つのへび日記

こなやぎのブログです。手仕事、語学、短歌、読書や映画など。

今月は中国語を頑張ります。

前にもちらと書きましたが、今年に入ってから、毎月一つの言語を強化しようと決めました。

一ヶ月で何ができるんだよって感じだし、千野栄一先生も「新しい言語を始める時は最低半年は集中する必要がある」とおっしゃっていますが、せめてその言葉の仕組みを知って把握する程度には触れられたらなあという言語がたくさんあるので、あまり実利には適っていないのを承知で、そのように設定してみました。
もちろん、この試みはまる一年続けることなく途中で挫折するかもしれませんが、まあ、始めるのは自由ですから。

というわけで、1月はタイ語、2月はエスペラント語をやりました。タイ語は途中でダレてしまい、阪大高度学習コンテンツのカリキュラムの、第二課の途中までで止まってしまいました。
敗因は多分、文字の難しさ。同じ発音にも数種類の文字があって、単語ごとに使う文字が決まっています。漢字みたいですね。まずローマ字書きやひらがなから入る日本語学習者のように、思い切って文字は捨ててまずは文法習得ということにすれば、もう少し進めたかもしれません(コンテンツでも、それを推奨してましたし)。
エスペラント語は、ほぼ毎日…とまではいかないものの、2月いっぱい定期的にDuolingoを使って勉強出来ました。こまめに復習バーを満タンにしていた甲斐あって、レベルは7に。


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ということで、今月は初心に返って、中国語を頑張ります。
エスペラント語もペースを落として続けたいし、全く未習の体系の言語をやるには少しエネルギーが足りないというか…。

そして、留学中の学校でのレッスンのレベルが突然上がってしまったというのもあります。
HSK5級に合格してしまったので、学校としてはそれ以上の内容をしなければいけないということになったようで…今は6級模擬試験の文法解説をやってもらってます。
今のところ6級を受ける予定はすぐにはなかったのですが、これならレッスンの内容を忘れないうちに早めに受けた方がいいのかなあと考えはじめています。

というわけで、現状報告でした。ビザの更新やらなにやらで、最近は少しばたばたしています。更新のことってネットで探してもあまりないんですね。無事に手続きが終わって更新ができたら、記事にまとめようかな。

私も「吹き替えですか?」って言われたい。

二日ほど前に、こちらのSNS「Wechat」*1のタイムラインで話題になっていたトピックがあります。

爆买日货中国大妈现身日剧,算是被黑吗?_日本窗-爱微帮
『日本のドラマに登場した中国人の「爆買いおばさん」、これってヘイト?』

記事の中で言及されているのは今期の連続ドラマ『ダメな私に恋してください』のワンシーンで、ヒロインが探していた商品を、同じく買おうと先に確保していた中国人観光客から譲ってもらおうとして交渉の末に相手は承諾、ただし「倍の値段なら譲ってあげていいわよ」というオチがつく、という内容です。

記事を提供していたのは「日本窗(日本の窓)」という、どちらかというと日本ファンのための記事配信サービスということで、タイトルはやや煽り気味なものの、本文でも「私たちだって抗日神ドラマを作っているのだから、君たちを許そう。」とジョークを交えて紹介されています(今の中国の若者の多くは、抗日ドラマを「ネタ」として捉えているふしがあります)。
また、私のタイムラインにいるのも基本的に日本語を教えたり習ったりしている友人がほとんどです。

そうしたバイアスがかかっていることもあって、大半のコメントやタイムラインでの反応が「ヘイトとは言えない、考えすぎでしょ」「ギャグとして普通に面白いオチ」と冷静に受け止めていて、「これはディーン・フジオカの中国語力を発揮させるために入れたエピソードだから、それ以上の意味は特に考えなくていい」というこの上なく的確なコメントもありましたw

その他の反応としては「わざわざオリジナルエピソードを入れてまでこんな風に中国人を出すなんてひどい!」という(ある意味)ストレートな反応、「いやいや、商品を転売するのにちょっと色を付けるのは普通じゃないの?」という、そっちかよ!な反応*2、その他ドラマや中の人の話題でわちゃわちゃ盛り上がっているコメント多数、という様子でした。

同じ記事で検索すると、別媒体に転載されたものもあって、そちらの方のコメントでは「今やシナ族の爆買いを嘲笑するのが日本人の数少ない娯楽なんだろうな」みたいな過激なものもあるにはありましたが、まあヤフーのコメント同様、それぞれに色々な考えの人がいるということで…。

