つのへび日記

こなやぎのブログです。手仕事、語学、短歌、読書や映画など。

栞と水鳥

鳥、好きですか? と、ある日同僚から聞かれた。
彼女の声が小さかったのもあって、はじめトロと聞き間違えていて、好きですよと答えながら(くれるのか…?え、でも生ものなのに持ってるの??)とか考えていたら、彼女は薄くて細長い紙包みを出して、開けてみてください、とうながした。

中にはスズメの刺繍がされたフェルトのしおりが入っていた。
先週お誕生日でしたよね?と確認しながら、書店の文具売り場でこのスズメと目が合った瞬間に私を連想したのだと、彼女は言った。
確かに似てる…かもしれない。

見るとカワセミやシマエナガ、鳥以外ならラブラドールなどもあるようだ。もったいないのと汚しそうなのでまだ封も切れていない。いっそパッケージごと使おうかとも考えているくらいだ。こういう重すぎない贈り物をさりげなくできる彼女を眩しいとおもう。

===

鳥が好きか?と言われると、確かに好きだ。
自分から何の動物が好き?と聞かれるとおそらく初めに出てくるのは猫だけど、犬も好きだし、モルカーも好きだ(厳密には動物ではないか)。
犬派?猫派?みたいな2択を迫る人がたまにいるが、なぜ数多ある哺乳類からわざわざ二項対立を作らねばならんのだ、とおもう。
動物園なら猿山が一番好きだ。自分と交わらない社会をいつまでも眺めているのは本当におもしろい。
そういう意味だと、アリも飼育して観察すると同様の面白さがあると聞く。でも習性とはいえ、他人(?)がずっとあくせく働く様子を眺めるのはちょっとしんどそうで、やっぱり親子がのんびり毛づくろいしていたり、若い個体が追っかけっこをしたりするのをぼんやり見るくらいがよさそうだ。

鳥の話に戻って、あらためて私は鳥が好きか?と考えると、けっこう好きだと気付いた。
自分でも忘れていたけど、小さい頃はよく鳥の絵を描いていた。図鑑の模写とか、家の近くに来る鳥とか。
家になぜかバードウォッチングの本もあって、えさ台の作り方というのを見て父に頼んで庭に作ってもらった。モズのはやにえとか、雑学的な知識も多分その時に知った。本格的なバードウォッチングはついぞしたことがないが、そうでなくても田舎なので家の周りには何かと野鳥がいるのだった。スズメにカラスはもとより、ヒヨドリムクドリシジュウカラホオジロメジロなどなど。ご近所のおばあちゃんにセキセイインコのつがいを飼っている人もいて、見せてもらったりもした。

小3の頃に、家ににわとりが4羽来て、ガレージの端に設置したケージの中で毎日あたたかい卵を産んだ。早朝にそれを取りに行くのがとてもワクワクして楽しかった。ケージから出して、庭を走り回る様子を見るのも好きだった。
図工の授業で、ちょうどニワトリを粘土で作るみたいな課題があって、土台の針金の部分は大人の人に作ってもらいましょう、というので祖母に任せたら、すごくデフォルメした、なんというかちょっとキュビズムめいたものを作っていて、困惑しながらもとにもかくにも肉付けし、着彩して提出したら、ユニークさが受けたのか小さめの賞をもらった。うちのにわとりは茶色と白が2羽ずついたのだが、私の粘土のニワトリは彼女らとは似ても似つかない造形だったから特にモデルにしたというのでもなく、図鑑のオナガドリを参考にして、体は茶色、尾はこげ茶にしたのだった。

===

生活のうえでよく渡る橋があって、その川にはこれまで生き物といえば魚とサギくらいしか見かけなかったのが、つい最近から水鳥の群れを見かけるようになった。
調べてみると、カモの仲間にはシベリアあたりで繁殖し、このくらいになると日本へ飛来して越冬する種がいるらしい。
www.birdfan.net
越冬で住む場所を変えたのかなとは予想はついていたけど、そんなに遠くから来ているとは思わなかった。
何にせよ、家の中にはかわいいスズメもいるし、外を歩けば水鳥のコミュニティをしばらく眺めることができるし、日ごと最低気温が下がっていくなかにも楽しみはそれなりに増えているのだった。

今週のお題「最近あったちょっといいこと」