つのへび日記

こなやぎのブログです。手仕事、語学、短歌、読書や映画など。

ソックヤーンで編める小物いろいろ

先日「お気に入りの靴下」というお題でこんな記事を書いた。
kn.hatenablog.jp

この時は在庫のソックヤーンをどうしようかまだ考えあぐねていて、フットカバーがいいかな? とぼんやり思っていたけれど、
・25%ポリイミドが入っているから100%ウールよりも頑丈
・洗濯に強い加工がしてある(ネットに入れて洗濯機で洗える)
・基本的にカラフルなものが多く、糸1本で編んでも目に楽しいものが出来る
以上のソックヤーンを特性を生かして、靴下以外のものも編めるのでは? とふと考えた。

それで結局、この冬は2つの小物をソックヤーンで編んでみた。

1.ミトン


上記の記事のサムネイルにある、真ん中の靴下を編んだ糸の残りと、ネイビーの単色糸を2本取りで編んだ。
途中でカラフルな方がなくなったので、別のレインボーカラーの糸を継いで編んだ。
写真では下に来ている方の手袋がそうなので見えにくいが、さほど違和感はないとおもう。

秋から始めた早朝のジョギングで手がかじかむようになったので、厳冬期の装備としてこれを編んだのだった。
走るにつれ手はぽかぽかになり、じっとり汗ばみさえするけれど、これならざぶざぶ洗える。

編み方はお気に入りのこの本から。引き返し編みをしながら平面に編んで、最後にはぎ合わせると斜めに編地が出るユニークなもの。
最初からぐるぐる輪に編むものも好きだけど、さっきまで平たく編んでいたものが2Dから3Dへと変容する瞬間は、何ともいいがたい快感がある。
ゲージ取りをさぼったので、片方をいったん仕上げまで終わった後どうにもサイズ感が気に入らず、最初からやり直した。
そのおかげで、20年以上苦手だったメリヤスはぎをようやく克服した。

www.youtube.com
また忘れたらこちらの動画を見ながら思い出そうとおもう。(とても分かりやすいです)

2.マフラー


妹夫婦と私は互いに帰省しなかったので、年末年始は会わずじまいである。
妹に「甥っ子にお年玉代わりに何か編もうか?」と聞いたところ「マフラーがいい。グレーの上着に合う色で、洗濯が楽なやつ」というので、1玉で長めの靴下が一双編めるソックヤーンは子ども用マフラーにも適した長さなのでは? とひらめいて、実行に移すことにした。
(余談だが、こんな風にそこそこ具体的でそこそこ抽象的なリクエストは非常に助かる。ある程度自分の好きなようにできつつ、相手の不要なものを作ってしまうという不幸な事態も避けられるので)

スパイラルソックス*1と同じ60目で作り目して、ぐるぐる輪にして1メートル弱メリヤス編み。両端は靴下のつま先のように減らし目をして、先に小さなポンポンを付けた。
両端を減らし目するために、作り目は別糸でくさり編みにした。まっすぐ編んでぎゅっと絞ってひだを出したり、大きいポンポンを付けたりしたほうが確かに可愛いのだけど、それだと洗ったときに両端だけ乾きにくくなるので、機能性重視にした。

多色のニット小物を作るとき、ふつうは単色糸を複数使用する編みこみか、一回編んだ後にさらに別の糸を重ねる刺繍のどちらかになるが、それだとやはり生地自体に厚みが出てしまう。ショートピッチのソックヤーンでしかも細い糸なら、編地は平たく薄く、しかもカラフルなので子ども用マフラーにも向いていると思った。

ソックヤーンの残りはまだ少しあるので、今編んでいる別のものが終わったら、今度こそフットカバーに挑戦しようかと思案中である。あるいはそのままダーニング用に取っておくのもいいかもしれない。
kn.hatenablog.jp

『暮しの手帖』84号のダーニング(繕いもの)をやってみました。

先月か先々月に、かなり久しぶりに買った『暮しの手帖』84号。

暮しの手帖 4世紀84号

暮しの手帖 4世紀84号

帰国して以来、物はどんどん手放しているので、本とて例外でなく、(以前の自分ではまず考えられないけど)減らしこそすれ買うなんて、という感じだったのですが、この号は「当たり」でした。
土井善晴先生の新連載とか、入船亭扇辰師匠の記事とか、いくつかお目当てはあったのですが、お料理ページも唐揚げ、サンドイッチ、炒め物など私ごのみのものが多くて、これは買いだな、と。
そのくせ、いまだにどのレシピも試してないのですが。まあそのうち。

