つのへび日記

こなやぎのブログです。手仕事、語学、短歌、読書や映画など。

ごく小規模なハーブ栽培の記録(第3週~第4週)

kn.hatenablog.jp
このエントリの続きです。
食欲本位でルッコラ、バジル、パクチー、ミントを育てています。
今回も二週間分の成長をまとめて見る自分用エントリでございます。

第三週。



ネットで発芽率3割とも5割とも書いてあるのを見たので、ちょっと浮かれてのコメントです。やっぱり種を二分割しておいたのと、さらに一晩水に漬けていたのが勝因かと。


私が、パクチーが!ルッコラが!と大騒ぎしているあいだにイギリスがEUから離脱していた、そんな週でした。
三週間経過した時点でのそれぞれのソロ写真。スマホのカメラ機能を色々試しているのでこういうおもちゃっぽい写り方になってますが。
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パクチー
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ミント。種がめちゃくちゃ小さい分、芽もとても小さい。
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バジル。圧倒的成長。
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ルッコラ。双葉がハート形なのがかわいい。

続いて第四週。







湿度のせいか、温度のせいか、その両方なのか。よく育っています。
これまでは種のパワーに任せて水やりのみでしたが、第三週からは100倍希釈の液体肥料も週一回あげはじめました。

次回へつづく!

6月の読書:カレル・チャペック『園芸家の一年』

私はイタリアの物語だとジャンニ・ロダーリを読むし、はてなのアカウントの元ネタはトーマス・M・ディッシュの『いさましいちびのトースター』なんですけど、別に児童文学やファンタジーを好んで率先して読むというわけではないのです。あくまで『猫と共に去りぬ』や『青矢号』や『いさましいちびのトースター』を読んでみたら面白かったという話で、この、本との出会い方というか、あるカテゴリへの分け入り方というのは、結構私にとっては重要なのです。で、私はずっとカレル・チャペックへ分け入ってみたいと思いつつ、そのやりかたに悩んでいました。

今のところ、日本で一番有名なチェコの作家はチャペックだということになっている…とおもいます。千野栄一先生のエッセイ集『ビールと古本のプラハ』を読んで以降チェコに興味がある私は、チャペック、いつか読まんとなあ…と思いつつ、タイミングや出会い方を図りあぐねていたのです。ちなみに、この本に登場する作家・フラバルは読んで、好きになりました。フラバル先生の最期にまつわる「窓辺に来た鳥にえさを与えようと身を乗り出して墜落死」という俗説、理想の死に方ベスト5くらいに入ります。

きっかけは、引っ越してから始めた室内でのハーブの栽培でした。毎日せっせと水を上げたり土を観察したりしているときに、ふとチャペックに園芸エッセイの本があったなと思い出しました。そう、やっと私にも、チャペックを読む時機が到来したのです!

kn.hatenablog.jp

私が読んだのは、恒文社版の飯島周氏訳のものです。平凡社ライブラリ版、中公文庫版(『園芸家12カ月』)などあるようですが、図書館で唯一利用可能な図書がこの版だったので。元来、本は買ってから読む派でしたが、当面倹約路線なので、積極的に図書館を使えるようになっていきたいという次第です。図書館から借りた本を読み終われない、いや正確には中々読み始められないという悪い癖があって、気が付いた時から学生時代までは延滞の常連だったので、以後は自分が書店に就職したというのもあって気になる本はどんどん買う派だったのですが、しばらくはローコストで生活したいがために、公共サービスをありがたく享受しようかと。
本を買う時の喜びって、なんか脳から変な薬が出ているんじゃないかというくらいに他で得難いものがあると個人的には思うんですが、貸出期限を守れないという悪癖を放置する代償に、いずれ手放すかもしれないものにお金を払い続けるのはよくないんじゃないかとも思いはじめまして。ひとつ、図書館利用という習慣を養ってみようと相成りました。

kn.hatenablog.jp

前置きが長くなりました。本書は、趣味人であったチャペックの多彩な趣味の一つである園芸、庭いじりについて書かれたエッセイです。タイトル通りに、「園芸家の○月」という章が一月から十二月まで丸一年分、そしてその合間合間にも短いエッセイが挿まれています。

「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」というやまと歌がありますが、植物を愛でる人の心というのは洋の東西、時の今昔を問わず共通するものなのだなあと微笑ましくなります。日照りが続けば雨が降ってほしいとやきもきし、雨がざあざあ降れば歓喜し、しかし降り続けばちょっと降りすぎやしないかと心配し、寒ければ自分の服を庭の木々に着せてやりたいと思い、バカンスに家を空ければ留守を任せた知人に毎日あれこれと用を言いつけ庭仕事をさせ…、という具合に、四季折々の「園芸家あるある」がユーモラスにつづられています。チャペック兄による挿絵がとぼけたタッチでまた可愛い!