深キョンもディーン・フジオカも中華圏での人気が高いので、このドラマはこちらでの好感度が高いようです。私の友人の一人は「前回の月9『5→9』よりも面白い!」と言ってます。

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上記記事のコメントの一部。「深キョンの新しいドラマじゃん、彼女かわいいよね」など。
『请和废柴的我恋爱*3』はドラマタイトルの直訳ですが、深キョン演じる主人公の苗字「柴田」と「废柴(ワナビーフリーターなどを指す広東語由来の自嘲語。もとは香港ドラマのタイトルから広まったそうです)」の柴が掛かっていて、上手い訳だなーと思います。

30代以上のドラマファンには「あの台湾ドラマに出ていた藤冈靛ね!」という反応ですが、若い人には日本人同様、日本のドラマ「探偵の探偵」「あさが来た」やこのドラマで知ったという人も少なくないようで、世代によっては逆・逆輸入(というのかな?)みたいな状態になっています。

kn.hatenablog.jp

というわけで、私も「そっちかよ!」と言われそうですが、この記事のコメントで一番衝撃を受けた部分がこちらになります。

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「この男性主人公の中国語、吹き替えでしょ?」
「自分でしゃべってるよ」

すごい、すごすぎる…真了不起!!
ネイティブにこんなことを言わせるというのは、相当なものですよね。いいなあいいなあ。
こういうのを見てしまうと、「しゃべるだけならコジキでもできる」などと嘯いてひねくれたりしてないで、頑張らないとな。という気持ちになります。

kn.hatenablog.jp

翻って、現在の私はといえば、友人をして「この前、なんか頑張ってしゃべってたじゃない?あれ、前よりかなり上手くなってるなーと思ったよ(原文ママ)」と言わしめるのが関の山で…。
うん、ありがとう、嬉しいんだけど「頑張って」は余計だよ!と思いつつ、事実頑張ってしゃべってるので否定できない。そんな現状。

しゃべるのは嫌い。口を開くのがおっくう。そんな自分の性格を飼いならしつつ、ではどうすれば能力を上げられるか? そういう風に考えていかなければいけないなと、ディーンさんを見ながら思いを新たにしました。おしまい。

*1:LINEのようなメッセージサービスが主機能のアプリ

*2:彼らの名誉のために付け加えておくと、自分が代理購入を頼む(人から売ってもらう)ときも、多めに払うものみたいです。私が頼まれた時もそうでした。

*3:请与废柴的我谈恋爱と書かれていることが多いです、谈恋爱は「愛を語る」から転じて「恋愛をする(恋愛状態になる)」というコロケーション

中国で読む北欧留学記―『フィンランド語は猫の言葉』感想文

2月は毎日書くのが目標でしたが、色々あって頓挫し、ついには、ぱかっと一週間以上空いてしまいました。
そのあたりのことはまた次の機会に譲るとして、ブログを更新しなかったあいだにやっていたことのうちの一つで、今回のエントリをしたためたいと思います。

私たち夫婦は日本にいるころはずいぶん本を買ったものですが、そのほとんどは店頭での購入でした。「ずいぶん本を買ったものだ」とか偉そうに言っていますが、大半が積読なので、偉くもなんともありません。
中国に住みはじめてからは、本の調達をどうするか問題が…。アマゾンジャパンだと、書籍だけなら海外発送もしてもらえますし、hontoでも可能なのですが、いかんせん海外配送料は安くありません。できれば、なるべく低価格で手に入れたい…。
そんな時、出版社のWebサイトを定期的に見るのが趣味の夫が、見つけてくれました。

http://www.bookservice.jp/layout/bs/common/html/bargainbook/

このブックサービスというサイトは、もともと取次会社*1の一つが運営していた*2オンライン書店で、この「バーゲンブック」では、汚損ほかの訳アリで出版社へ返品できなくなった(であろう)書籍が定価の半額くらいまで値引いて販売されています。
しかも、見つけたのがちょうど年末の謝恩価格セールをやっていた時期で、通常より点数が多くなっていたバーゲンブックの中に夫が欲しい本があるというので、私もついでに何か買ってもらおうかと見たところ、なんと、ずっと読みたかった本が出ているではありませんか!