この号には、靴下などの穴やほつれをかがって直す技術「ダーニング(darning)」の紹介記事もありました。私の第一印象は、まあ面白そうだけど自分はやらないなー、でした。つまり、特に今号を購入する要素には入っていなかったわけです。あまり興味が持てなかったのは、よっぽど元がいい服などならまだしも、繕ったところでかえってみすぼらしいだけじゃない?と思ったからです。その時は。

でも、結局数日後だか数週間後だかに挑戦していました。中国で買ったユニクロのネルシャツがあったのですが、買ってすぐくらいのときにボタン穴のほつれに気づき、不便だなーと思いつつ我慢して着ていたのを思い出したからです。中国でわざわざユニクロ?という感じですが、自分で買ったのではなく正確には友人の両親に買ってもらったものなのです。
f:id:isachibi59:20161019172858j:plain
よくよく考えると、元がいい服ほど素人が針を入れると台無しになってしまうのだし、ユニクロのB級品のネルシャツなら別にどうなってもいいんじゃ?*1じゃあせっかくだし、こいつを実験台にしてみるか、と思いつきました。

糸を縦と横にそれぞれ渡し、布のような「面」にすることでほつれや穴を覆い隠してしまうと、こんな感じになりました。
f:id:isachibi59:20161019194932j:plain
同系色にするよりも、差し色になるようなビビッドな糸で刺した方がむしろ面白いかなと思い、刺し子用の赤い糸で。
ボタンを閉じてもちらっと赤が見えていて可愛いです。
f:id:isachibi59:20161019194849j:plain

暮しの手帖』の記事のなかでは、ニットの靴下やセーター、ズボンのポケットなど色々なところに施されたダーニングを見ることができます。
やっぱり、あからさまに見えるところのは、外で着るのにちょっと勇気がいるかなーと思わなくもないですが(失礼)、実際に一着やってみると、服全体の傷みや着古しがないものや、お気に入りの部屋着とか靴下、布巾やミトンなどの布小物にならアリかもと思っています。
細かい作業のわりに単純なのでそんなに時間がかからないため、「もうちょっとやりたい!」という物足りなさがあるのも高ポイントです(あまりに終わりが見えない手芸は飽きちゃうから)。

また、なにか手頃なものに穴が開いたらやってみたいなと思ってます。「ダーニング」でちょっと検索したらミシンがいくつかヒットしたんですが、ミシンを使えばさくっと繕えるのでしょうか。縫い物はあまりやらないのでミシンも持っておらず、そのあたりはよくわかりません。色々できる人になりたい。ミシンも気になってます、ひそかに。

kn.hatenablog.jp
主に編み物、時々料理の「手仕事」カテゴリ。

*1:余談ですが、中国など海外に輸出しているユニクロ製品はB級以下製品で、タグにもそういう表記がよく見れば書いてあります。製品を作っているのは中国とかベトナムの工場なんですけどね。

今年の編み物はじめ(すべり目を使ったニット帽)

編み物はじめました

さてさて、寒露を過ぎてすっかり秋めいてきましたね。日が短くなり、虫の声が聞こえてくると編み物欲がむくむくと湧いてきます。

これまで、9月中はまだ暑いからと毛糸を触る気になれず、もうちょっともうちょっとと先延ばしにした挙句、完全に秋になってから(ちょうど今くらいの時期)わー!編み物しなきゃ!と火が付くというのが常だったのですが、それだとニットが編み上がるよりも冬の到来の方が先になっちゃうんですよね。そして、シーズン2作目、3作目が完成するころには年が明けていたり、下手すると立春越えていたりして、その年作ったものをあまり使えないまま暖かくなっちゃったりして。

今年はその教訓を踏まえ、ちょっと早めに編み始めてみました。たまには完成ほやほやのニットを用意して冬将軍を迎え撃ってみたいと思いましてね!!

f:id:isachibi59:20161002113431j:plain

というわけで、今シーズンの第一号ニット、「雲と山の帽子」です。
オリジナルではなく、三國万里子さんの書籍から。

編みものともだち

編みものともだち

パッと見た感じでは複雑そうですが、太めの2色ボーダー模様をベースに、目を編まずにスルーしていく「すべり目」という技法で三角模様を出していきます。
雑誌『毛糸だま』で以前すべり目技法の特集をちらっと読んで以来、気になっていたんです。
毛糸だま 2014年 冬号 No.164 (Let’s Knit series)