もちろん相違点もあります。たとえばチェコの六月は乾燥していて、時々雷とともに雹が降ること。あちらの庭は広いから、一部をロックガーデンにして高山植物やサボテンのスペースにできるということ(いや、これは単にチャペックが凝り性なのか?)。冬季には庭のあずまやや、バラのアーチや、パーゴラを手入れするように、などと園芸書には書いてあるそうです。パーゴラとは何ぞや?と調べたら、ぶどう棚のことらしい。

「手のひらほどの大きさでも、庭を持つべきだ」とチャペックは言います。私の、出窓に小さい鉢をいくつか並べただけのスペースも、庭と呼んでいいのかなとなんだか嬉しくなる一節です。

この他にも示唆に富む文章がたくさんあり、単なるモノマニアの「あるある」で笑わせるだけのエッセイではなく、時折しみじみ、じんとしてしまいます。例えば、私の好きなところ。

労働をするなら、楽しいからか、能力があるからか、さもなければ、結局は生きるためにか、どれかの理由でするべきだ。ところが、主義のために靴を縫うこと、主義や美徳を意識して労働するのは、それほど価値のない労働をすることを意味する。

たとえひたいに十字を切らなくても、わたしたちは誰でも、ゆっくりと人間の生まれたままの状態に帰るのだ。どの家のかまどの火も、かまどの神様たちに敬意を表して、燃えている。わが家への愛は、星の神々のどれかをあがめるのと同じ、一種の儀式なのである。

この本を読んでいて、「文化(culture)」と「耕す(cultivate)」は同語源だよな、とハッとさせられました。やわらかいふかふかの土を、きちんと自分の中にメンテナンスして、栄養を与えて、養っていかないと。
他の版も読んでみたいし、いずれ手元に置きたい一冊です。

園芸家の一年

園芸家の一年

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

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青矢号―おもちゃの夜行列車 (岩波少年文庫)

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いさましいちびのトースター (ハヤカワ文庫SF)

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ビールと古本のプラハ (白水Uブックス―エッセイの小径)

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わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

4種のスパイスで作るインドカレーを3回作ってみた感想、ゆで卵のピクルス、そしてビリヤニなど。

kn.hatenablog.jp

こちらの記事の続きです。

あれからリベンジもかねて、この「はてな匿名ダイアリー」で投稿されていたレシピでカレーを作っては食べ、作っては食べてみて、うまく作るコツのようなものが分かってきつつ、また自分なりのやり方に行き着きましたので、他のカレー好き、ひいては料理好きの方々とも共有出来たらと思い、覚え書きもかねてエントリする次第です。

前回のエントリが書かれた日付(6/22)をご覧になって、なんか頻度高すぎるんじゃない?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。文字通り3日と空けずカレーを作っているありさまなのですが、これはもう仕方がないですね。スパイスに呼ばれている、というか。初めて作った時に、食べ終えながらすでに「次はどんなカレーにしようかな」と考え始めている自分がいました。それから買ったスパイスはいつも冷蔵庫のドアポケットに保存しているのですが、冷蔵庫を開閉するたびに目に入るそれらに「あー、またカレー作りたいな…」とカレー欲が刺激され、結局最初に作ってからきっちり3日目に2回目の挑戦をしました。これがその時のカレーです。

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えび&キーマカレー
オリジナルからの変更点としては、辛みが少々物足りなかったので、スタータースパイスにホールの唐辛子を2本加えてみました。それから、しょうがとニンニクをすりおろさずに、どちらも細かいみじん切りにしました。前回焦げ付いてしまったのもあり、私の好み(単にすりおろしよりみじん切りのほうが面倒くさくない)もあり。やはりそうしたら、焦げずに苦くないカレーになりました。おおむねおいしかったけれど、エビはがっつり煮こんでしまったので、ちょっと硬くなってしまい反省。次は仕上げる直前に加えようと思います。

それからさらに3日目の今日、3回目のカレーを作りました。この3日という間隔は別に図ったわけではなく、どうやらこのカレー、食べた翌々日には、あー明日カレー作ろ!と思っちゃう身体にしてしまうみたいです。おそろしや…。

