If you are lucky enough to have lived in Paris as a young man,
then wherever you go for the rest of your life,
it stays with you, for Paris is a moveable feast.
-Ernest Hemingway
Kindle Unlimitedで読みたい本が多すぎて、大枚980円をはたいて1ヶ月延長した。
「国策捜査」のメインキャストに据えられることとなった著者は、これまでの外務省勤務では決して手に入らなかった「思索の時間」を思いがけず手に入れることとなる。
東京拘置所の独房内で、公判の準備と並行しながら語学学習と哲学書研究を続ける著者の精神は、だんだんと官僚社会から学術世界に再び引き戻される。
その象徴が、たびたび彼が見るようになる京都の夢だ。
佐藤氏は私の大学の先輩にあたるので、こういう心の動きは実感としてよく分かる。
大人になり、環境も学ぶトピックも変わり、それでも勉強に打ち込む時は心の一部が京都に在るような気がする。
あるいは、置き忘れてきたそれが、急にみずからの存在を主張し始める、とも言えるかもしれない。
何の気なしに見ていたTwitterで、今日が時代祭の日だと知った。
恐らくもう二度と住むことはない京都という土地と、こうしてインターネットを通じて細く細くつながっていることで、私の精神の一部に京都を連れてくることができている。
もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、
その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。
パリは移動祝祭日だからだ。
(高見浩訳、ヘミングウェイ『移動祝祭日』新潮文庫より)
Kyoto is a moveable feast.