1. 洗
重曹で洗えば落ちる染みもありこころはたぶん陶器ではない
2. 鬼
鬼は外出て行ったきりふるさとの人ただ老いてゆく節分会(せつぶんえ)
3. 入
入ったら戻れぬ仕掛けの前に立ちすでに仕掛けの動作すを知る
4. チョコ
ゲレンデはさすがに無理ですチロルチョコならば溶けなくもない恋です
5. きさらぎ
雪ふったりやんで照ったりふったりで今また晴れてるきさらぎ十日
テーマ詠《夢》
ないことになった一世(ひとよ)が一夜(いちや)ごとどこかに増えてゆく罪の朝
たましひがちょっと抜け出ては戻るやうにシ♭ドレソレドシ♭鍵が波打つ
*