1.上様
上様でいいですという傲慢で卑屈な文句に慣れて秋来ぬ
2.まれ
本当は行く気がなくて自分から立てた〈止まれ〉の赤い標識
3.ピアノ
首周りがピアノみたいな配色のセーターを着て目印になれ
4.星座
その例え星座並みに無理があるとロマンチックに毒を吐く君
5.々
生はただ摩耗するものと知りながら揚々として発音まねぶ
6.G
Googleのロゴが変わってまた一つ君との話題が増えた真夜中
7.眠
カレーライス食べたら眠くなる星のもとに生まれてまた金曜日
8.紫
運命は卒業したし紫の糸でももってゆるく留めおく
9.ひたひた
雪平の底の清けさひたひたの言葉が我をまるく融かせり
10.秋の田の
秋の田の穂を摘み終えて夫がためミレーの女が炊ぐ夕暮れ
前回の5倍くらい時間がかかりました。難しく考えすぎたかな。
前回の「短歌の目」参加エントリ↓