な法律観にもなんだか嬉しくなります。


と、今年のサン・ジョルディの日はぱっと思いつくままにこの三冊でエントリーしました。
なんだか筑摩書房の回し者のようになってしまいましたが、そうではないです…。
こちらが身銭を切らない、あくまで本の紹介なので、手軽な新書を挙げてみました。
こなやぎに本を贈りたい方は、是非みすず書房水声社の書籍を。お待ちしてます。

書簡文学論 (水声文庫)

書簡文学論 (水声文庫)


アーツ・アンド・クラフツ運動

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