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3回目の挑戦はかぼちゃとオクラのカレー。写真だと全然見えないオクラは、ヘタを落としたあと軽く素揚げにして、皿に待機させて上からカレーをのせました。写真的には上にのっければよかった…。カレーを煮ているときに、火を止める直前に投入して合わせようかなとも思ったのですが、カレーにねばねばが移って、残りを使ってビリヤニを作るときに支障がでるといけないので、やめました。この時はビリヤニをお弁当にして、夫に持たせようと思ったので、ニンニクを抜いて、代わりにショウガを多めに。ショウガは今回はすりおろしました。辛味もまた変えてみました。今回はホールの唐辛子に加え、チリパウダーも+小さじ1杯。代わりにコリアンダーを大さじ1から小さじ2に減らしました。
ちなみにこのカレーにはタンパク質が入っていないので、付け合わせにピータン豆腐を食べました。豆腐に刻んだピータンをのせて、ごま油と醤油を合わせたたれをかけただけの中式冷奴。うま!

というわけで、以上から私なりにこうしよう!と思ったことを書いておきます。

常に前倒しで作業する!

前回記事で「次の工程に進むサインを見逃さない」ということを書きましたが、「これ、もういいのかな?いや、まだかも…。もうちょっと待ってみよう」と、律儀にサインが出るのを待っていたら時機を失するということがわかりました。火は常に強火なので、ぼやぼやしていたらどんどん加熱が進んでしまいます。なので、「玉ねぎの一番小さいのが焦げてきた!はい次!」「トマトがちょっと崩れてる!はいスパイス!」と、どんどん、気持ちちょっと早めかな?というくらいで工程を進めていくと失敗しないと思います。「これはもういいのかな?」と思った時点でもういい!と押し切るスタイルでやっていくとスピードに乗れます。

焦げやすい器具ではおろさずにみじん切り!

私は鉄フライパンを使っているのですが、2回すりおろししょうがでやってみて、おそろしく焦げ付くということが分かりました。玉ねぎに水分が残っていようがいまいが、炒めるそばからどんどん乾燥して、そしてハネる!超痛い!ハネたクミンが刺さるよりも心なしか痛い!調理器具の加工によっては全然こういうことがないものもあるかと思いますが、私はやはりショウガとニンニクはみじん切りにしようと思います。

ゆで卵のピクルスとカレーは最強に合う!

2回目のカレーも1回目と同様にゆで卵のピクルスを添えています。これは1回目のと同時に漬けこんだものだったのですが、黄身にまでお酢の味がしっかりついていて、もう本当においしかったです!
普通にゆでた卵の殻をむいて、水とお酢を1カップずつ、砂糖4分の1カップ、塩大さじ1、唐辛子、ニンニク適量を鍋でひと煮立ちさせて作ったたピクルス液に漬けるだけです。
漬けて3~4日目がおいしいんじゃないかな。私は固ゆでにしましたが、半熟でもおいしいかも。インドカレーだけじゃなく、どのカレーにもたぶん合うと思います。試したことない方は、ぜひぜひだまされたと思って一度作ってみてください。

トマトの大きさはあまり影響しない!

1回目から3回目まで、だんだんとトマトを切る大きさを大きくしていってみましたが、最終的に10分煮るので全部跡形もなくなります。特に、今日(3回目)は野菜カレーだったのでトマトも存在感が出るといいなと思いかなり大きめ、といっても8~12等分くらいにしたのですが、ものの見事に溶け込みました。「トマト&カボチャ&オクラカレー」にしたかったなら、煮る工程の中間地点くらいに追いトマトをしたら、トマトの食感も楽しめるカレーになったかもしれません。
ともあれ、材料を切る作業というのは地味に時間がかかるし面倒くさいので、大きく切ってもいいものはどんどん大きく切って手抜きをしちゃうことにします。点火から煮込みまでは本当にジェットコースターみたいに一気に出来るので、楽しいです。

おまけ・ビリヤニの作り方

ビリヤニはインド風炊きこみご飯で、下茹でした米とカレーを鍋の中で重ねて炊き上げたものです。最新号のdancyuカレー特集でもビリヤニのページがありましたね。
このインドカレーのレシピだと、2人で食べるとちょっと余りが出るので、私は毎回ビリヤニにしています。

以下に、私のカレーバイブル『カレーのすべて』(柴田書店)のレシピ+dancyuに載っていたレシピのうろ覚え(買ってないんです…すみません)+試行錯誤しながら3回作って自分なりになんとか定まったレシピを記しておきます。

米1合を軽くといで、吸水させたあとざるに上げる。
ターメリック少し、バター少しを入れた多めの水を鍋に沸騰させて、そこに米を全部入れる。3~5分くらい茹で、ざるに上げて湯を切る。
鍋に米と、残りのカレーを交互に重ねながら入れる。鍋底から米、カレーの順番で。
酒少量をふって、フタをして、点火。5分くらい弱火にかけた後、ちょっと中をのぞいて水分が飛んでいたら火を消して20分蒸らす。ざっくり混ぜて器に盛る。