毛糸だま 2014年 冬号 No.164 (Let’s Knit series)

今回やってみて、原理は簡単なのに凝って見えるコスパのいい奴だということが分かりました。笑
この帽子の場合、ガーター編み部分とメリヤス編み部分を間違えないように気を付ける必要はありますが…(調子に乗ってバーッと編んで、間違えて何度か後戻りしました)

糸はまるで買ってきたかのように本の作品写真そのままのカラーなのですが、家にあったものを使いました。
以前友人にミトンをリクエストされて作った時のものです。
f:id:isachibi59:20150314224946j:plain
色や柄はお任せでと言ってもらえたので、友人をイメージして編みました。今も使ってもらえてるといいなあ。

この帽子が完成したのは実はもう10日ほど前のことで、今は同じく三國万里子さんの『編みものともだち』から別の大物に取り掛かっています。
それが終わったら、いよいよドイツのソックヤーンを使ってみたいなあなどと思いつつ…。
kn.hatenablog.jp

ちょっと近況

最近、お仕事で文章を書くことが多くなるにつれ、余暇に文章を書くことから遠ざかりつつありました。
だけどこれはこれとして、楽しみでも訓練でもあるけれども、やっぱり余暇として書くことは大事ですよね。
編み物みたいに、語学学習や読書みたいに、時間を決めたりしながら書く時間を少しでも確保したいです。
訓練といえば、短歌も久しぶりすぎて詠み方をちょっと忘れてしまったような感じもします。短歌筋?短歌勘?そういうのがなまっているのかな。
kn.hatenablog.jp

ちょっとおまけ

帽子、今まで一番作っているアイテムかもしれない。エントリ上げたもの以外にも過去に色々作ってます。
kn.hatenablog.jp
kn.hatenablog.jp
kn.hatenablog.jp

【翻訳レシピ】安い材料でもおいしい、本格的な「海南鶏飯(シンガポールチキンライス / カオマンガイ)」

きっかけ

夫はあまり食にあれこれ言う人ではなく、彼が自らを評していわく「冷蔵庫の中にあるもので作るということが出来ない人」ということなので、私が「今日何食べたい?」と聞いたところで、はかばかしい返事はほとんど返ってこないので、だいたいいつも、私が食べたいもので冷蔵庫の食材中心に作れそうなものを、私が好きなように作る、ということになります。ただ、ごくごくたまにぽつりと、あれが食べたいなあ、みたいなことを言われるので、多少冷蔵庫の中身と文脈上ずれていたりしても、たまの頼みだからなおさら作ってあげないとな、という気持ちになり、たとえば夫が「プッタネスカが食べたい」とつぶやいた日には「それでは10日ほど時間をください」と言ってパンチェッタを仕込んだり、他にこれ何に使うねん…と思いながらもケイパーや黒オリーブを買いに走ったりする羽目になるのです。

海南鶏飯(ハイナンジーファン)、和名?として昔からあるのはシンガポールチキンライス、最近はタイ語由来のカオマンガイという呼び方も定着していますがーーもまた、そのような食べ物の一つです。

別に中国にいる間よく食べていた思い出の味とかそういうことは全然ないのに急に夫が「海南鶏飯が食べたい」と言い出したので、じゃあ近いうちに作りましょうと応えつつも「茹で鶏をエキゾチックな感じに仕立てたらいいのかなあ」とぼんやりイメージしていました。

いざレシピ検索をすると、なんだか人によってレシピのディテールが微妙に異なり、検索結果の総合的なイメージはやっぱり「茹で鶏とその茹で汁で炊いた米をエキゾチックに食う」料理で、いまいち依りかかるべき権威的なレシピというものが見当たらず…。それならばと、本場中国の作り方を見てみることにしました。

もちろん中国でも人によって微妙に作り方が異なるものなのですが、以下、今回自分が作る際に参考にしたレシピの翻訳を、作りやすい分量(実際に作った分量)に直して載せておきます。

参考元のサイトはこちらですが、元のレシピではニワトリを丸のまま一羽で作っているので、リンクをご覧になる際は…ちょっとカワイソウな写真もありますので、ご注意ください。

海南鸡饭的做法_菜谱_香哈网

海南鶏飯レシピ

材料(2人分)