フィンランド語は猫の言葉

フィンランド語は猫の言葉

「語学エッセイ」なるジャンル分けをしていいものかどうか分かりませんが、私はそのようなものを読むのが好きで、これだけでまた一つエントリを書けてしまうのですが、その中でも黒田龍之助先生の書かれるものはよく買って読んでいます…と言うとまた偉そうですが、何しろ刊行点数が多いのです。

ポケットに外国語を (ちくま文庫)

ポケットに外国語を (ちくま文庫)

外国語をはじめる前に (ちくまプリマー新書)

外国語をはじめる前に (ちくまプリマー新書)

はじめての言語学 (講談社現代新書)

はじめての言語学 (講談社現代新書)


その黒田先生のエッセイのどれかで(手元になく思い出せない…すみません)、この、およそ40年前の女子学生によるフィンランド留学記のことを知りました。『フィンランド語は猫の言葉』、もうタイトルからしてかなり魅力的だと思ってしまうのは、私が猫好きだからでしょうか。いや、それだけではないはずです。

ずっと読んでみたいと思っているものの書店に行く時には忘れていたり、はたまた覚えているときに行った書店には在庫がなかったり、そんな本が誰にでも一冊や二冊あると思いますが、私にとって『フィンランド語は猫の言葉』もそのような類の本でした。
それが今、こうして思い出せた上に、謝恩セールで半額とな!フィンランド留学の本を中国留学中に読むというわけわからなさもなんだか面白いかも、ということで注文することに。

ちなみに、配送料をケチったのだったか、そもそも国内配送のみだったのか、ちょっと失念してしまいましたが、ともかく配送先は私の実家に指定して、この前の春節に両親が持ってきてくれました。せこい。

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著者の稲垣美晴さんがフィンランドヘルシンキに滞在していたのは1970年代末の合計約三年間で、本書では食文化の違いや現地の人々との交流などといった滞在記・旅行記の基本要素はしっかり押さえながら、そこにとどまらずフィンランド語の特徴やヘルシンキ大学での講義の内容(フィンランド語の音声学から、方言や古語にいたるまで!)にも言及し、しかもつとめて明るいタッチで書かれているので(謎の腹痛に苦しんだことや、冬の間の尋常じゃない寒さや一ヶ月以上にわたる太陽が全く出ない期間のことさえも!)、最後までとても楽しく読み終えました。
夏の間の太陽が沈まない「白夜」は知っていましたが、その逆もあるとは…。確かに、白夜があるということは、逆もあって当たり前なのですが思い至りませんでした。想像するだにつらいですが、彼女は「東京と違って、ヘルシンキは真っ暗!」と、どこか楽しげなんですよね。

帰国する少し前、著者は周囲から勧められてフィンランド語の作文コンクールに応募します。その内容から、私がこの本で一番好きな個所を一部抜粋。

フィンランドは物価の高い国。でも私はフィンランド語を無料で使うことができる。フィンランド語を使ったからといって、税金を納める必要はない。言葉はすべての人への贈り物だ。もし今誰かに、フィンランド語は難しいかときかれたら、
「いいえ。ゲームのように楽しいわ。だって文法が十分に複雑なんですもの」
と答えるだろう。

とても感動したので、Wechatで中国の友人にも紹介しました。(拙訳)

芬兰的物价很贵,可是我可以免费用芬兰语。我们不用交税为芬兰语。语言是给所有人的礼物。如果谁问我芬兰语难不难,我就能回答:
不难,很好玩得像游戏。因为那的语法差不多复杂。

ちなみに、読後ちょっとフィンランド語に触ってみようかなと思いましたが、東外大にも阪大にも専攻がないようで、それらのオンラインコンテンツにもなく、今のところDuolingoにもなかったです。残念。
kn.hatenablog.jp

http://how-to-learn-any-language.com/e/languages/finnish.html
これによると、フィンランド語話者はおよそ500万人強、そのほとんどは初歩的な英語ができ、優れた英語話者も多いので、言語としての必要性はあまり高くない、とのことです。そ、そんな…さみしい…。

かもめ食堂」、アルヴァ・アアルトmarimekkoなど、女子受けするキーワードで彩られがちなフィンランドですが、Twitter駐日フィンランド大使館さん @FinEmbTokyo のつぶやきなどでも、フィンランドフィンランド語のユニークさはずいぶん広く知られるようになったと思います。そしてそのずっと前に、こうして異文化と外国語を楽しんでいた先輩がいらっしゃることはとても痛快で、素敵なことです。

かもめ食堂 [DVD]