これを食べながら、あ~またカレー作ろう、次は何入れようかな、と思うのでした。

おわりに

インドカレーは元々好きで、自炊も元々好きなのですが、今までは作れるものじゃないと思っていたので、もっぱらお店で食べていました。
その反動なのかなんなのか、もうすっかりこのインドカレーのレシピがやみつきになって、いつでもこのカレーが食べられるように、今やトマトと玉ねぎは常備品です。
スパイスや食材方面にも興味が開かれて、次はどれを注文しようかなとわくわくしてます。
おすすめの食べ方などあったら、ぜひ教えてください!

カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック

カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック

話題のインドカレーレシピをさっそく試してみました。

我が家のインドカレー

「基本のカレーって玉ねぎとトマトの旨味をスパイスで食べる料理という認識」わかる! ところでブクマ2000超えてるけど、そろそろ国会に持ち込めるのでは?/ 作った→ http://kn.hatenablog.jp/entry/2016/06/22/162642

2016/06/17 17:02

この「はてな匿名ダイアリー」の記事、最初はよくあるめんどくさいウンチクおじさんによる俺のカレー論みたいなウエメセエントリかと思い、「えらい伸びてるなー」とタイトルをぼんやり眺めるだけだったんですが、この伸び方は尋常ではないなと開いてみたら、包容力の高い書き手の人格もあいまってすごくすごく魅力的な内容で、さっそくその日のうちにブコメで紹介されていたアメ横の豆・スパイス卸の大津屋のネットショップでスパイス四種を注文しました。

一応注文する前に、カルディのサイトからギャバンから出ているそれぞれのスパイスの価格をチェックし、比較をしたのですが、送料(864円)込みでも大津屋のほうが安く、しかも量が多い(大津屋はすべて1袋100gが最小単位、ギャバンは物によって65gとか80gとかまちまち)という結論に至ったので、大津屋にしました。

注文から二日後、時間指定の通りの夕方にスパイス到着。
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ほかに必要な材料はすでに準備しており、あとはスパイスを待つのみだったので、さっそく次の日の昼に作りました。

以下、匿名ダイアリーのレシピで実際に作るときに気を付けたこと、作ってみて気づいたことなどを書いていきます。
がちがちに引用するのは増田に悪いので、レシピ全文はこちらからご覧くださいね。
やりとり含め、とてもいいエントリだと思うので。

まず、元の記事には「慣れたら30分で出来る」と書いてあるので、初めからスピード感を意識して取り組みました。
主な流れは、

クミンを炒める→玉ねぎを炒める→おろしたショウガとニンニクを加える→トマトを加える→火を止めスパイスを加える→スパイスを炒める→具材を加える→水を加えて10分弱火で煮る

ですが、すべての工程に「次行程に進むサイン」を書いていてくれてるので、それを見逃さないようにイメトレします。
するとこうなります。

クミンを炒める(パチパチする)→玉ねぎを炒める(端が軽く焦げる)→おろしたショウガとニンニクを加える(香りがまろやかになる)→トマトを加える(ドロドロになる)→火を止めスパイスを加える→スパイスを炒める(2分くらい経つ)→具材を加える(火が通る)→水を加えて10分弱火で煮る

これを元記事を読みながら何度となくイメトレして、本番では一度もスマホを見ないですむようにしました。紙媒体でも何でもそうですが、レシピをちらちら見ながら作るとどうしてもスピードに乗り遅れてしまうし、それに伴って失敗のリスクも上がるので、工程を完全に頭に入れてから作り始めるのはおすすめです。時間がない方は、作る前の晩に寝ながらイメトレしてみてください。

当日は、作り始める30分くらい前から米を研いで浸水させておきました。ターメリックライスを作りたかったのですが、うちでは3年くらい前から鍋でガス炊きしているので、同時に作ったのではカレーへの集中力が落ちると思い先に炊くことにしました。

ちなみに米のガス炊きは、1合につき1カップ前後の水を入れて初めは強火→沸騰したら弱火→水分がなくなって鍋底からチリチリ音がしたら火を止めて20分蒸らす、です。フタはずっとかぶせておきます。できれば30分くらい浸水させてからのほうがおいしいです。量が少ないと芯が残ることがあります。2合以上炊くほうが安定する気がします。

炊飯用の鍋に点火して、米を炊いている間に材料を切りました。今回は初めて作るレシピで絶対に失敗したくないので、切ったあとのそれぞれの材料を小さい皿やボウルに入れて用意することにしました。ずぼらなので普段はあまりこういうことしないのですが、おいしいカレーのためなので話は別です。パウダースパイスと塩も計量して一つの器に合わせておきました。