鶏むね肉 1枚
米 2合
八角 1つ
花椒 2つまみ
酒 大匙3
塩 小さじ1
しょうが(すりおろす) 各1片
にんにく(みじん切り) 各2片

<タレの材料>
砂糖 大匙1
醤油 大匙2
かぼす 1個

今回はむね肉で作りました。おいしくできましたが、次はもも肉で作ってみたいな…。
あと米2合ですが、スープがたくさんできるので(2合炊いても余るくらいです)たくさん炊いて残りはおにぎりや雑炊などにするといいです。
これも、予算に余裕があれば原典通りのジャスミンライスで作りたいものです…。
かぼすは、元のレシピだとすだち大の柑橘のようです。すだちを使うときは2個用意してください。

作り方

1.鶏肉の下ごしらえ

鶏肉の、皮と肉の間などについている黄色い脂肪を取り除いておく(あとで使うので捨てない)。
火が通りやすいように、観音開きにするなど厚みを均等にする。
酒、塩、おろししょうがを鶏肉の裏表にもみ込んで、10~20分ほど置く。

この間に米を研いで、少し吸水させたあとざるにあげておきます。

2.ゆで鶏を作る

深い鍋にたっぷりの水(分量外)を張って火にかける。
湯が沸いたら、八角花椒を入れて、表面がゆらゆらする程度の火加減に弱めて5分煮る。
火を強めて、鶏肉を入れる。吹きこぼれない火加減で、20~30分茹でる。

八角花椒を水で煮る! びっくりしましたが、スープがめちゃくちゃおいしくなるのでぜひ入れてもらいたいです。
ゆで時間ですが、私は20分だとちょっと足りないくらいだったので、厚めの肉は30分くらい茹でてみてください。
茹で上がる直前に、ボウルか他の鍋に氷水を用意しておきます。

3.スープでライスを炊く

鶏を茹でているあいだに、ライスの準備をする。
1.で取り分けておいた鶏の脂身をフライパンに入れて熱する。
脂身は油が出切ったら取り除き、みじん切りのにんにく(半量)と米を入れて炒める。
油が回って米が透き通ったら火からおろし、炊飯器にうつす。

茹で上がった鶏肉を引き上げ、すぐに皮の方から氷水に放って15分ほど浸す。
スープを一度漉し、炊飯器の目盛り通りに注いで米を炊く。
茹で鶏の粗熱が取れたら、適当な大きさに切り分ける。

米を炒める時、油脂が少ないと米がフライパンに張り付いてしまいますので気を付けてください。
鶏肉は氷水に放つことで表面の皮が収縮してパサパサしにくくなります。
(丸一羽だけじゃなく、切り身でも効果があった…気がします)
余ったスープの残りは冷蔵保存し、早めに使ってください。これだけ飲んでもかなり多幸感が得られますが、中華粥にしてもよさげです。

4.タレを作る

米を炒めたあとのフライパンへ油を適量足し(分量外)、残りのにんにくを炒め、色づいたら取り出して器に入れておく。
続けてフライパンへ砂糖と醤油を合わせて入れ、ひと煮立ちさせる。
にんにくを入れた器へ注ぎ入れ、かぼすを絞り入れる。

砂糖と醤油を入れる時は火を弱めるか、いったん止めたほうがいいかもしれません。はねるので強火注意です。

あとは、ごはんと茹で鶏を皿に盛りつけて、タレをかけたら完成です!

f:id:isachibi59:20160718125240j:plain

この日はノリで買ってしまった中国産のライチと、前日に作って冷やしていた茄子南蛮との献立。
次はたっぷりの刻み香菜を一緒に食べたいので、香菜の収穫後に作りたいです。

kn.hatenablog.jp

ケンタロウのレシピだと、ご飯を炊くときに醤油などを少量入れて、タレももっと複雑そうでした。こっちも試してみたいな。

※追記:タイトルを一部変更しました。(7/27)

その他の翻訳レシピ

kn.hatenablog.jp

ごく小規模なハーブ栽培の記録(第3週~第4週)

kn.hatenablog.jp
このエントリの続きです。
食欲本位でルッコラ、バジル、パクチー、ミントを育てています。
今回も二週間分の成長をまとめて見る自分用エントリでございます。

第三週。



ネットで発芽率3割とも5割とも書いてあるのを見たので、ちょっと浮かれてのコメントです。やっぱり種を二分割しておいたのと、さらに一晩水に漬けていたのが勝因かと。


私が、パクチーが!ルッコラが!と大騒ぎしているあいだにイギリスがEUから離脱していた、そんな週でした。
三週間経過した時点でのそれぞれのソロ写真。スマホのカメラ機能を色々試しているのでこういうおもちゃっぽい写り方になってますが。
f:id:isachibi59:20160626064440j:plain
パクチー
f:id:isachibi59:20160626090430j:plain
ミント。種がめちゃくちゃ小さい分、芽もとても小さい。
f:id:isachibi59:20160626090343j:plain
バジル。圧倒的成長。
f:id:isachibi59:20160626090311j:plain
ルッコラ。双葉がハート形なのがかわいい。

