『暮しの手帖』59号で料理家など著名人が好きな料理本を3冊選んで語る、
という記事をやっていて面白かったので、自分も3冊選ぶなら何だろうと考えました。
ちなみに、この手の記事で自著を挙げる人を私は基本的に信用しません。
1.佐藤雅子『私の保存食ノート』文化出版局
記事ではこの本が最も多く共通して挙げられていました。私もこれは外せないですね。
著者は元人事院総裁・佐藤達夫氏の奥様。
春夏秋冬の保存食の作り方が(白黒ですが)写真付きで多数収録されているだけでなく、
それを教わった実母、嫁ぎ先である大きな旧家の姑、外遊先での奥さんとの思い出が
品の良い文章で楚々と綴られていて、目が洗われるようです。
まさに食に歴史あり!を感じる本。
2.高山なおみ・川原真由美『十八番リレー』NHK出版
もともと『きょうの料理』に連載された企画で、
高山さんの十八番を料理初心者・川原さんにレクチャーするという体裁を取った、
対談形式で進んでいく一風変わったレシピ本。
収録レシピ数は24品と、さほど多くはないのですが
「じゃがいもは弱火でゆっくりゆでる」「火の通り具合は目や耳、五感を使ってみる」
など応用範囲の広いポイントがふんだんに紹介されていたり、アレンジレシピもあげられていたりと
充実度はかなり高いです。
なにより、川原さんがぽんぽん発する素朴な疑問に高山さんがしゃきしゃき答えていく様子は
少年エジソンとそれを受容する母のようで、すごく素敵なコンビネーションです。
3.寺村輝夫作・岡本颯子絵『こまったさんのグラタン』あかね書房
残り一冊、かなり迷いましたが、自分にとって初の「料理本」として選びました。
たしか、初めて一人で料理を作ったのは小2のころで、
祖母から教わったチャーハンを何度も作って、そのうちに図書館で借りた料理の本で
祖母のとは違うチャーハンの作り方を試したりするようになりました。
それからカレーやハンバーグも作るようになりましたが、この時も指南書はなく、先生は母や祖母。
実家は田舎なもので、『こまったさんのグラタン』を見るまではグラタンが家で食べられると思っていませんでした。
自分でホワイトソースから作ったマカロニグラタンを家族に食べてもらったときは
母や祖母や、家族が作ったことのない料理を作った!という喜びがまずあったように思います。
<<その他、三冊にあげられなかったけれど紹介しておきたい料理本>>
・小林ケンタロウ『ケンタロウ 1003レシピ』講談社
食材が辞書のように、ジャンル毎にアイウエオ順で並んでいる、お助け本。
自炊は「一番先にいたみそうなものから使っていく」サイクルの繰り返しだと思っているので、
食材別にレシピを見られるこれは大変重宝します。
彼らしく、しょうが、にんにく、オイスターソースなどがっつり系調味料がふんだんなのが味。
・よしながふみ『きのう何食べた?』講談社
うちでは居間の本棚ではなく、食器棚(だったけれどレシピ本スペースになっている場所)に置いて
レシピ本として分類しています。
献立主義である点が、普通の一品紹介記事をメインとした料理本との違いでしょうか。
料理をする主人公シロさんのモノローグだけで淡々と献立が出来上がっていくので、すっきりわかりやすい。
段取りなどのヒントもいっぱいです。
こちらのサイトでは再現料理も紹介されています。