かもめ食堂 [DVD]

シネマ食堂

シネマ食堂

かもめ食堂に登場したシナモンロール、一時期しょっちゅう作ってました。

*1:出版小売業界における問屋のようなポジション

*2:現在は楽天による

HSK5級合格のためにやったこと(一ヶ月前~直前対策)

今回は、下記エントリの続編のつもりで書いています。
kn.hatenablog.jp
一か月前まではどんな対策をしていたかは、上記のエントリに書きました。


現地受験の申し込みから受験まで、受験会場の雰囲気などはこちらに書いています↓
kn.hatenablog.jp


試験対策に費やした時間と、それまでの下地

前回は明記していませんが、HSKという試験を意識して勉強を始めたのは、だいたい受験の3か月前くらいからかもしれません。その一か月後にいざ6級の問題集を解いてみて、怖気づいてレベルを下げたという経緯があります。
あと、私の中国語学習歴は、大学時代に第二外国語として1年履修(2003年春~)のち単位を取ったあとすっぱりやめ、2013年秋ごろから独習開始、2014年5月から週一回ネイティブのレッスンを2時間受講、2015年春から留学、という感じです。ブランクや他との並行はありますが、トータルで2年半~3年くらいは勉強してます。

別の記事でもちょいちょい書いていますが、昨年末に受けたHSK5級に無事合格しましたので、こうして偉そうな記事を書くことができます。偉そうなうえ、4000字超と長文になりましたが、興味のある方もない方も、読んでいただけるとうれしいです。

長くなったので、目次をつけてみました。

受験結果

内訳としては、リスニング・読解・作文の配点が各100で合計300点満点のうち、
リスニング:78点
読解:94点
作文:75点
ということで、合計247点、ぎりぎり8割超でした。

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合格点は6割の180点。ちなみに日本のもろもろの協会が主催している各国語検定とはちがい、各科目ごとの最低点(たとえば読解とリスニングでそれぞれ6割得点、なおかつ合計点で7割超得点といったようなもの)はありませんので、極端な話、たとえ作文とリスニングの合計で80点しか得点できなくても、読解が100点なら計180点ジャストで合格ということです。

雑感―漢字圏であることの功罪

私の得点の偏りを見てもそうですが、日本人は母語との使用文字の相似という超チート条件があるので、読解でかなり稼げます。ただし、普段からつい文字頼みで中国語に接してしまうために他の分野(特にリスニング能力)が伸びないという落とし穴があるのもまた、日本人の中国語学習者の特徴ではないかと思います(鏡を見ながら)。

ちょっと話を変えますが、日本語能力試験(日本語が母語でない人向け)の得点率において、中国語を母語とする日本語学習者は他の欧米圏の学習者に比べて、読解では優れている反面、リスニングでは平均得点がはっきり低いというデータがあるようです。ただ読解が有利というだけでは、リスニングの差は出ないはずなので、この「文字の相似」がむしろ仇になっている面もあるのではないかと考えています。日本人の中国語学習者にも、同じことが言えるのではないでしょうか。

ということで、ここから科目別にやったことを挙げていきます。

総合対策:語彙

上記をかんがみ、語彙は発音とセットで増やす必要があります。逆に言えば、耳で聞いてその単語がぱっと頭に浮かべば、その語はOK、覚えたということです。
5級に出る単語の把握には前回書いたように、単語帳は買わずWeb上で検索・ダウンロードした、ピンイン付きの2500語リストを使いました。
PDFをOnenoteにいくつかに分けてコピーし(evernoteが使えるならもちろんevernoteでいいのです、中国では使えないので)、「ピンインを見て漢字が思い浮かぶかどうか」を習熟の判断基準にして繰り返し見ました。
具体名詞のように意味も余さず把握しているものは消し込んだり(完全に消すのではなく消し込み線を入れる)、解いている模擬問題に出て分からなかったものに印をつけて用法を書き加えたり、明らかに重要語(使用範囲の広そうなものなど)なのに覚えていないものだけを集めて新たにページを作ったりと、適宜手を加えながら使いました。
結局全体的には、2~3周は眺めたかなーという感じです。

リスニング対策

不安だったので、「読解」のほうで挙げる模擬問題集に加えて特化したものを用意しました。

模擬問題集の方が簡単で、対策本の方が思うように得点できなかったので、後者のCDをシャドーイングにも使ったりして繰り返し聞きました。模擬問題の方の問題は各一回しか聞きませんでした。
語彙が増えるにつれて、聞いてわかる単語が増えるので、だんだん自信がついてきました。