続いて第四週。







湿度のせいか、温度のせいか、その両方なのか。よく育っています。
これまでは種のパワーに任せて水やりのみでしたが、第三週からは100倍希釈の液体肥料も週一回あげはじめました。

次回へつづく!

4種のスパイスで作るインドカレーを3回作ってみた感想、ゆで卵のピクルス、そしてビリヤニなど。

kn.hatenablog.jp

こちらの記事の続きです。

あれからリベンジもかねて、この「はてな匿名ダイアリー」で投稿されていたレシピでカレーを作っては食べ、作っては食べてみて、うまく作るコツのようなものが分かってきつつ、また自分なりのやり方に行き着きましたので、他のカレー好き、ひいては料理好きの方々とも共有出来たらと思い、覚え書きもかねてエントリする次第です。

前回のエントリが書かれた日付(6/22)をご覧になって、なんか頻度高すぎるんじゃない?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。文字通り3日と空けずカレーを作っているありさまなのですが、これはもう仕方がないですね。スパイスに呼ばれている、というか。初めて作った時に、食べ終えながらすでに「次はどんなカレーにしようかな」と考え始めている自分がいました。それから買ったスパイスはいつも冷蔵庫のドアポケットに保存しているのですが、冷蔵庫を開閉するたびに目に入るそれらに「あー、またカレー作りたいな…」とカレー欲が刺激され、結局最初に作ってからきっちり3日目に2回目の挑戦をしました。これがその時のカレーです。

f:id:isachibi59:20160624124633j:plain
えび&キーマカレー
オリジナルからの変更点としては、辛みが少々物足りなかったので、スタータースパイスにホールの唐辛子を2本加えてみました。それから、しょうがとニンニクをすりおろさずに、どちらも細かいみじん切りにしました。前回焦げ付いてしまったのもあり、私の好み(単にすりおろしよりみじん切りのほうが面倒くさくない)もあり。やはりそうしたら、焦げずに苦くないカレーになりました。おおむねおいしかったけれど、エビはがっつり煮こんでしまったので、ちょっと硬くなってしまい反省。次は仕上げる直前に加えようと思います。

それからさらに3日目の今日、3回目のカレーを作りました。この3日という間隔は別に図ったわけではなく、どうやらこのカレー、食べた翌々日には、あー明日カレー作ろ!と思っちゃう身体にしてしまうみたいです。おそろしや…。

f:id:isachibi59:20160627124004j:plain
3回目の挑戦はかぼちゃとオクラのカレー。写真だと全然見えないオクラは、ヘタを落としたあと軽く素揚げにして、皿に待機させて上からカレーをのせました。写真的には上にのっければよかった…。カレーを煮ているときに、火を止める直前に投入して合わせようかなとも思ったのですが、カレーにねばねばが移って、残りを使ってビリヤニを作るときに支障がでるといけないので、やめました。この時はビリヤニをお弁当にして、夫に持たせようと思ったので、ニンニクを抜いて、代わりにショウガを多めに。ショウガは今回はすりおろしました。辛味もまた変えてみました。今回はホールの唐辛子に加え、チリパウダーも+小さじ1杯。代わりにコリアンダーを大さじ1から小さじ2に減らしました。
ちなみにこのカレーにはタンパク質が入っていないので、付け合わせにピータン豆腐を食べました。豆腐に刻んだピータンをのせて、ごま油と醤油を合わせたたれをかけただけの中式冷奴。うま!

というわけで、以上から私なりにこうしよう!と思ったことを書いておきます。

常に前倒しで作業する!

前回記事で「次の工程に進むサインを見逃さない」ということを書きましたが、「これ、もういいのかな?いや、まだかも…。もうちょっと待ってみよう」と、律儀にサインが出るのを待っていたら時機を失するということがわかりました。火は常に強火なので、ぼやぼやしていたらどんどん加熱が進んでしまいます。なので、「玉ねぎの一番小さいのが焦げてきた!はい次!」「トマトがちょっと崩れてる!はいスパイス!」と、どんどん、気持ちちょっと早めかな?というくらいで工程を進めていくと失敗しないと思います。「これはもういいのかな?」と思った時点でもういい!と押し切るスタイルでやっていくとスピードに乗れます。

焦げやすい器具ではおろさずにみじん切り!

