語学の面では、四月からの生活において、もちろんはっきりした吸収、応用、利用は意識できます。覚えた言い回しを使ってみようと意識して使う。ああ、それ自然な言い方だね!と誉められる、或いはふつうに通じる。もしくは、友人との雑談のなか、新しく言葉を教えてもらう。その後の会話の流れでさっそく使ってみる。してやったり。
でも、そうやって意識している間は、まだ自分のものにはなっていないんですよね。体の周りをひらひら飛び回るきれいな物をぱっと捕まえたに過ぎなくて、タイミングを計って、目線を気をつけて、シミュレーションして、なんて、ガチガチに構えている。
だから、私にはまだ私にとってそれらの言葉が役に立っているか、判断できません。
ぱっとつかんで、呑み込んで、きれいでも珍しくもない私の血肉になってはじめて、多分本当に役に立つのでしょう。でも多分、その頃には私は忘れていると思います。「これは役に立つのか?」という問い自体を。
いや、生半可で終わってしまっている知識でさえ、時々私の生活によい影響をもたらします。
ドイツ語やフランス語を生業とする中国人に会った時、なけなしの語彙で挨拶してみる。おどけて、ドイツ語やフランス語で。相手は予想以上に喜んでくれる。英語ができる中国人も日本人も特に珍しくはないけれど、この小さなやり取りで、相手を面白がらせることができる。
自動車の種類には明るくないけれど、ここにいると日本ではほとんど見れない車を色々見られて面白い。例えば、シュコダ。チェコの自動車メーカー。よく近所に停まっている車の、ロゴマークの綴りのSの上についた鈎型記号を見るたびに、チェコ語だなあと訳もなく嬉しくなったり、しています。
ちなみにベンツやBMWはもちろん、ミニクーパー、ランボルギーニ、フェラーリ、色々見かけて本当に楽しいです!(道路自体は、うるさいし危ないけど)一番よく見るのはフォルクスワーゲン、日本車だとマツダが意外に健闘している感じです。
今思いつくかぎりだとこのくらいなんですが、他にももっと、自分ではもはや見ることができなくなったくらいに馴染んだ知識、私にでも誰にでもあるんじゃないかと思った次第です。なんか、便乗ネタで恥ずかしいですけど、知識を増やすのっていいもんだよって言いたくて、書きました。
ちなみに標的の三角関数ですが(まあ文脈上何でもよかったんだろうけど)、だいぶ考えてやっと気づいたのですが、編み図を考える時に使っています。ほんとに無意識に使っていましたけど、1対1対ルート2とか、1対2対ルート3とか、知らなかったら好きなサイズのニットを編めないのですから、由々しきことですね。
余談ですが、昔書店にいたとき「女子の数学☆」みたいな本を現役東大生が書いたのが出てて、パラッと見たら東大関係ないだろっていう中学レベルの内容だったので、よく企画通したなあと呆れたのを思い出しました。バカにしてるって思わなかったのかな?書き手も女子()だからオッケーだとでも?