前回書ききれなかった、「不合格から合格までにやってよかったこと」の続きを書く。
学習時点でのスペックや、やってよかったことその1はそちらに書いてあるので、少し長いが(4,000字強)読んで頂けると嬉しい。
kn.hatenablog.jp
ちなみに後半(この記事)も5,000字弱ある。お時間のある時に少しずつ読んでもらえれば……。
よかったことその2. 受験の補助になるような読書をした
1回目の受験の時に安川康介さんのYoutubeを観て、アクティブリコールなどの暗記メソッドを少し参考にしていた。
www.youtube.com
それで1回目の受験が終わった後、氏の動画の中で紹介されていた本を読んでみた。
なるほどと思ったのは、文字はあくまでも何かを外部へ記録するための媒体であって、人間の脳は「文字で何かを覚える」ことは不得手であるということ。ヒトの脳で全部は覚えられないから文字で残すのであって、文字は本来なにかを覚えるためのツールではないのだ。
ヒトが狩猟採集をしていた太古の昔から、危険なけもの、安全なねぐら、食べられる植物やそのありかなどの重要な情報はイメージで脳に記憶されてきた。
だから、記号や文字を覚える時にもそれを置き換えたイメージ(できるだけインパクトがあって、強烈に記憶に残るもの)を覚えるとよいらしい。
そこで2年目の勉強では、インプットのときに「イメージで覚える」ことを意識した。イメージはできるだけ具体的な方が印象に残るので、実在の人物などを使う。2つほど具体例を挙げる。
①国民年金第1号被保険者は自営業者などを指すが、私は1号被保険者について学習するとき、たまに行くネパールカレー屋さんの主人をいつも思い浮かべていた。これによって「国民年金には国籍要件なし(外国のひとも対象)」という加入要件も自然に覚えられる。
②安衛法に「定期自主検査が必要な機械の種類」というのがあり、特定機械等やフォークリフトなどが該当する。私はフォークリフトと聞くと出張先の物流拠点で見た、社員のKさんが乗っていた場面を連想したので、かれが定期的にフォークリフトを点検しているところを思い浮かべた。
これは今年の選択式試験で、正解肢「フォークリフト」を選ぶべき問いとして実際に出題された。選択の安衛法は2点分しか出題されないが、そのなかの貴重な1点はKさんのおかげで確保できたようなものだ。いちどしかお会いしたことはないが、ありがとうKさん。
他に読んでいた本としては、2年目のまだ勉強スケジュールに余裕がある頃に読んだこれなど。
たまたま春先に新刊案内で知って読んだ本。開業社労士とひとくちに言っても色々な働き方があると知り、勉強へのモチベーションが上がった。かれらの勉強法についても紹介されていて、少し真似したものもある。そして社会保障や年金制度については、こちらが試験対策以前の理解の補助になった。
恥を忍んで書くが、私はこれを1年目受験時の6月に読んでいた。いわゆる直前期にこういう方向性の非効率なアプローチをしているので、その年は落ちて当然なのだが、そうしないといけないくらいそもそも私には根本的な理解が足りていなかったのだ。日本の社会保障の大枠の在り方が本書でだいたい飲み込めたことは、確実に2年目での合格の下地にはなっているので、時期はともあれ読んで良かったとおもっている。
よかったことその3. いったん離れてリスタートした
SNSを見ていると、試験の終了直後から来年の試験に向けて全力で学習を継続しているひとが散見されて、それ自体はすごく立派なことだと思うが、私はそうはなれなかった。
自己採点後、ほぼ望み薄ではあるがもしかしたら救済があるかも……ともやもやしながら2年目の勉強開始!という気分にはとてもなれず、そうかといって無為に過ごして燃え尽き症候群になるのも困るので、何でもいいから(と言っては失礼だけど)今までの頑張りが多少報われるような成功体験が欲しかった。
というわけで、労基・安衛・労災・労一の知識がうっすら生かせてちょっと頑張る必要のある(合格率50%台)、メンタルヘルスマネジメント検定二種(以下、MHM2種とする)を取得した。
10月を丸々学習に充て、11月の最初の週末に試験があった。2回目の社労士試験の通信講座はすでに申し込んでいて教材は手元にあったので、MHM2種の試験の翌週から社労士試験の勉強をリスタートした。
MHM2種の学習内容は会社員生活に役立ちそうなものだったし、社労士試験の内容とまったく分野違いというものでもなく、程よい気分転換が出来たと思っている。
よかったことその4. とにかくコンディション維持を優先した
私が申し込んだ大原のコースには全国統一模擬試験が2回分ついていたが、去年は4回模試を受けたので当初はたった2回?と心もとなく感じ、去年も受けたLECのファイナル模試を別に申し込み、合計3回受けることにしていた。