読解対策

模擬問題が中心です。

強いて言えば、時々手持ちの小説やスマホでのインターネットニュースも読んでいましたが、直接的な試験対策にはなっていなかったかも。そこまで特別に難しい文法・成語などは使われていないので、ここでもコツコツと語彙を増やしていきます。
設問のタイプとしては、内容の理解確認、それから文章中の単語の穴埋め(選択肢はイメージの近い単語4つ)などがありますが、後者は本文中に正解の単語が出てくることが多いので、落ち着いて前後の文章から探せばOKです。ただ、設問45問に対し解答時間が45分なので、試験対策の時点でも時間を測るなど、「早く正確に読むこと」を意識した勉強をするべきだと思います。

作文対策

正直、あれからもネイティブチェックはほとんどしてもらいませんでした。環境的には恵まれているので勿体なかったかもしれませんが、必要ないと判断しました。前に書いたエントリ中でのlang-8の件でもそうですが、特に国語教授法等のスキルがないネイティブの判断は「オレがそういう風に使うか/使わないか」だったりして大変曖昧で、「ここが違う、こう変えるべき」と言われても、そこから根拠や納得いく説明をもらえることは稀です。

たとえばイタリア語では、文法上は名詞の直後に修飾する形容詞を置く決まりなので「来週」は「la settimana prossima」なのですが、「la prossima settimana」と言うネイティブはとても多くて、前者で書いていると後者派から「訂正」されることも多々あります。これはイタリア人が特別いい加減だからというわけではなく、「電車が『参ります』を『伺います』に変えられないのはなぜ?」と非ネイティブから聞かれた日本語ネイティブが「ここでは『伺います』は使えない」ことは即座に指摘できても、それ以上の説明にはある方面でのスキルが必要になるのと同じです。

その点では、私の留学先の先生や友人も「普段は中国人に日本語を教えている中国人=日本語で意思疎通が取れる=日本語も話せる一般的なネイティブ」という人々なので、早い段階でそうした方面で頼りにするのはやめました。もちろん日常会話など、生活中の中国語では大いに助けてもらっていて、感謝しています。

前置きが長くなりましたが、私が作文対策に取り組んだのは本番一週間前からで、やったのは「問題集の模範解答を書き写す」ことです。
最初は一ヶ月前くらいからの模擬問題集を解く際に、バカまじめに「写真を見て100文字程度の文章を自由に作りなさい」の文章の内容をいちいち考えていたのですが、この「頑張って考えた内容」って別に本番の試験には役に立たないんですよね。本番は本番の写真を見てその内容をそこで考えて書くのですから、一回一回の練習問題のために頭を使ってオハナシを考える時間は無駄かな?と思ったんです。たまたま似たイメージの問題が出ても、練習で作った文章をいちいち覚えてはいませんしね。
だから、本番でそのオハナシを入れる骨組み=構文や文体を身に付けておくことに注力することにしました。まさに「内容=骨組みの中に入れるもの」ですね。

ちなみに留学先の先生には、その「あらかじめいくつか解答を作っておいて暗記する」という方法を勧められたので(理由としては「中国の学生(特に大学受験生)もそうするから」)、「こらあかん、自分で方法を考えよう」と思った…というのも少しありますw
科挙の国だけあって、一にも二にも暗記!というスタイルが、いまでも彼らの学習の基本なんですね。

模範解答には日本語訳も付いているので、模範解答を一読→日本語訳だけを見ながら書いてみる→模範解答をそのまま書いてみる、というパターンで繰り返しました。
もちろん読むだけでもいいのかもしれませんが、書く(といっても本番はwebテストなので、ここでもOnenoteを使って本番通りにタイプしました)ことで「こういう呼応表現を使えばいいのか」「ここは句点ではなくコンマになるのか」など「解答向きの文章の形=文体」が分かるようになりました。何より解答で指定される「100文字前後」の量感をつかめるようになります。最後の方には面白くなってきたので、思い付きで「構文をそのままで、まったく別の内容について書いてみる」という練習もしてみました。結局オハナシ考えてるやんか、っていう。

本番では75点と、点数分布では上位2割以内だったものの自分の結果では3科目中最低でした。5級相当の難しい単語を意識して盛り込んだり、複雑な構文を使えば、もう少し点数が伸びたのかもしれませんが、そこは実力相応ということで。

