3連休中日の昨日、天気が良かったので博多港へ遊びに行きました。
先月から2年ぶりの会社勤めをしています。
はじめての商社、はじめての貿易のお仕事です。
さいわいにも、いまのところ毎日楽しく働いているのですが、ようやく全体の流れが把握できるようになってみると、オフィスの中でただ座ってソフト操作で右から左へ商品を流したり、書類を取り交わしたりするだけの業務をもう少しリアルに感じたいと思うようになりました。
そういうわけで、空港は利用でもそれ以外でも何度となく使っているので、はじめて港へやってきたのです。
♪船に乗るわけじゃなく~ というやつです。
もちろん物流が動いているようすを目の当たりにできれば一番よかったのですが、基本的に港の倉庫や船会社などは土日はお休み。
でも、港がまったくお休みというわけではなく、韓国やフィリピン行きの客船、クルーズ船、そして玄界島や壱岐・対馬への往来をする市営の船やフェリーなどが運航していました。
壱岐・対馬行きフェリーなどは、博多港を真夜中に発って夜明け前に着くという便などもあって、どんな人達が使っているのかな、と停泊するフェリーを見ていると、朝から出掛けて一釣り終えたらしき格好の人々がたくさん降りてきて、納得!
ガラス越しに撮ったので、この写真だけ青っぽくなってます。
海上保安庁や福岡県警の船も停泊していました。
商業施設「博多ベイサイドプレイス」ではちょうどイベントをやっていて、小さい子供連れの家族がたくさんいました。
空港とか港とか、大きいのりものがたくさん見れるところは嬉しいだろうなあ。
神戸のハーバーランドほど大規模ではないものの、楽しめました。次回来たときは、取れ取れのお魚の寿司バイキングを食べてみたい。
短歌の目ふりかえり
今回のお出かけで、「お仕事のことをじかに感じてみる」ということの他に、もう一つの目的がありました。
それは、まだ作っていなかった今月の短歌の目の短歌を、この一日を使って作ってみるということです。
旅行詠、ということになるんでしょうか。旅行というほど遠くへ出かけたわけではないけれど。
以下、一部解説です。
北原白秋の「草わかば色鉛筆の赤き粉の散るがいとしく寝て削るなり」が中学生のころくらいからずっと好きなので、いつか「草わかば」で始まる短歌を作ってみたいと思っていました。
それで、本当は、港まではバスで行って、港を離れる際に那珂川沿いを歩いて天神へ遊びに行ったので、結句を「振り向けば海」にしてしばらく考えていたのですが、テーマ詠一首目だし始まりを予感させるようなものがいいなあと思って、実際歩いたルートとは逆向きにしてみました。
あまたの人あまたの舌を操ってみなとは異国へひらかれたドア
language(言語)の語源はラテン語のlingua(舌)だったりします。
港を意味するportも、もとはラテン語で門を表すportaで、現代イタリア語でもドアや扉を指す語です。
韓国語や中国語、港の雑踏は色々な言語が混じっていてにぎやかでした。
江戸の関所もこんな感じだったのかもなどと思いました。
百千鳥ゆきかう人の三連休中日は等しく午刻となりぬ
春の季語「百千鳥」を使ってみたくて。
あと、今回はどこかに「春昼後刻」というフレーズを入れた歌を作ったろうと思っていたんですが、どうにもズバッと決まらず、この辺で手を打ちました。
ある人は悪い心を海中へ「放て」と言った「捨てろ」ではなく
JKの頃にドはまりしていた尾崎放哉の句「何か求むる心海へ放つ」より。
語呂が良くてそう書いたけど、私自身は「何か求むる心」は悪いものでもないと思っています。
限りある生とて選ばぬままの書がふと甦る未知の地踏めば
沖給仕として生涯を送った独学者、港の哲人であるエリック・ホッファーのことが気になっているうちにリバイバル的に本が出たりしてちょっとしたブームみたいになってしまい、嫌気がさして読まないことにしていたのですが(自分のこういうところは本当に良くない)、港でそのことを思い出して、今が彼を読む好機なのでは、という考えに至りました。
一度捨てた書を拾うチャンスはけっこうあるのかも。

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