私は鉄フライパンを使っているのですが、2回すりおろししょうがでやってみて、おそろしく焦げ付くということが分かりました。玉ねぎに水分が残っていようがいまいが、炒めるそばからどんどん乾燥して、そしてハネる!超痛い!ハネたクミンが刺さるよりも心なしか痛い!調理器具の加工によっては全然こういうことがないものもあるかと思いますが、私はやはりショウガとニンニクはみじん切りにしようと思います。

ゆで卵のピクルスとカレーは最強に合う!

2回目のカレーも1回目と同様にゆで卵のピクルスを添えています。これは1回目のと同時に漬けこんだものだったのですが、黄身にまでお酢の味がしっかりついていて、もう本当においしかったです!
普通にゆでた卵の殻をむいて、水とお酢を1カップずつ、砂糖4分の1カップ、塩大さじ1、唐辛子、ニンニク適量を鍋でひと煮立ちさせて作ったたピクルス液に漬けるだけです。
漬けて3~4日目がおいしいんじゃないかな。私は固ゆでにしましたが、半熟でもおいしいかも。インドカレーだけじゃなく、どのカレーにもたぶん合うと思います。試したことない方は、ぜひぜひだまされたと思って一度作ってみてください。

トマトの大きさはあまり影響しない!

1回目から3回目まで、だんだんとトマトを切る大きさを大きくしていってみましたが、最終的に10分煮るので全部跡形もなくなります。特に、今日(3回目)は野菜カレーだったのでトマトも存在感が出るといいなと思いかなり大きめ、といっても8~12等分くらいにしたのですが、ものの見事に溶け込みました。「トマト&カボチャ&オクラカレー」にしたかったなら、煮る工程の中間地点くらいに追いトマトをしたら、トマトの食感も楽しめるカレーになったかもしれません。
ともあれ、材料を切る作業というのは地味に時間がかかるし面倒くさいので、大きく切ってもいいものはどんどん大きく切って手抜きをしちゃうことにします。点火から煮込みまでは本当にジェットコースターみたいに一気に出来るので、楽しいです。

おまけ・ビリヤニの作り方

ビリヤニはインド風炊きこみご飯で、下茹でした米とカレーを鍋の中で重ねて炊き上げたものです。最新号のdancyuカレー特集でもビリヤニのページがありましたね。
このインドカレーのレシピだと、2人で食べるとちょっと余りが出るので、私は毎回ビリヤニにしています。

以下に、私のカレーバイブル『カレーのすべて』(柴田書店)のレシピ+dancyuに載っていたレシピのうろ覚え(買ってないんです…すみません)+試行錯誤しながら3回作って自分なりになんとか定まったレシピを記しておきます。

米1合を軽くといで、吸水させたあとざるに上げる。
ターメリック少し、バター少しを入れた多めの水を鍋に沸騰させて、そこに米を全部入れる。3~5分くらい茹で、ざるに上げて湯を切る。
鍋に米と、残りのカレーを交互に重ねながら入れる。鍋底から米、カレーの順番で。
酒少量をふって、フタをして、点火。5分くらい弱火にかけた後、ちょっと中をのぞいて水分が飛んでいたら火を消して20分蒸らす。ざっくり混ぜて器に盛る。

これを食べながら、あ~またカレー作ろう、次は何入れようかな、と思うのでした。

おわりに

インドカレーは元々好きで、自炊も元々好きなのですが、今までは作れるものじゃないと思っていたので、もっぱらお店で食べていました。
その反動なのかなんなのか、もうすっかりこのインドカレーのレシピがやみつきになって、いつでもこのカレーが食べられるように、今やトマトと玉ねぎは常備品です。
スパイスや食材方面にも興味が開かれて、次はどれを注文しようかなとわくわくしてます。
おすすめの食べ方などあったら、ぜひ教えてください!

カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック

カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック

話題のインドカレーレシピをさっそく試してみました。

我が家のインドカレー

「基本のカレーって玉ねぎとトマトの旨味をスパイスで食べる料理という認識」わかる! ところでブクマ2000超えてるけど、そろそろ国会に持ち込めるのでは?/ 作った→ http://kn.hatenablog.jp/entry/2016/06/22/162642

2016/06/17 17:02

この「はてな匿名ダイアリー」の記事、最初はよくあるめんどくさいウンチクおじさんによる俺のカレー論みたいなウエメセエントリかと思い、「えらい伸びてるなー」とタイトルをぼんやり眺めるだけだったんですが、この伸び方は尋常ではないなと開いてみたら、包容力の高い書き手の人格もあいまってすごくすごく魅力的な内容で、さっそくその日のうちにブコメで紹介されていたアメ横の豆・スパイス卸の大津屋のネットショップでスパイス四種を注文しました。

一応注文する前に、カルディのサイトからギャバンから出ているそれぞれのスパイスの価格をチェックし、比較をしたのですが、送料(864円)込みでも大津屋のほうが安く、しかも量が多い(大津屋はすべて1袋100gが最小単位、ギャバンは物によって65gとか80gとかまちまち)という結論に至ったので、大津屋にしました。

注文から二日後、時間指定の通りの夕方にスパイス到着。
f:id:isachibi59:20160620182634j:plain
ほかに必要な材料はすでに準備しており、あとはスパイスを待つのみだったので、さっそく次の日の昼に作りました。

以下、匿名ダイアリーのレシピで実際に作るときに気を付けたこと、作ってみて気づいたことなどを書いていきます。
がちがちに引用するのは増田に悪いので、レシピ全文はこちらからご覧くださいね。
やりとり含め、とてもいいエントリだと思うので。

まず、元の記事には「慣れたら30分で出来る」と書いてあるので、初めからスピード感を意識して取り組みました。
主な流れは、

クミンを炒める→玉ねぎを炒める→おろしたショウガとニンニクを加える→トマトを加える→火を止めスパイスを加える→スパイスを炒める→具材を加える→水を加えて10分弱火で煮る

ですが、すべての工程に「次行程に進むサイン」を書いていてくれてるので、それを見逃さないようにイメトレします。
するとこうなります。

クミンを炒める(パチパチする)→玉ねぎを炒める(端が軽く焦げる)→おろしたショウガとニンニクを加える(香りがまろやかになる)→トマトを加える(ドロドロになる)→火を止めスパイスを加える→スパイスを炒める(2分くらい経つ)→具材を加える(火が通る)→水を加えて10分弱火で煮る

これを元記事を読みながら何度となくイメトレして、本番では一度もスマホを見ないですむようにしました。紙媒体でも何でもそうですが、レシピをちらちら見ながら作るとどうしてもスピードに乗り遅れてしまうし、それに伴って失敗のリスクも上がるので、工程を完全に頭に入れてから作り始めるのはおすすめです。時間がない方は、作る前の晩に寝ながらイメトレしてみてください。

当日は、作り始める30分くらい前から米を研いで浸水させておきました。ターメリックライスを作りたかったのですが、うちでは3年くらい前から鍋でガス炊きしているので、同時に作ったのではカレーへの集中力が落ちると思い先に炊くことにしました。

ちなみに米のガス炊きは、1合につき1カップ前後の水を入れて初めは強火→沸騰したら弱火→水分がなくなって鍋底からチリチリ音がしたら火を止めて20分蒸らす、です。フタはずっとかぶせておきます。できれば30分くらい浸水させてからのほうがおいしいです。量が少ないと芯が残ることがあります。2合以上炊くほうが安定する気がします。

炊飯用の鍋に点火して、米を炊いている間に材料を切りました。今回は初めて作るレシピで絶対に失敗したくないので、切ったあとのそれぞれの材料を小さい皿やボウルに入れて用意することにしました。ずぼらなので普段はあまりこういうことしないのですが、おいしいカレーのためなので話は別です。パウダースパイスと塩も計量して一つの器に合わせておきました。

米が炊きあがったので火を止めて、蒸らしているあいだにいよいよカレー作りです。材料を作る順番通りにガスレンジの端に並べておきました。いつも中華を作るときには一番最初にショウガとニンニクを入れるので、それらを玉ねぎより先に入れてしまいそうで怖かったからです。

油→クミン(パチパチ)→玉ねぎ、まで順調だったのですが、ここで少し失敗。玉ねぎを炒めすぎました。二口あるうちの強火力コンロの方で作っていたのですが(これも、おいしい中華が作りたかったのでこのタイプを買ったのでした)、体感2分くらいで端が焦げてきたにも関わらず「元記事には8分くらい炒めるってあったよね…」と時間の長さに囚われるあまり、時機を逃してしまいました。4~5分くらい炒めた時点でショウガとニンニクを投入したのですが、フライパンの温度が上がりすぎ、玉ねぎも水分がかなり飛んでいたためか、あっという間に焦げ付いてしまいました。「玉ねぎの端が焦げ始め」たタイミングだと、なじませるのに十分な水分があったはずです。増田も元記事で書いているように、それぞれ使う器具の熱伝導の高さやコンロの火力によって時間は変わってくるので、「次に進むサイン」を最優先に作るべし、ですね。