その他

いきなり5級を受けるので中級レベルの語や語法に落とし穴があると考え、学校で使うテキスト(初中級向け)を未習範囲含め音読するなどしました。4級の範囲の単語もざっと眺めるなどしました。

終わりに

満を持しての合格エントリうぇーいwwwと、うきうきして書き始めたのでものすごく長くなってしまいましたが、以上です。すぐにではありませんが、ここまで来ちゃったのでいずれ年内にでも6級取得に向けて動こうと思います。最後に、受験会場の門に書いてあってすっかり気に入ってしまった言葉を置いて、本エントリを閉じます。

学习成就未来,知识改变命运(学びは未来を成し、知識は運命を変える)

私が外国語学習に向いてない理由(そして、それでもやる理由)

語学についてちょいちょい書いているこのブログですが、じつは自分は外国語の学習に不向きだなあと、結構、つねづね思っています。

現在の留学生活中にも感じているし、今回の春節期間にもつくづく思いました。

 

千野栄一先生の『外国語上達法』で、語学の神様・S先生が、千野先生から「会話に大事なものはなんでしょうか」と聞かれて「いささかの軽薄さと、内容」と答える場面があります。

 

いささかの軽薄さ。これが私にはとても難しいなあと感じます。日本語の会話でそれを実行することが、そもそも苦痛なのです。出来れば必要なこと以外話したくない。だから相手の情報も、必要以上には聞き出したくない。端的に言って、ほかの人の内面やプライベートにあまり興味がないのかもしれません。

 

「軽薄な会話」で口慣らしをして、重要な会話で力を発揮するというのが本来の外国語の、いや、ひいては「言葉を使った」コミュニケーション全体での作法なのでしょうが、前者がどうにも苦手なので、全体的にも進歩しません。さすがにこの国に来たばかりの時に比べると能力は上がっているとは思いますが、複雑なことは言えないし、短文短文だし、ぜーんぜんだめです。

 

ただし、私は会話において「ネイティブに間違われるほど上手くなる」という目的は早々に捨てました。どんなに発音が標準的で、発話が流暢であっても、対面の会話では外見で外国人だと見破られ、そのように扱われてしまうのです(ちなみにその点にまつわる通り一遍の形式的な雑談ももちろん心理的には苦手です)私はそれを、スターバックスで見かけた西洋人のおじさんから学びましたそして中国人になりきるには、典型的九州人の私の顔はちょっと濃すぎるみたいです(一度「新疆の人?」と聞かれなんとなく悪戯心そうだよ!」なりすましたことはありますw)

 

「会話が言語のすべてではないんだから、別にいいじゃん! 」こう言う人がいれば、私は全力で同意し、またいくらか安心するかもしれませんが、残念ながらそういう人はほとんどいません。むしろ会話能力というのは世間一般の「外国語学習者」が何よりも必修とされているものであり(「○○語ができます」というと「じゃあペラペラなんですね?」と返ってくるのが世間です)、外国語学習の他者評価において圧倒的に減点方式を取られる項目であり、ほかが出来ていても「ペーパーは出来ても会話が全くダメ→だから(彼/彼女/某国の人)の外国語能力はダメという結論付けがなされます。某国の英語教育についても、よく言われますよね?

というわけで、私の、昨年末のHSK5級の8割強という(自分では会心の)得点も、現状、「でもその割には話せないよねをみちびくマクラにしかならないというわけです。

 

「会話が言語のすべてではないんだから、別にいいじゃん! 」私は内心、そう思っています。もし外国語学習の終着点が会話しかなかったら、私は語学なんてやってないでしょう。苦労して嫌いなことをやるために勉強するなんて、面倒くさいから。

「苦労は買ってでもする人に売れ!」私の好きな言葉です。インターネットで拾いました。

 

もちろん、前述のとおり、周りは無口であることを(なぜか)良しとしてくれません。留学=会話なんて誰が決めたんだ 私は日々中国で生活し中国語の本やニュースを読みSNSにそれらの感想や近況などを書き文法の仕組みやコロケーションや成語に面白味を感じいくつかの生活に必要な問答をして、それである程度充足を感じている。それなのに「もっと(軽薄で、中身がなくて、あってもなくてもいい)会話をして、会話能力を上げよう」というようなことを言われるのです。うんざりです。

 

あまつさえ、遠からぬところに非常にそれがお出来になる方がいらっしゃると余計に鬱陶しいwこちらはハナから目指す気もないのに、某人はこんなに話せる、ついてはこんなエピソードがある、あなたも某人みたいになるには云々、などと、大きな声では言えませんが、余計なお世話なんでよねー!!はい言っちゃった!