米が炊きあがったので火を止めて、蒸らしているあいだにいよいよカレー作りです。材料を作る順番通りにガスレンジの端に並べておきました。いつも中華を作るときには一番最初にショウガとニンニクを入れるので、それらを玉ねぎより先に入れてしまいそうで怖かったからです。

油→クミン(パチパチ)→玉ねぎ、まで順調だったのですが、ここで少し失敗。玉ねぎを炒めすぎました。二口あるうちの強火力コンロの方で作っていたのですが(これも、おいしい中華が作りたかったのでこのタイプを買ったのでした)、体感2分くらいで端が焦げてきたにも関わらず「元記事には8分くらい炒めるってあったよね…」と時間の長さに囚われるあまり、時機を逃してしまいました。4~5分くらい炒めた時点でショウガとニンニクを投入したのですが、フライパンの温度が上がりすぎ、玉ねぎも水分がかなり飛んでいたためか、あっという間に焦げ付いてしまいました。「玉ねぎの端が焦げ始め」たタイミングだと、なじませるのに十分な水分があったはずです。増田も元記事で書いているように、それぞれ使う器具の熱伝導の高さやコンロの火力によって時間は変わってくるので、「次に進むサイン」を最優先に作るべし、ですね。

その後は特に問題なく煮込み作業まで終わりました。今回の具材は、ゆでておいたひよこ豆の冷凍がフリージングパック一つ分あったので、前の晩から冷蔵庫に移して解凍しておいたのを使ってチャナマサラ(チャナ=ひよこ豆で「ひよこ豆のカレー」)にしました。『カレーのすべて』(柴田書店)には、水と一緒にひよこ豆のゆで汁も加えるよう書いてありますが、ゆで汁は全部冷凍前に切ってしまったので、今回はナシです。

煮込んでいる10分の間に、炊きあがった米にターメリック、塩、バター、レモン汁を加えてターメリックライスを作ります。私はこれまで、ターメリックはただの色付け要員だと思っていましたが、今回届いたばかりのターメリックの袋を開封したとき、ふわっと強い香りが鼻を衝ち、うわあ、と感動しました。今まではS&Bか何かの卓上スパイスを使っていたので、この芳香が全然分からなかったし、炊く前の米にぴっぴっと適当に二、三振りするだけでした。今回は、『カレーのすべて』のレシピ通りに炊きあがったあとにしっかりした量(小さじ半分強)を加えました。油に溶けやすいとあったので、ターメリックを入れた中心にバターを落として、混ぜ合わせるようにだんだん広げていくと、うまく米全体にいきわたりました。

10分経って、煮込んでいたカレーの火を止めて、仕上げにレモンをひと絞り。ご飯を炊き始めてからここまで、トータル45分。次はあと5分短縮できるようにがんばろう。

さて、ピクルスも仕込んでおきました。前日朝から24時間漬けていたゆで卵のピクルス、ゆで卵を漬ける前に同じ瓶で漬けていたオクラと小玉ねぎも。オクラは一晩、小玉ねぎは4日くらい漬けたかな。小玉ねぎは上下を落として皮をもう1枚むいて半割り、オクラはがくをそいで先を落として塩ずりしたもの。
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チャナマサラ、完成!
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ラッシーも『カレーのすべて』からのレシピ。ヨーグルトと水と砂糖を混ぜるだけ。レシピではミキサー推奨でしたが、ボウルと泡立て器でも問題なく出来ました。シェーカーがあると便利かもしれません。レシピの比率はヨーグルト1に水1.2でしたが、それだとちょっともったりした「飲むヨーグルト」みたいなものになるので、気持ち多めに水を入れて、今回はシャバシャバしたラッシーにしました。

このカレーの味ですが、本当に「日常的に食べるカレー」だと感じました。特に強烈なパンチがあるわけでもなく、全然辛くない、万人に優しいカレーという感じ。でも一口ごとに「おいしいね」「すごいね」「感動だね」とぽろぽろ言いながら食べました。こんなすごいレシピが無料で手に入って、そのままスパイスも注文できて家に届いてしまうなんて、インターネットすごい!

辛いのが好きな人にはやはりちょっと物足りないかと思うので、クミンと一緒にホールの唐辛子を1本か2本、スタータースパイスにして炒めるといいかも。私は次回そうしてみます。

ちょっと書いておくつもりだったのに全部書こうとしたらすごく長くなりました。とにかく一言でいうと「すごくおいしいからぜひ作ってみてください」ということです。あと「次へ進むサイン大事」!

カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック

カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック

読み物としても面白い。元記事のスパイスの配合がいかに洗練されている、絞り込まれたものかも分かります。
レビュー等見ると、どうやらカレー本は東京カリ~番長の『カレーの教科書』と本書がツートップのようですね。『カレーの教科書』は未読です。

[新版]私の保存食手帖 (ESSEの本)

[新版]私の保存食手帖 (ESSEの本)

ピクルス液の配合はこの本から。
私が使っているのは初版のほうですが、梅仕事や他の保存食づくりにも、大変重宝してます。


続編書きました!
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ごく小規模なハーブ栽培の記録(~2週目)追記あり

当面金欠でなおかつ時間だけはあるので、趣味と実益を兼ねてハーブ栽培を試みました。
毎日それらの様子を撮っているのですが、続けて見られたら面白いかなと思って、2週間ごとくらいにこうしてまとめていくことにします。

というわけで、それぞれの植物についてそれなりに調べたことを以下簡潔に書いておきます。

バジル:一年草。気温20度以上で発芽。春に種まき~晩秋まで収穫できる。草丈が20センチほどまで伸びたら摘心して枝を増やす(こうすることで葉っぱの収穫量が増える)。風通しが大事なので、混み合う下の葉は切り落とす。日光が大好きだけど乾燥には弱いので、日当たりのいいところで育て、水は乾かないようたっぷりあげる。成長したら液体肥料を週に一回与える。アブラムシ注意。

パクチー:一年草。種まきは春か秋。花をつけるのは夏だけなので、春まきは開花後の秋には枯れてしまう。寒さに強く冬を越せるので、秋まきのほうが長く収穫できる。水はこまめにたっぷり、ただし根腐れしやすいので注意。肥料は、春まきの場合必要なし(生育サイクルが短いので)。秋まきは、越冬後の春に即効性の化成肥料を与える。

ルッコラ:一年草。発芽しやすいので、真夏と真冬以外いつでも種まき可。アルカリ性の肥沃な土を好む。花を咲かせると葉はとうがたって硬くなり、葉の量も増えないので、つぼみが出来る前に茎ごと摘み取ると、おいしい葉をたくさん収穫できる。日当たりが良すぎてもやはり葉が硬くなるので、真夏は明るい日陰で育てる。肥料は1000倍希釈の液体肥料を週一回。アブラムシ・アオムシ注意。

参照したのは、これらのサイトです。
http://kateisaiennkotu.com/
http://www.yasashi.info/index.html

使ったキットはこちら。東急ハンズで買いました。

ルッコラだけ出てこなかった…。エコハーブという商品名だった気がしますが。代わりに同じメーカーのを貼っておこう。
育てるグリーンペット ベジ ルッコラ GD-44503

育てるグリーンペット ベジ ルッコラ GD-44503

以下、1日目から14日までの記録。













Twitter貼り付け」で自分のツイートを出したけど、なぜかとびとびにしか表示されなかった…。追ってそのうち埋めるとします。→埋めました!(6/22追記)
早く収穫したいな!

→その後はこちら(7/6追記)
kn.hatenablog.jp

清廉でうつくしい、中国映画『胡同の理髪師(原題:剃头匠)』感想文

市役所での転入手続きも済んだので、先日さっそく市の図書館で貸出カードを作りました。
図書館のサービスはなかなか良くて、もう少し使いなれたらそのうちこれで一つ記事を書こうかなーと思っています。


総合図書館は大きくて、中に喫茶店、学習室、飲食スペースのほかミニシアターも入っていて、収蔵している映像資料・作品から月替わりでプログラムを組んだものが上映されています。

今月はアジア映画名作選ということだったので、気になる映画の上映に合わせて、貸出カードを作りに行ったというわけです。

その映画『胡同の理髪師』のあらすじはこちら。(引用:福岡市総合図書館映像ホール・シネラ 映画解説から)

93歳のチンさんは12歳の時から北京の古い街角で理髪師として働いてきた。客は馴染の老人たちだが,知り合いは次々に引っ越していく。そして近く家が取り壊されることを通知される。北京市の胡同に暮らす老人たちを丹念に描いた作品。チンさんは俳優ではなく,胡同に暮らす現役の理髪師。消えつつある街並みを哀惜を込めて描き出す。

予告編はこちら。

映画 「胡同(フートン)の理髪師」 (06 中/0802 日本公開) 予告編


この映画は上海国際映画祭でメディア大賞、インドのゴヤ国際映画祭で「金孔雀賞(映画通でないので、それがどのくらいすごい賞なのか解りかねますが…)」を受賞したということで、日本でも2008年に岩波ホールなどで上映されたようです。