しかし7月、大原模試の1回目と2回目のあいだで風邪を引いて少し寝込んでしまい、折しも会社などでは感染症も流行っていたため、人との接触機会をいたずらに増やして体調に支障をきたすことがとても怖くなった。2回目の会場受験の模試で、明らかに体調が悪そうな人が受けに来ていたのも気になった。
さいわい大原の2回の模試でそれぞれA判定、B判定が出ていたので、案外もう実戦は必要ないのかもしれないな、と思えたのもあり、せっかく申し込んだLECのファイナル模試は受けないことにして不安要素を削った。
仕事や他のことで何かあると勉強中もそのことを考えてしまい集中力が落ちるので、仕事でのトラブルは早期解決に努め、全部解決しなくてもその日の終わりにある程度目途が立つようにしていた(もちろん、勉強がなくてもそれが出来れば一番よい)。
善行をすると自分のメンタルが安定するので、忙しい時ほど人にやさしく仕事を教えるようにしたり、スーパーでおばあちゃんの米袋をレジ台に載せてあげたりした。そして「あー社労士試験の神様がこれ見てたら、確実に1点は上がったな(笑)」などと考えてにやにやしていた。アホらしいが、やっぱりこういう思考でいたほうがうまくいく気がする。
よかったことその5. よさげなことは(ぶっつけ本番でも)試した
「学問に王道なし」と昔の偉大なひとは言ったけれども、資格試験対策には王道がある。社労士試験でいえば、「年金を得意科目にして、得点源にする」とか「選択式の勉強は択一式の延長線上ととらえる」などがそうだ。詳細なやり方は割愛するが、私はそのどちらも実行できたからこそ今年合格できたのだとおもう。
「8月に入ったらいつもよりむしろ1時間多く睡眠を取る」というのも逆説的だが理にかなっていて、十分な睡眠は記憶の定着に寄与する。1時間はさすがに増やせなかったが、意識して早く就寝しているようにしていた。
先の項目で模試について触れたが、模試の最大の目的は本番の予行練習をすることだ。だからその意味では自宅受験はほぼ意味を成さない。自宅だとどうしても本番さながらの緊張感は醸成できないからだ。
ほかに模試でできる予行練習には時間配分であったり、問題を解く順番などがあるが、私は模試ではおこなわず、本番で初めて試したことがひとつあった。それは「難しい問題を飛ばす」ということだ。
模擬試験では問題の難易度にかかわらず、自分が決めた科目順*1で問1から10まで律儀に1問ずつ解いていたが、模試受験後から本番までのあいだで初めて「難しい問題はいったん飛ばして、あとからじっくり考えればよい」ということを知ったのだった。
社労士試験には基本的に途中退室はない。試験のルールとして可能ではあるが、途中退室をすると問題冊子が持ち帰れないため、大半の受験生は試験終了まで離席しない。そして、たとえば3時間かけて択一式試験の解答を見直しまで終えたとして、あと30分何もしないで終了まで過ごせるほど胆力のあるひとはいるだろうか。たいていは終了の合図があるまでに何度も見直しをすると思う。
これが模試であれば、大抵の人は解き終われば答案用紙を提出してさっさと退出するだろう。それは時間が惜しいからだ。本番に向けての勉強時間はいくらあっても足りないから、私も2時間半から3時間弱で解き終わって退室するのが常だった。
そういう意味では、予行練習としての模試を私は十分活用できたとは言えない。これから受験を考えている人がいるなら、1度だけでも会場受験で最後まで離席せずに模試を受けることをおすすめしたい。最後まで5肢から2肢まで絞り込んでからの2択で迷い、終了直前で解答を変えたくなるプレッシャーと戦ってみてほしい。*2
話が逸れたが、3時間半考え抜くということはとても大変なことで、そういう意味でも序盤でメリハリをつけて問題を取捨選択するのは重要になる。難しい問題はいつやっても難しい。いつ解いても正答を選べる確率が低い問題に正面からぶつかるよりは、思考力が元気なうちに取れる点を取っておいた方が効率がよい。*3
難しい問題はYoutubeの広告を飛ばすように飛ばしてよい、という予備校講師のXでのポストを直前に見ていたこと、それを本番で実行したことはとてもよかった。
これからのこと
正直もっと語ることもできるが、このあたりでやめておく。これからのことはまだ明確には決まっていないが、来年から事務指定講習を受け、受講後は社労士登録を受けたい。講習開始までに取得したい資格もあり、また将来的に取得したい大きめの資格もあるが、会社員生活との兼ね合いをどうするかというのは追々考えなくてはならない。
また、この記事の前半を投稿したあと気付いたのだが、このブログでは社労士関連の記事は需要がない(たぶん)。私はXでもインスタグラムでもそれ用のアカウントを持っているが、やはりまとまった文章をアウトプットする場が欲しい。なので、こことは別に専用の場(別ブログかnoteなど)を開設することも検討中だ。
以上。長文をお読みいただきありがとうございました!