「会話だけならコジキでもできる」とは、夫から教えてもらった某教授の言。性格悪いですが、この言葉にいくらか慰められ、また励まされています。(うわ、文字にしたら本当に性格悪いな)

 

ここまでひとしきり、負け惜しみのような愚痴のようなものを書き散らしましたが、誰に何を言われたというのでもなく、いま現在で自覚出来ている範囲での、自身の弱みというのをアウトプットしてみたくなった次第です。

 

アウトプット。外国語学習のひとまずの目的地としての、この行為の大事さは、もちろん理解しています。いつかは今こうして書いている内容や、このブログの他のエントリもすらすら中国語や他の言語で書いてみたい。そして、(必要に迫られれば)それらを雄弁に説明できるような会話力も身につけたい。でも私はそれらの能力を、急いで優先的に習得するよりも、十分にインプットしたあとで、コップの水が溢れるように、外に出したいんです。場数が大事だというのはさんざん身を持ってわかっていることですが、そのうえで、ゆっくり仕上げたいんです。言い換えれば、私が身につけたい会話能力というのは、そのようにしてでないと仕上がらない種類のものだと信じたいのです。

 

「いくつもの言語を知れば知るほど、人間は大きくなる」

この『外国語上達法』で紹介されていたチェコのことわざを、私は信じています。私が外国語を勉強する理由は、見かけやしくみのまるで違う道具の使い方や特徴を知ることで、わくわくしたり、驚いたり、ある意味諦めたりする、そのことが楽しいからです。思考は言語を超えないのだから、言語が同一でない限りほんとうに分かり合える日は来ないのだ(もちろん、同じ言語の話者同士でも諍いはあるのだから当然のこと)そう思うと寂しくもありなんだか安らぎもするのです。そして、このことに自ら気付けただけでも、私はいくらか満足しています。

 

だから、周りの無責任な「かくあるべき」をこれからも受け流していけますように。

せっかくある程度の強制力のある教育機関などから解放された大人の学習なのだから、好きにしよう。愚痴めきましたが、そのような決意表明としても書きました。おしまい。

 

外国語上達法 (岩波新書 黄版 329)

外国語上達法 (岩波新書 黄版 329)

 
私の幸福論 (ちくま文庫)

私の幸福論 (ちくま文庫)

 

 

使ったことのある(Duolingo以外の)無料オンライン語学学習ツール

kn.hatenablog.jp
kn.hatenablog.jp

よくDuolingo社の回し者かのような記事を書いているこのブログですが、あくまでいちファンとしてつらつら遊んでいる次第です。エスペラント語もやっとレベル3になりました。Mi iomete parolas la esperanton!! ←今日習った表現。少なくとも主格と目的格とで格変化が起こることは現時点で分かりました。続きもわくわく。

kn.hatenablog.jp

回し者でない証拠に、Duolingo以外にもいろんなツールに浮気してふらふらやってます。浮気というか、同時進行というか。ゲスいかな?

有名なものばかりですが、ちょっと挙げておきます。

まずはこのツートップ。

東外大言語モジュール

http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/
27の言語が学べます。言語によってコンテンツの充実度にはムラがありますが、発音、語彙、文法、会話などに分かれていて、好きなところから勉強できます。会話は動画を見ながら学習できる言語もあります。
中国語会話は北京・蘇州・台湾の普通話と細かくバリエーションを変えてあるのが心憎いです。

高度外国語学習独習コンテンツ(大阪大学)

http://el.minoh.osaka-u.ac.jp/
学べる言語の数は20と、東外大ほど多くありませんが、東外大のにはない言語もあり、コンテンツはより体系だったつくりになっています。
先月はこれを使ってタイ語を勉強していたのですが、まずただスキットを聞く→単語を確認→文法を確認・練習問題を解く→もう一度会話を聞く→文化理解としてレアリア的な知識を得る、という一連の流れで1課を構成していて、先月一か月だともちろん途中までしかできなかったのですが、ペースを落としても最後までやってみたいなと思っています。