以下の感想では内容に触れますので、ネタバレが嫌な方は読み飛ばしてください。




映画は剃刀を当てる音から始まります。丹念に顔を剃られている男性が、最後にタオルで顔を拭かれて「舒服啊(気持ちいい…)」とつぶやく。そんなシーンから幕を開ける本作は、物静かで、ノスタルジックで、衒いのない美しさに満ちています。

主人公のチンさん(敬大爷)を演じているのは、本物の「剃头匠」である靖奎氏で、登場する近所のホルモン屋なども実在する(した?)ようです。幹線道路は大きな輸入車で渋滞する一方、チンさんがリアカー付き三輪車で往来する「老街」の界隈はまだ昔ながらの狭い胡同が残っています。つけっぱなしのテレビからは北京五輪まで1000日弱のニュース、その沸き立つ声を聞きながらのんびり麻雀を打つ老人たち。話題は亡くなっていく友人のこと、心配な子どもや我が身のこと……。

チンさんはまさしく清廉潔白といった人物で、どんなに物価が高騰しても理髪代はいつも5元(90~100日本円)、子への不満をもらす友人には「彼らの世代も大変なんだよ」とたしなめ、愚痴をこぼす息子にはそっと自らの蓄えを渡すなど、温厚そのものです。同志の訃報に接するたびに、やがて来る自らの死を思い、できるだけ迷惑をかけず、さっぱりとしていなければと決意を新たにし、役人から自分の家を「取り壊し」と認定されても「なあに、自分が生きているうちはありえないよ」と嘯く一方で、身分証の更新で「20年有効」の新しいIDカードを受け取ってしまうところなどに、おかしみがあります。

北京市郊外に住む子世代の生活(潔癖なくらいにきれいな家に住み、フォルクスワーゲンに乗る)とチンさん達の胡同の対比もよくできていたと思います。それから、ご覧になった方で上記の「息子に自らの蓄えを渡す」シーンで、息子がろくに礼も言わずにチンさんの元を去ったところに違和感を感じた方も少なくないかもしれません。中国だと、家族や親しい間柄では、あまり感謝のあいさつはしないんですよね。本作中でも、殊更に「ありがとう」「すまないね」とチンさんが何度も声をかけていたのは、自分の肖像画を描いてくれた「友人の孫」の美術学生という、少し遠い間柄の人物くらいです。



ネタバレ終わり。

くすっとするシーンあり、しみじみと美しい場面もあり、とても引き算が美しい映画だなあと思いました。
監督はハスチョロー(中国語表記:哈斯朝鲁)。珍しい名だなと思いましたが、蒙古族なんですね。百度百科によると、ハスは「玉」、チョローは「石」を、それぞれモンゴル語で表すそうです。モンゴルでは父親の名を自らの姓にするそうなので、どちらかが彼自身のファーストネームなのでしょう。

ちなみに、主演の靖奎氏は今でももしかしてご存命なのかしら、と調べてみたところ、2014年11月付で訃報を伝えるニュース記事がありました。
101岁“剃头匠”靖奎离世_北京新闻·城事_新京报电子报
享年101歳、前月の下旬から肺炎で入院されていたとのこと。入院中も自分の子どもたち(実際は3男3女をもうけていた)の電話番号をそらで言えたりとしっかりされていたそうです。
記事によると、2007年からは近隣友人の逝去や自身の体力の低下のために、出張の散髪はせずに、もっぱら来た人に施術していたとのこと。映画のヒットのおかげで、テレビに取り上げられたり、国内外から会いに来る人がいたりと、ちょっとした有名人になっていたようですね。

映画の原題は「剃头匠」ですが、剃头刮脸といえば、昔ながらの理髪と顔そりをセットで行う、今の日本の理容店でおこなう施術を指すようです。現代中国では「理发(理髪)」ばかりを目にします。中国語の理には「いじる、かまう」の意味があるので、ヘアセットとかパーマとか、オプション的なことを元々指したのかもしれません(あくまで個人の印象で、未検証です)。

中国語のセリフについての解説等はこちらのサイトに面白いものがあります(ネタバレもあります)。
胡同の理髪師(剃头匠)_人民中国
このサイトにもあるように、劇中で話される北京語は、「老北京(生粋の北京っ子)」特有の、語尾のr化、nとngの顕著な区別などがたくさん味わえます。私は上海よりの地域に住んでいて、テレビもほとんど見なかったので、とても耳新しく、面白く聴きました。