その後は特に問題なく煮込み作業まで終わりました。今回の具材は、ゆでておいたひよこ豆の冷凍がフリージングパック一つ分あったので、前の晩から冷蔵庫に移して解凍しておいたのを使ってチャナマサラ(チャナ=ひよこ豆で「ひよこ豆のカレー」)にしました。『カレーのすべて』(柴田書店)には、水と一緒にひよこ豆のゆで汁も加えるよう書いてありますが、ゆで汁は全部冷凍前に切ってしまったので、今回はナシです。

煮込んでいる10分の間に、炊きあがった米にターメリック、塩、バター、レモン汁を加えてターメリックライスを作ります。私はこれまで、ターメリックはただの色付け要員だと思っていましたが、今回届いたばかりのターメリックの袋を開封したとき、ふわっと強い香りが鼻を衝ち、うわあ、と感動しました。今まではS&Bか何かの卓上スパイスを使っていたので、この芳香が全然分からなかったし、炊く前の米にぴっぴっと適当に二、三振りするだけでした。今回は、『カレーのすべて』のレシピ通りに炊きあがったあとにしっかりした量(小さじ半分強)を加えました。油に溶けやすいとあったので、ターメリックを入れた中心にバターを落として、混ぜ合わせるようにだんだん広げていくと、うまく米全体にいきわたりました。

10分経って、煮込んでいたカレーの火を止めて、仕上げにレモンをひと絞り。ご飯を炊き始めてからここまで、トータル45分。次はあと5分短縮できるようにがんばろう。

さて、ピクルスも仕込んでおきました。前日朝から24時間漬けていたゆで卵のピクルス、ゆで卵を漬ける前に同じ瓶で漬けていたオクラと小玉ねぎも。オクラは一晩、小玉ねぎは4日くらい漬けたかな。小玉ねぎは上下を落として皮をもう1枚むいて半割り、オクラはがくをそいで先を落として塩ずりしたもの。
f:id:isachibi59:20160620120035j:plain

チャナマサラ、完成!
f:id:isachibi59:20160621121024j:plain

ラッシーも『カレーのすべて』からのレシピ。ヨーグルトと水と砂糖を混ぜるだけ。レシピではミキサー推奨でしたが、ボウルと泡立て器でも問題なく出来ました。シェーカーがあると便利かもしれません。レシピの比率はヨーグルト1に水1.2でしたが、それだとちょっともったりした「飲むヨーグルト」みたいなものになるので、気持ち多めに水を入れて、今回はシャバシャバしたラッシーにしました。

このカレーの味ですが、本当に「日常的に食べるカレー」だと感じました。特に強烈なパンチがあるわけでもなく、全然辛くない、万人に優しいカレーという感じ。でも一口ごとに「おいしいね」「すごいね」「感動だね」とぽろぽろ言いながら食べました。こんなすごいレシピが無料で手に入って、そのままスパイスも注文できて家に届いてしまうなんて、インターネットすごい!

辛いのが好きな人にはやはりちょっと物足りないかと思うので、クミンと一緒にホールの唐辛子を1本か2本、スタータースパイスにして炒めるといいかも。私は次回そうしてみます。

ちょっと書いておくつもりだったのに全部書こうとしたらすごく長くなりました。とにかく一言でいうと「すごくおいしいからぜひ作ってみてください」ということです。あと「次へ進むサイン大事」!

カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック

カレーのすべて―プロの味、プロのテクニック

読み物としても面白い。元記事のスパイスの配合がいかに洗練されている、絞り込まれたものかも分かります。
レビュー等見ると、どうやらカレー本は東京カリ~番長の『カレーの教科書』と本書がツートップのようですね。『カレーの教科書』は未読です。

[新版]私の保存食手帖 (ESSEの本)

[新版]私の保存食手帖 (ESSEの本)

ピクルス液の配合はこの本から。
私が使っているのは初版のほうですが、梅仕事や他の保存食づくりにも、大変重宝してます。


続編書きました!
kn.hatenablog.jp