ちなみに、上の二つのサイトには「日本語」の学習コンテンツもあるので、日本語学習者向けの教材としてもオススメです。

lang-8


最近全然やってないのですが、ある程度文法や単語は持っている前提で、アウトプット、特にライティングを鍛えたいとき、投稿した文章をネイティブがチェックしてくれるこのサイトを利用することができます。同時に、日本語ネイティブとして、日本語学習者の書いたものに添削することもできます。
しかし、ただネイティブであるというだけで学習者の書いたものの添削ができるというこのシステムにはやはりちょっと難があるなとも感じます。○○語のネイティブ、イコール、○○語教授法習得者ではないのと同じで、「自分はこう言わない」を根拠に「外国人」の書いたものを訂正する人は思ったよりも多く、たいていそのような人たちは理論的、言語学的な解説をくれないのです。それは現地でネイティブと話す際にも同じことが言えるのですが。
ちなみに基本無料ですが、有料版にすると複数言語の投稿ができたり、画像の投稿ができたりします。

おまけ

http://how-to-learn-any-language.com/e/index.html
英文サイトですが、勉強する言語を選びたい時、それぞれの言語の特徴などを細かく紹介してくれているサイトです。見ているだけで面白いです。
「難易度」は(おそらく)英語話者からみたそれなので、あまりあてにならないかもしれませんが。

魅惑のエスペラント語

恥ずかしながら、昨年末のHSK対策を始めたあたりから、Duolingoを放置していました

 

kn.hatenablog.jp

  

放置する直前まで取り組んでいたのは、フランス語。

ちなみに、その他に手を出しているのは、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、オランダ語アイルランド語。まあ、イタリア語とドイツ語以外は最初の1課をやってほったらかしなのですが…。

 

ゆうべ、思い立って、恐る恐る再開しました。フランス語とイタリア語をトレーニングモードで一回ずつ。

思ったより忘れていなくて一安心…。Duolingoの学習項目は選択問題メインで、似た問題が反復的に出てきますこれは、うろ覚えや、放置からの再開にも優しい設計なのかもしれません。なんという、語学ジプシーの生態を良く分かっていらっしゃる仕組みであることか!

 

久しぶりに見てみると、なんだか学べる言語が増えているような気がしました。

ちなみに、今のところ、英語で学ぶことができる言語は以下の通りです。

※「英語で学ぶ(for English speaker)言っても「問題文が英語で書いてある」に過ぎないので、この点でためらっておられる方は一度ためしにやってみることをオススメします!私が今までDuolingo関連エントリいつも補足しておこうと思いつつできなかった点です

 

そして、以下の言語が開発中。

 

最後のクリンゴン語は「スタートレック」内の宇宙言語だそうです。遊び心あるなー、と思いましたが、このクリンゴン語言語学者がきちんと言語らしさを追及して作ったものだとか。だから系統立ててDuolingoでも学習できるということなのでしょうか。いわば立派な人工語ですね。

 

そして、上記の中にはクリンゴン語以外にももう一つ、人工語があります。エスペラント語です。

 

ダーリンは外国人』のトニー・ラズロさんが自著で激しくオススメされていたのをちょっと思い出して、試しにちょっとやってみたのですが、これ、本当に面白いです!おすすめです!

 

というわけで突然ですが、

エスペラント語学習がオススメな5つの理由

1.文字が簡単

文字が難しいというのは語学学習の最大の壁です。タイ語のように同じ音でも単語によって別の文字を宛てるように決まっているものもあります。エスペラント語は英語と同じアルファベットを使います。ウムラウトのような記号も使いますが、一から全ての文字を覚えなくていいのは何よりです。

2.文法が簡単

基本の第1課(3コマ)をやっただけですが、ラテン語の流れを正統に汲んだ文法構造になっています。のみならず、不定冠詞がいらないし、どうやら名詞の性も無さそうですこれは文法を覚える手間が半分になったと言ってよいでしょう。

3.語彙が簡単

文法同様、単語もラテン語派の諸語と似ていますので、それらの学習経験者であれば、基本動詞を初見で予測することもできます。ちょっとした天才気分を味わえます。

4.発音も難しくない

ドイツ語のようにjの文字にyの宛てられている点を除いてはほとんどローマ字読みですrもそんなに巻いてない…ような。

5.世界中に使用者がいる

エスペラント語協会は世界中にあるそうです。どの国の人とも友達になれる可能性があるということ!簡単な文章を書けるようになったら、lang-8に投稿してみようかなー。

 

というわけで、しばらくはぽちぽちやってみます。わーい。

 

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エスペラント四週間

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