きっかけ
夫はあまり食にあれこれ言う人ではなく、彼が自らを評していわく「冷蔵庫の中にあるもので作るということが出来ない人」ということなので、私が「今日何食べたい?」と聞いたところで、はかばかしい返事はほとんど返ってこないので、だいたいいつも、私が食べたいもので冷蔵庫の食材中心に作れそうなものを、私が好きなように作る、ということになります。ただ、ごくごくたまにぽつりと、あれが食べたいなあ、みたいなことを言われるので、多少冷蔵庫の中身と文脈上ずれていたりしても、たまの頼みだからなおさら作ってあげないとな、という気持ちになり、たとえば夫が「プッタネスカが食べたい」とつぶやいた日には「それでは10日ほど時間をください」と言ってパンチェッタを仕込んだり、他にこれ何に使うねん…と思いながらもケイパーや黒オリーブを買いに走ったりする羽目になるのです。
海南鶏飯(ハイナンジーファン)、和名?として昔からあるのはシンガポールチキンライス、最近はタイ語由来のカオマンガイという呼び方も定着していますがーーもまた、そのような食べ物の一つです。
別に中国にいる間よく食べていた思い出の味とかそういうことは全然ないのに急に夫が「海南鶏飯が食べたい」と言い出したので、じゃあ近いうちに作りましょうと応えつつも「茹で鶏をエキゾチックな感じに仕立てたらいいのかなあ」とぼんやりイメージしていました。
いざレシピ検索をすると、なんだか人によってレシピのディテールが微妙に異なり、検索結果の総合的なイメージはやっぱり「茹で鶏とその茹で汁で炊いた米をエキゾチックに食う」料理で、いまいち依りかかるべき権威的なレシピというものが見当たらず…。それならばと、本場中国の作り方を見てみることにしました。
もちろん中国でも人によって微妙に作り方が異なるものなのですが、以下、今回自分が作る際に参考にしたレシピの翻訳を、作りやすい分量(実際に作った分量)に直して載せておきます。
参考元のサイトはこちらですが、元のレシピではニワトリを丸のまま一羽で作っているので、リンクをご覧になる際は…ちょっとカワイソウな写真もありますので、ご注意ください。
海南鶏飯レシピ
材料(2人分)
鶏むね肉 1枚
米 2合
八角 1つ
花椒 2つまみ
酒 大匙3
塩 小さじ1
しょうが(すりおろす) 各1片
にんにく(みじん切り) 各2片<タレの材料>
砂糖 大匙1
醤油 大匙2
かぼす 1個
今回はむね肉で作りました。おいしくできましたが、次はもも肉で作ってみたいな…。
あと米2合ですが、スープがたくさんできるので(2合炊いても余るくらいです)たくさん炊いて残りはおにぎりや雑炊などにするといいです。
これも、予算に余裕があれば原典通りのジャスミンライスで作りたいものです…。
かぼすは、元のレシピだとすだち大の柑橘のようです。すだちを使うときは2個用意してください。
作り方
1.鶏肉の下ごしらえ
鶏肉の、皮と肉の間などについている黄色い脂肪を取り除いておく(あとで使うので捨てない)。
火が通りやすいように、観音開きにするなど厚みを均等にする。
酒、塩、おろししょうがを鶏肉の裏表にもみ込んで、10~20分ほど置く。
この間に米を研いで、少し吸水させたあとざるにあげておきます。
2.ゆで鶏を作る
深い鍋にたっぷりの水(分量外)を張って火にかける。
湯が沸いたら、八角と花椒を入れて、表面がゆらゆらする程度の火加減に弱めて5分煮る。
火を強めて、鶏肉を入れる。吹きこぼれない火加減で、20~30分茹でる。
八角と花椒を水で煮る! びっくりしましたが、スープがめちゃくちゃおいしくなるのでぜひ入れてもらいたいです。
ゆで時間ですが、私は20分だとちょっと足りないくらいだったので、厚めの肉は30分くらい茹でてみてください。
茹で上がる直前に、ボウルか他の鍋に氷水を用意しておきます。
3.スープでライスを炊く
鶏を茹でているあいだに、ライスの準備をする。
1.で取り分けておいた鶏の脂身をフライパンに入れて熱する。
脂身は油が出切ったら取り除き、みじん切りのにんにく(半量)と米を入れて炒める。
油が回って米が透き通ったら火からおろし、炊飯器にうつす。茹で上がった鶏肉を引き上げ、すぐに皮の方から氷水に放って15分ほど浸す。
スープを一度漉し、炊飯器の目盛り通りに注いで米を炊く。
茹で鶏の粗熱が取れたら、適当な大きさに切り分ける。
米を炒める時、油脂が少ないと米がフライパンに張り付いてしまいますので気を付けてください。
鶏肉は氷水に放つことで表面の皮が収縮してパサパサしにくくなります。
(丸一羽だけじゃなく、切り身でも効果があった…気がします)
余ったスープの残りは冷蔵保存し、早めに使ってください。これだけ飲んでもかなり多幸感が得られますが、中華粥にしてもよさげです。
4.タレを作る
米を炒めたあとのフライパンへ油を適量足し(分量外)、残りのにんにくを炒め、色づいたら取り出して器に入れておく。
続けてフライパンへ砂糖と醤油を合わせて入れ、ひと煮立ちさせる。
にんにくを入れた器へ注ぎ入れ、かぼすを絞り入れる。
砂糖と醤油を入れる時は火を弱めるか、いったん止めたほうがいいかもしれません。はねるので強火注意です。
あとは、ごはんと茹で鶏を皿に盛りつけて、タレをかけたら完成です!
この日はノリで買ってしまった中国産のライチと、前日に作って冷やしていた茄子南蛮との献立。
次はたっぷりの刻み香菜を一緒に食べたいので、香菜の収穫後に作りたいです。
ケンタロウのレシピだと、ご飯を炊くときに醤油などを少量入れて、タレももっと複雑そうでした。こっちも試してみたいな。
※追記:タイトルを一部変更しました。(7/27)