この映画、DVDも出ているようですが、大きな声では言えませんがYouTubeで全編見れることを発見してしまいました。(ただし、英語と中文の字幕のみ)

The Old Barber 剃头匠 HD国语中字1280高清

これだけでも雰囲気は十分味わえるかと思います。
福岡市の総合図書館でも今月あと一度上映があるようなので、お住まいの方はぜひぜひ(料金は大人500円です)。

胡同の理髪師 [DVD]

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胡同物語(フートン) 消えゆく北京の街角

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定住しました。

久々の更新になるので、さくっと近況報告を。
中国から帰国することになった事情は、こちらに書きました。

kn.hatenablog.jp

ビザの期限が切れる4月末に、日本に帰国しました。
南通の家から空港までは、何度となくお世話になった友人の両親が車で送ってくれました。
ママが空港のターミナルで泣き出してしまって、こちらもぐっとくるものがありました。

引っ越しを手伝ってくれた時、「このまま一生中国に住めたらいいのに!」とはしゃいでいたママ。

kn.hatenablog.jp

ママの娘=私の友人は、現在日本で仕事をしながら生活しているので、やはりさみしいのだと思います。九州の地震のこともとても気にかけていて、私が「日本へ帰ったら、まずは熊本へ行って家の片づけをするよ」と言うと、大変心配してくれました。

そんな涙の別れを経て、夕方過ぎに福岡空港着。
この日はひとまず博多で一泊して、次の日から熊本へ。
当時は九州新幹線が復旧したばかりで、全席自由席の変則ダイヤで運行していました(おそらく現在も)。
熊本にはかれこれ一ヶ月ほど滞在しました。その間に家の片づけをしたり、福岡へ行って新居を契約したり、熊本の住居についての手続きをしたり。
熊本市中央区の私の住居は、引き続き住む分には問題がなかったので、私たちの中国滞在中に管理をしてくれていた身内を賃貸名義人にする手続きをしました(職場から近いので、便利だからということで)。久しぶりにつかのま一緒に生活した飼い猫も、そのまま家ごと身内にゆずりました。猫は家につくと言いますし、もはや中々のおばさん猫なので、引っ越しがストレスになってしまうと判断しました。

ちなみに震度5弱と6弱を受けた鉄筋造アパートの5階はこんな感じになります。蔵書家の方、ご注意ください。本棚は高さ180センチのものが2台、高さ1メートルのが2台あって、そのうち低いもの1台のみ直立していました。あとはこのありさま。
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本棚をどかしたところ。
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すっかり恐ろしくなったので、私たちはかなり本を処分しました。はっきり数えたわけではないのですが、捨てた本が200冊超、古書店へ売ったのが100冊超、ブックオフへ売ったのがだいたい150冊くらいです。ブックオフもほとんどの店が店内に被害を受けていて、辛うじて開店したものの買い取りは行えないという店もありました。一か月の滞在中に営業と買取を再開したところがあったので、そこへ持っていきました。

本棚もダメージがあったので、低い1台だけを残して震災ごみに出しました。家の周りを散歩していると、いろんなものが震災ごみに出ていました。座椅子とか、ブラウン管テレビとか、ほとんど廃品回収扱いかな?というようなものもたくさん。

余震は一日に何回もありました。ほとんどが震度1かそこらでした。しばらくは揺れるたびに目が覚めたり怖かったりしたけれど、だんだん鈍感になっていきました。寝てる間に揺れても気づかないことが多くなりました。人体って不思議ですね。

先月末に福岡に引っ越しました。夫の仕事(日本語教師)が見つかりやすいと思ったからです。日本語教師だけでなく、雇用そのものが多いので、私もいよいよ逼迫したら就職活動をするかもしれません。今は、中国にいたときにお手伝いしていた日本語学校の教材作りを有償で引き受けてぽつぽつやったり、悪名高い(笑)クラウドワーク系の翻訳のお仕事を拾ってきたりしています。

ものすごく甚大な被害があったわけでも、大地震のその時に現地に居合わせたわけでもない自分がこんなこと言うのもおこがましいのですが、日本にいる以上、「どこで大地震が起きるか」というのは「ちょっとだけ傾斜がかかったギャンブル」でしかないのかもしれないなあと思いました。もちろん福岡も例外ではないと思います。ミニマリストってほどじゃないけど、物はもたないに越したことはないかなーなんて思い始めています。期せずして、中国1→中国2→熊本→福岡と、今年に入って3回も引っ越しをしてしまったゆえの結論でもありますが。

すっかり更新に間が空いてしまって、タイミングを計っていた感じがあるんですが、これからまたぽつぽつエントリしていこうかなと思ってます。私は元気です!以上です。